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ワインを飲み始めて間もない方の中には、
ワインは、心地の良く酔える時と、悪酔いしてしまう時とあって、
なぜ同じワインでも酔い方に差があるんだろう。
なんて思った経験はないでしょうか。
そこで、本日はワインのアルコール度数についてお話したいと思います。
ワインのアルコール度数
はじめに、ワインのアルコール度数は均一ではないとご存知でしょうか。
よくワインを飲まれる方なら、ラベルの端もしくは裏にアルコール度数が
記載されているのを目にされると思いますが、
アルコール度数はワインによってさまざまです。
その理由は色々とありますが、一番の理由としては、
ワインの原料であるブドウの糖度がそれぞれ違うからなのです。
ワインは原料であるブドウが醸造の途中で糖度がアルコールに変わってワインになります。
簡単に言ってしまえば、糖度の高いブドウはアルコール度数の高いワインになり、
糖度の低いブドウはアルコール度数が低いワインとなります。
では、一般的なワインのアルコール度数は何度なのか?
厚生労働省では、一般的なワインのアルコール度数を12%と設定しています。
ただ、「ワイン」の中には様々な種類があるので一概に12%と言えないのが現状です。
のちほど詳しく触れますが、ワインのアルコール度数には、
「ぶどうの品種」「発酵度合い」「収穫時期」「ワインの産地」
とさまざまな要因があるため、まだワインを飲みなれていない方の中には、
たまたま飲んだワインがアルコール度数の低いもので、
「ワインは飲みやすい」とイメージが残っていたのに、
次に飲んだワインがたまたまアルコール度数の高めのもので、
「こんなに強かった?」と驚いてしまうなんてこともあるかもしれません。
それでは、ワインのアルコール度数は、どの部分を見ればいいのか?
アルコール度数は、ボトルのラベルに表記されています。
具体的には、海外のワインならALCOHOLの頭文字を取った「ALC」と
アルファベットで表記されているあとに、%で数字が記載されています。
たとえば、「ALC13%」のような表記や、裏に「アルコール分13%」と
日本語で表記されているのが一般的です。
アルコール度数に違いがうまれる理由
それでは、ここからはアルコール度数に違いがうまれる理由について、
少し詳しく説明していきたいと思います。
先ほどもお話したように、ワインとは、醸造過程で原料であるブドウの糖度が、
アルコールに変わることでワインになります。
つまり、使用するブドウの品種に含まれている糖分の量や、
アルコール発酵の度合いによりアルコール度数が決まってくるのです。
ブドウはワイン用、食用合わせて、世界に10,000種の品種があるといわれています。
その中でも、国際品種と言われ、世界各国で使用されるブドウ品種だけでも、
かなりの種類があり、それぞれブドウの糖度が異なります。
また、醸造過程における発酵度合いの差も、アルコール度数の差に大きく影響します。
赤ワインは発酵を最後まで進めるため、アルコール度数が高くなりやすく、
白ワインは製造の途中で発酵をストップさせるため、
赤ワインに比べてアルコール度数が低くなります。
そのため、アルコールに変わらない糖分が残っているため、赤ワインより白ワインの
方が飲みやすく感じるのも1つの理由かもしれません。
次に、アルコール度数を高めるためには、糖度の高いぶどうを使う必要があるため、
ぶどうの糖度を高めるために収穫時期を遅らせる栽培手法を採用する場合があります。
通常の収穫時期よりも1週間程度収穫を遅らせることで、より糖度の高いぶどうを収穫できます。
また、ワインの産地も、アルコール度数に関わる重要な要素です。
産地ごとの気候や日照時間がぶどうの糖度に影響を与え、
糖度はそのままアルコール度数に反映されます。
例えば、カリフォルニアは日差しが強く乾燥し温暖なため、
果汁が凝縮され、糖質も増えやすくなります。
反対に、ドイツの涼しい地域などでは、日差しが少なく気温も低いため、
糖度が低いぶどうが育ちやすい場所です。
ニューワールドのワインは糖質を多く含む品種を使用していることが多く、
造られるワインもアルコール度数が高くなる傾向があります。
他のお酒とのアルコール度数の違い
ここで、ワインと他の酒類とのアルコール度数を比較してみましょう。
辛口ワイン(通常の赤白ワイン) 10.5~14.5%
甘口・半甘口ワイン 6~12%
スパークリングワイン 11~12%
ポートワイン等甘口デザートワイン 20%弱
シェリー 15~18%
ビール 4.5~5.5%
ウイスキー 40~55%
日本酒 15~16%
焼酎 25%前後
他のお酒のアルコール度数は、焼酎が約25%、ウイスキーが約45%と高めなものが多い中で、
ワインは平均13%とそれほど高い方ではありません。
でも、ワインが他の酒類と大きく異なる点は、水を全く使用せず造られるため、
アルコールの調整が容易にできないというのが大きな違いです。
また、同じ品種や産地のぶどうを使っても、収穫する時期や品種ごとに
アルコール度数は異なるため、数字にブレが生じやすいというのも大きな特徴です。
アルコール度数の高いワインの特徴とおすすめの銘柄
アルコール度数が高めのワイン(13.5~15%)
13~14% ピノ・ノワール、ボルドー(赤)
13.5~14.5% シャルドネ
13.5~15% カベルネ・ソーヴィニヨン、マルベック、サンジョヴェーゼ、フランス産のシラー
14~15% シラーズ、アメリカ産のシラー
14.5% ソーテルヌ
14~15.5% グルナッシュ、ジンファンデル
15% ミュスカ
さらにアルコール度数が最高レベルになっているワインとしては、
オーストラリアのモリードゥーカーが出しているシラーズ「The Boxer」は
アルコール度数16.5%と、
ワイナリーによっては15%を超えるワインを出しているところもあります。
★アルコール度数が高めのおすすめ銘柄
完熟したブドウを3~4ヵ月陰干ししエキスを凝縮させ、
糖度が上がったブドウを発酵する「アマローネ」。
イタリアのヴェネト州で、限られた生産者がごく少量生産し、
かつては王侯貴族しか口にできなかったと言われるほど贅沢に造られた稀少なもの。
アルコール度数の低いワインの特徴とおすすめの銘柄
アルコール度数が低いワイン(10%以下)
5~6.5% モスカート・ダスティ
7~8% ドイツのリースリング
一般的にアルコール度数が12%以下のワインが度数として低めと言われるワインです。
モスカートを使った低アルコールワインとしては、サンテロの弱発泡性白ワイン「ドゥエ‼」は、
アルコール度数がなんと2%と低アルコール!
ビールよりも低く、缶で販売されているサワーの中でも低めのものと同じくらいの度数ですね。
平均的なアルコール度数のワイン(10~13.5%)
10.5~12%アメリカ/オーストリア/オーストラリア産のリースリングワイン
11.5~12.5% ランブルスコ
12~13% ピノ・グリージョ/ピノ・グリ
12.5~13% ソーヴィニヨン・ブラン
また、日本の固有品種である「甲州」や「マスカット・ベリーA」
からつくったワインもアルコール度数は11~12%程度のものが多い。
★アルコール度数が低めのおすすめ銘柄
「モスカート・ダスティ」がおすすめです。
名称の「モスカート」とはマスカットの事であり、
ダ・アスティは、アスティ地域のマスカットで作られたワインという意味です。
糖分がアルコールに分解される前に発酵を止めるので、
結果としてアルコール分は抑えられて、度数は5.5~7%とビールと同じくらいです。
マスカットから造られフルーティーでやや甘口微発泡のワイン。
微発砲なので、炭酸が苦手という方にも飲みやすい口あたりです。
しっかり冷やしてもおいしくいただけるので、特に今の時期、
キンキンに冷やして食前酒として軽く一杯いただくのに最適な1本です。