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ヴァン・ノワール=黒いワインという異名を持つほど、
色調の濃いワインを生み出すマルベックという黒ブドウ品種。
フランス原産の品種ですが、現在ではアルゼンチンが世界最大の産地となり、
しっかりとした凝縮感と肉厚でジューシーな果実味が感じられる
ワインを造りだしています。
一方、原産国であるフランスでも一部の地域で、
マルベック単一の希少なワインが造られており、
タンニンも酸味も穏やかでエレガントなワインに。
そこで、本日は産地で異なる味わいのワインを造るマルベックについてお話します。
マルベック特徴・作られるワインの特徴
マルベックは、別名Cot(コット/コッ/コー)やオーセロワとも呼ばれる
赤ワイン用のブドウ品種です。
フランス・南西地方のカオール地区が原産と言われており、
プルネラールとマドレーヌ・ノワール・デ・シャラントの自然交配で
生まれたとされています。
以前はフランス全土で栽培されていましたが、
マルベックはもともと花ぶるいを起こしやすい品種で、
1956年のフランスをおそった冷害の影響により、
現在ではカオールとボルドーのみの栽培となりました。
フランスを冷害がおそう少し前、マルベックの苗木がチリに持ち込まれ、
隣国であったアルゼンチンにも持ち込まれると、
アルゼンチンの土壌がマルベックに適していたことから栽培が広がり、
現在では、アルゼンチンが世界の栽培面積の75%近くを占める
マルベックの主要な産地となっています。
マルベックの実の特徴は小粒で果皮が黒く厚いです。
日照量のある温暖な土地を好み、冷涼な土地では栽培が難しいです。
マルベックから造られるワインは、その色調の濃さから「黒ワイン」とも呼ばれ、
ブラックベリーやプルーンなどの黒い果実を思わせる濃厚な果実味と、
干しブドウやシガーなどを連想させる複雑な香りが合わさり、
凝縮感のあるタンニンや酸味を持つ、パワフルな味わいのワインに仕上がります。
生産地域による味の違い
・アルゼンチン
先ほども少し触れましたが、アルゼンチンは世界のマルベックの
栽培面積の75%以上を占める世界最大の産地です。
アルゼンチンは日照量が多く雨量が少ない乾燥した気候のため、
ブドウの病害も少なく、農薬も少なく育てることができ、
非常に良質なブドウが栽培されています。
マルベックの産地として特に有名なのはクージョ地方のメンドーサ州で、
典型的な大陸性気候の広大な大地があり、
標高の高い地域では日中と夜間の寒暖差で高品質なマルベックが造られています。
ここで造られるマルベックは、しっかりとした酸味を伴うのが特徴で、
しっかりとした凝縮感と肉厚でジューシーな果実味が感じられます。
またアルゼンチンでは、ブレンドよりもマルベック100%の単一のワインが
多く造られているのも特徴です。
・フランス
マルベックの生まれ故郷でもあるフランスでもマルベックは栽培されています。
主な生産地はボルドーと南西地方のカオールで、
フランスでマルベックはカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロと
ブレンドされることが多いですが、南西地方のカオールでは、
マルベック単一や主体のワインが造られており、
カオールと名乗るにはマルベックを最低でも70%使用しなければなりません。
カオール一帯はボルドーより雨量が少なく、熱く乾燥した風によって、
ブドウが非常に熟すため、出来上がるワインの色合いは大変濃く、
ヴァン・ノワール=黒いワインという異名を持つほどです。
タンニンも酸味も穏やかでエレガントなワインに仕上がります。
マルベックから造られるおすすめのワイン
アンデルーナ マルベック アルティトゥ 2016 アンデルーナ セラーズ
アルゼンチンの高級感のあるマルベックが味わえる1本。
畑で丁寧に選別されたブドウをすべて手摘みで収穫し、
天然酵母を使い発酵したのち、フレンチオーク樽で8〜12ヶ月間熟成、
さらに最低6ヶ月間ボトルで熟成させています。
濃い紫色。ラズベリーやイチゴなどの赤い果実や、
スミレなどの花を思わせる濃厚なアロマ。
柔らかだがたっぷりのタンニンが感じられ、美しい余韻が長く続きます。
産地:アルゼンチン/メンドーサ
アルコール度数:14.5度
品種:マルベック 100%
カオール マルベック 2014 シャトー ド ケー
フランス南西部に流れるロット河の下流、カオール市から15kmに位置する
18世紀様式のシャトー。
1974年に現在のデンマーク王家の所有となりました。
ラベルには所有者である「デンマーク王子のワイン」と誇りを込めて記されています。
熟した梅を思わせる特有の果実香が漂い、味わいはなめらか。
樽香がよく感じられ、ほどよいタンニンとフルーティな酸味が、
心地よく舌を刺激します。
綺麗に造られたクラシカルなスタイルの王道カオールです。
産地:フランス/カオール
アルコール度数:12.5度
品種:マルベック 90% / メルロ 10%
おすすめワインに合う料理・おつまみ
マルベックのワインは、濃厚な果実味がありながらも、
後味はすっきりとしたものが多いので、
脂身の少ない赤身肉とよく合います。
味付けはシンプルに塩と胡椒のみのステーキがワインの味も
お肉本来の味も双方をうまく引き立ててくれます。
また、フランスのカオールのワインには、鴨などのジビエ肉など、
少しクセのある肉料理も相性がいいのでオススメです。