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以前このソムリエ手帳でお話したフランス領のコルシカ島のすぐ南に位置するサルデーニャ島。
エメラルドグリーンに輝く海と真っ白なビーチをもつ風光明媚なリゾート地として有名ですが、
紀元前15世紀から存在する巨石遺跡ヌラーゲが多く残る神秘的な島でもあります。
そこで、本日はサルデーニャ島で造られるワインについてお話します。
サルデーニャ島について
サルデーニャ島は、地中海に浮かぶ島々の中でもシチリア島に次ぐ2番目に大きな島で、
以前このソムリエ手帳でお話したフランス領のコルシカ島のすぐ南に位置し、
大きさはコルシカ島のほぼ3倍の大きさがあります。
サルデーニャ島の気候は、温暖な地中海性気候で夏と冬の2つの季節に別れ、
5~10月の夏は、雨量も少なくカラッと乾燥した晴天が続き、
11~4月は冬で1月の平均気温は10度と最も寒くなります。
夏のシーズンは、島の北東部に広がる「コスタ・スメラルダ(エメラルド海岸)」と称される、
エメラルドグリーンに輝く海と真っ白なビーチに世界中からセレブが集まってくる
高級リゾート地として知られています。
その一方、1997年に世界遺産に登録された「スー・ヌラージ・ディ・バルーミニ」は、
ヌラーゲとよばれる巨石を円筒・円錐状に積み上げた要塞構造の遺跡で、
その数なんと7000以上も残っているという不思議な島としても有名です。
このヌラーゲは、紀元前15世紀から存在しており、
建物の目的は諸説あり、外敵から身を守るための砦という説や、神殿や住居などの説もありますが、
いずれも詳しいことはまだ解明できていません。
また、サルデーニャ島は地中海のちょうど真ん中に位置するという地理的な条件により、
古代から交易の重要地であり、常に侵略の対象にもなってきました。
古代ローマ時代には、ローマ人の侵略をうけ、ローマ帝国のもとでは大きな発展を遂げ、
ローマ帝国が崩壊すると、アラブ人の度重なる侵略により町は崩壊していきます。
西暦1000年頃から、イタリアのピサとジェノバの援護をうけ、 島は再建されていきますが、
次第にピサとジェノバの権力は増大し、その支配下に置かれていきます。
中世にはスペインの支配下におかれ、その時代は長く続き、
サルデーニャ北西部の町アルゲーロは今もスペイン統治下時代の面影が色濃く残っています。
そして、1720年にはピエモンテ・サヴォイア公国の手に渡り、 サルデーニャ王国が誕生し、
イタリア統一が果たされ、現在の形になりました。
サルデーニャ島で主に栽培されているブドウ品種
前述のとおり、サルデーニャ島は中世の時代にスペインに支配されている時期が長く、
その時多くのブドウ樹がスペインから運び込まれ、
長い年月を経て、現在も固有品種として残り栽培されています。
この島で最も多く栽培されている黒ブドウ品種が、カンノナウです。
フランスをはじめ世界では「グルナッシュ」、スペインでは「ガルナッチャ」と呼ばれる品種で、
程よい酸と豊かな果実味、やや強めのタンニンを持った赤ワインが生み出されます。
また、スペインを起源とする黒ブドウ品種のカリニャーノも栽培されています。
そして、この島を代表する白ブドウ品種がヴェルメンティーノです。
イタリア・リグーリア州、トスカーナ州、お隣のコルシカ島などでも栽培されているブドウですが、
起源はスペインからコルシカ島を経由してサルデーニャ島に渡ったとされています。
サルデーニャ全土で栽培されていて、フレッシュな若飲みタイプから
中程度に熟成したタイプまで幅広く造られています。
その他に、トルバート、セミダノ、ニーダーラート、ヌラーグス、モニカ、ナスコなどの固有品種が栽培されており、
ヌラーグス、モニカ、ナスコは、すべてカリアリ独自の品種でDOCとなっています。
サルデーニャ島の代表的なワイン
DOCGヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ
ガッルーラ地方の丘陵地帯で栽培されたヴェルメンティーノは、
ガッルーラの花崗岩土壌と海風によって、高いアルコール度数となり、
ほんのりとした塩っぽさと後味にわずかな苦みを感じる肉厚な辛口の白ワインになります。
パイナップルなどのトロピカルフルーツとレモンなどの柑橘系に、
清涼感のあるハーブのアロマがあり、
ジューシーな果実味とスッキリとした酸もある味わいです。
最低アルコール度数は12%と決められており、スペリオーレは13%以上になります。
DOCヴェルナッチャ・ディ・オリスターノとDOCマルヴァジア・ディ・ボーサ
この2つの白ワインは、独特の製法により発酵の段階で産膜酵母を発生させ、
このフロールと呼ばれる酵母で、ワインにシェリーのような独特のニュアンスを与えます。
ヘーゼルナッツやハーブのアロマをもつ複雑で優美な味わいの白ワインになります。
サルデーニャワインの特徴
サルデーニャ島のワインは、白ワインと赤ワインの比率はほぼ同じで、
スペイン統治下時代の影響によりスペインの固有品種が多く栽培されています。
造られる白ワインは、海の影響を受けさわやかな酸を持つほんのり塩味が感じられる
シーフード料理によくあう辛口の白ワインが主流です。