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南イタリアで古くから愛されるブドウ品種アリアニコ。
北イタリアを代表するイタリアワインの王バローロと肩を並べるほどの高貴さと品質を持つブドウ品種で、しばしば南のバローロと称されるほど。
そこで、本日はアリアニコについてお話します。
アリアニコの生産地域
アリアニコはギリシャ原産のブドウ品種で、
ギリシャから移住者によってイタリアのポッツオーリ近郊に持ち込まれ、その後カンパーニア州やバジリカータ州に広まり、イタリア南部では古代ローマ時代から現在に至るまで栽培されるとても古く長く愛されるブドウ品種です。
アリアニコとは、イタリア語で「ギリシャの」という意味の「エレニコ(Ellenico)」が由来で、もともとはラテン語の「ギリシャのブドウ」を意味する「ヴィティス エレニカ(vitis hellenica)」からきています。
バジリカータ州では、アリアニコを用いたDOCGのアリアニコ・デル・ヴルトゥレ・スペリオーレや、カンパーニア州のタウラージ村周辺で造られるアリアニコのDOCGである、タウラージが有名です。
近年では、オーストラリア、テキサス、カリフォルニアでも栽培されています。
アリアニコの主な産地
南イタリアのカンパーニア州とバジリカータ州がアリアニコの2大産地です。
カンパーニア州のタウラージ
1993年に南イタリア初のDOCGワインに認定されました。
パワフルで芳醇な味わいと評され、法定熟成期間が3年とバローロ並の熟成を経て、ようやくリリースされる熟成型のワインのため、「南のバローロ」と称され、上質なものなら20年以上の熟成にも耐えうるワインです。
ブラックチェリーやプラムといった黒系果実に、スミレ、チョコレートなどの複雑なアロマがあり、豊富なタンニンと酸で、アルコール度数が高いものが多く、しっかりとした骨格のパワフルな味わいです。
バジリカータ州のアリアニコ・デル・ヴルトゥレ
1971年にDOC指定された地区で、バジリカータ州では最初のDOC認定となりました。
約80万年前に噴火し堆積した溶岩が土台となった土壌で育つアリアニコは、濃いルビー色が特徴的なパワフルな赤ワインを造りだし、深みのあるミネラル感と滑らかなタンニンに、南イタリアならではの豊かな果実味が加わり、ヴィンテージによっては10年以上の熟成にも耐えられるワインで、古くから王侯貴族に親しまれてきました。
アリアニコの栽培について
アリアニコは日照量が多く、乾燥した気候を好みむ品種で、成熟は比較的遅く、イタリア南部では11月頃に収穫されます。
ウドンコ病には強い耐性を持っていますが、カビ病への耐性は弱いため、貴腐菌をつけることはできません。
火山性土壌に適しており、イタリアのバジリカータ州のアリアニコ・デル・ヴルトゥレは、マグネシウムやカリウムやカルシウムなどのミネラルを豊富に含む火山性土壌のため、ミネラル感のある力強いアリアニコが育ちます。
アリアニコから造られるワインの特徴
アリアニコの特徴はなんと言ってもそのパワフルなタンニンです。
しっかりとした酸も持っているため、若いうちは酸とタンニンが強く、少し飲みづらさを感じるものもあるかもしれません。
もし、酸とタンニンが強すぎて飲みづらいと感じたら、デキャンタージュすることをおすすめします。
酸素に触れることで味わいがまろやかになり、香りも増します。
アリアニコは、その豊富なタンニンから熟成するにしたがい、しっかりとしたボディのまろやかな上質なワインへと変わっていきます。
スミレのような花の香りに、プラムやブラックチェリーやベリーといった黒系果実のアロマが混ざり、熟成につれて黒トリュフやなめし革やビターチョコレートやコーヒーなどの深みのある味わいになります。
アリアニコを使ったワインおすすめ4選
アリアニコ ポッジョ・レ・ヴォルピ
ポッジョ・レ・ヴォルピは、ラツィオ州モンテ ポルツィオ カトーネの生産者で、その前身であるワイナリーが、1970年代にアルマンド・メルジェにより創立されました。
1990年代に創立者アルマンド・メルジェの息子のフェリーチェが現在のポッジョ・レ・ヴォルピのブランドが誕生させました。
醸造家には、世界的なイタリアワインの立役者にして、「魔術師」「天才」とも形容される エノロゴのリカルド・コタレッラ氏を迎え、分析ラボ、最新のボトリングライン、低温技術を適用した醸造用・熟成用ステンレスタンクなど 革新的な設備が整う醸造所にて造られます。
その実力は高く、イタリアの有名ワイン誌「ルカマローニ」の2013年度版では、フラッグシップワインであるワインが満点評価の99点を獲得(このワイン誌は満点が99点のため)。
お手頃価格な「プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア」も、この価格帯からするとハイクオリティーなもので 濃厚でしっかりとしたボリューム感を感じる割に、タンニンは控えめ、フルーティな味わいで、女性からも評判の良いワインです。
こちらのアリアニコ100%のワインも、しっかりとしたコクのある重厚な味わいで、フルーツや花を思わせる濃厚なアロマに、柔らかく滑らかでまろやかな味わいで1000円台とは思えない高コスパな1本です。
アリアニコ・デル・ヴルトゥレ・カリチェ ドナート・ダンジェロ
ドナート・ダンジェロは、2001年に醸造家のドナート・ダンジェロと妻のフィロメナ・ルッピによって設立されました。
バジリカータ州で最初のDOC認定されたアリアニコ・デル・ヴルトゥレの最も伝統的な地域である、ヴルトゥレ山周辺、BarileとRipacandida、そしてMaschitoのエリアに合計20ヘクタールのブドウ畑を所有します。
畑ではアリアニコを主体に(全体の80%)、残りはカベルネ・ソーヴィニョンと白ブドウのフィアーノを植えられており、標高500mの火山性の土壌で、南部の バジリカータ州であっても昼夜の寒暖差が大きく、ブドウはゆっくり完熟していきます。
収穫は10月の15~30日の間で行い、収穫したブドウを破砕し醸しを行い、10日間ほどコンクリートタンクで発酵させ、その後樽に移し18か月熟成させます。
こうして造られるアリアニコ100%のワインは、カシスやブラックベリーといった黒系果実のアロマにチョコレートなどのビターな深みも加わり、ほどよい酸と渋みのある濃密で凝縮した味わいのワインです。
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バルコナーラ ドナート・ダンジェロ
イタリアワインの指標として、世界でも強い影響力を持つイタリア産ワイン専門のガイドブック「ヴィニ・ディ・イタリア」で、最高評価にあたるトレ・ビッキエーリ(3グラス)を獲得したドナート・ダンジェロは、DOCアリアニコ・デル・ヴルトゥレの名手として年間15万本の生産本数を誇り、イタリア国内のみならず、EU内の他国やアメリカ、アジアなど多くの国へ輸出されています。
バルコナーラは、ドナート・ダンジェロの所有する畑の中でも、最も優れたブドウを生み出す畑から造られており、畑は標高およそ500mの火山性土壌で、アリアニコと、カベルネ・ソーヴィニョンの2種類のブドウは、完熟するタイミングが異なるので、別々に収穫され、ワイン造りが進められます。
ブレンドされた後、50ヘクトリットルの大樽へ移し最低でも15か月熟成させてからリリースされます。
カベルネ・ソーヴィニョンの持つしっかりとした骨格と、アリアニコの持つ果実の濃密で凝縮した味わいが非常にバランスのよいワインです。
ビフェルノ・ロッソ・リゼルヴァ カミッロ・デ・レッリス
イタリアワインのすばらしさを世界に広めるため、ワイン醸造のエキスパートとマーケティングのエキスパートたちが設立したI.E.Iは、イタリアのソアヴェ(ヴェローナ)に本拠地を構え、北はピエモンテ、アルト・アディジェから、トスカーナに プーリア、モリーゼ、そしてシチリアにサルデーニャとイタリア全土でファインワインを生産しています。
このビフェルノ・ロッソ・リゼルヴァ カミッロ・デ・レッリスは、イタリアの中で小さな州の一つモリーゼ州で造られる赤ワインで、モンテプルチアーノを主体に、トレビアーノ・トスカーナとアリアニコをブレンドして造られます。
オークの大樽で18カ月の熟成後、タンクにてさらに12ヶ月の熟成が行われるリゼルヴァクラスのこのワインは、ガーネット色で、ドライフルーツやペッパーなどのアロマがあり、ジャムのような凝縮したベリー系の果実の香りが感じられ、味わいは、口当たり滑らかな程よいボリュームのある飲みやすい赤ワイン。
モリーゼ州の地方料理である羊・仔羊やヤギ、野生の草などを使用した素朴な肉料理と相性がよく、料理を引き立ててくれる万能な味わいのワインです。