この記事を読むのに必要な時間は約 13 分です。
以前、このソムリエ手帳でもお話したことがありますが、ワインに合わせるのがNGな食材として有名なのが数の子やたらこといった魚卵。
ワイン好きの方なら、お正月に数の子とワインを合わせて、とても生臭く感じたなんて経験一度はやってしまったこともあるのではないでしょうか。
食べた人にしか分からない、とても残念なペアリングの魚卵とワイン。
でも、高級フレンチレストランではよくキャビアとシャンパンのペアリングをみかけますよね。
そこで本日は、なぜ魚卵がワインに合わないのかについてお話しするとともに、合わせるときの注意点と、魚卵とのペアリングにおすすめしたいワインを5つと、シャンパンとキャビアのマリアージュセットをご紹介します。
ワインと魚卵の相性について
魚卵と一口にいっても、いくら、数の子、たらこ、すじこ、とびっこなど、さまざまな魚卵があり、映画などで目にする高級シャンパンのおともにキャビアなど、数の子などと同じ魚卵のキャビアは、最高級なワインのおつまみとして世界的にも有名ですよね。
なので、お正月のお節料理などお祝い事のお料理に入っている数の子も、ワインに合いそうなのに、なぜNG食材なのか。
じつは、そこには魚卵がもつ特有の成分がワインとの相性を悪くさせていたのです。
このことについては、のちほど詳しくご説明しますが、その前に、すべての魚卵がワインに合わないかというと、じつはそうではありません。
先ほども例として挙げたキャビアなど、シャンパンに合わせて食べられることの多い食材の1つ。
また、イタリアでよく食べられるカラスミのパスタ。
カラスミは、塩漬けにしたボラ等の卵巣を乾燥させた高級珍味で、イタリアでは「ボッタルガ」と呼ばれ、サルデーニャ島の特産品でもあります。
そんなボッタルガはもちろん、イタリアワインとよく合わせて食べられています。
それでは、ワインに合う魚卵と合わない魚卵があるということか、と考えられると思いますが、どちらかと言えば合わせ方が重要になってくるんです。
魚卵の生臭さが引き立ってしまうメカニズム
そもそも、魚卵がワインに合わない理由は、魚卵にはDHA(ドコサヘキサエン酸)や、EPA(エイコサペンタエン酸)といった
脂肪酸が豊富に存在しています。
こうした脂肪酸は、酸化すると過酸化脂質へ変化してしまいます。
この過酸化脂質がワインに含まれる鉄イオンと合わさることにより、生臭さの成分である(E,Z)-2,4-ヘプタジエナールが発生し、グラスの中いっぱいに魚卵の生臭いにおいが充満してしまうというメカニズムなんです。
とくに魚卵の中でも数の子はこの生臭ささが強く、残念ながら、白ワイン、赤ワイン、ロゼワイン、スパークリングワインのどれにも合わせるのが難しい食材です。
魚卵にワインを合わせるときは
それでは、魚卵にワインを合わせるのはあきらめた方がいいのか。
というと、食べ方と合わせるワインでこの生臭さを少し回避することができます。
まず、食べ方としてはチーズなどの乳製品を一緒に摂ることで、乳製品に含まれる油脂分が、鉄+脂質によって生み出された生臭みをカバーし、魚卵の生臭さを軽減してくれます。
さきほどの、キャビアとカラスミのパスタを例にとると、キャビアを食べる際に、よくブリニと呼ばれる小さなパンケーキのような
そば粉のクレープに乗せて食べると思います。
またブリニと一緒に添えられているのがサワークリーム。
じつは、このサワークリームがシャンパンとキャビアのつなぎ役として、キャビアの生臭さをカバーしてくれていたんです。
カラスミのパスタはたっぷりのオリーブオイルがその役割を果たしてくれています。
また、合わせるワインもフルーティーな白ワインは魚卵の生臭さを引き立ててしまいますので、合わせるならシャンパーニュ製法で造られたスパークリングワインや、シュール・リー製法で造られたミュスカデや甲州など、アミノ酸が豊富な辛口で厚みのある味わいのものを選ぶことで、魚卵の生臭ささを軽減し、卵の旨味を引き立ててくれます。
魚卵とマッチするワインおすすめ5選
ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ・シュール・リー
フランス・ロワール地方のドメーヌ・ド・ラ・ヴァンソニエールが手掛けるシュール・リー製法で造られたミュスカデ。
このドメーヌの60haのブドウ畑は、海からの影響で豊富な日照量と穏やかな気温ながら、定期的な雨と強風がブドウの木を乾燥させることで、病害を発生しにくくしており、極力自然に近い農法である「リュット・レゾネ」を用いて栽培しています。
また、環境に配慮したブドウの栽培方法「テラ・ヴィティス」の認証を取得しており、ブドウ樹とテロワールを尊重したワイン造りが行われています。
ミュスカデ100%で造られるこのワインは、輝きのある淡いイエローから麦わらの色調で、レモンやシトラスなどの柑橘系に清涼感のあるハーブのアロマ。
一口含むと穏やかで心地よい酸味があり、いきいきとしたフレッシュな果実味に、ほんのり旨味が感じられます。
シーフード料理とのペアリングがおすすめの白ワイン。
ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ・シュール・リーのご注文はこちら
甲州 勝沼 スズラン酒造
1905年創業の山梨の老舗ワイナリーであるスズラン酒造は、明治の中頃、日本酒造りの傍らワインを試しに造ったことがきっかけで、政府より送られてきたドイツ人技師によって、本格的にワイン造りが始まりました。
スズラン酒造では、カベルネ、メルロ、プティヴェルド、シラー、ピノ・ノワールといった国際品種も広く栽培され、中でもボルドー品種には力を入れており、たっぷりとした果実味とまろやかさを持つ、余裕のある味わいのワインが造られています。
そんなスズラン酒造が造る甲州ワインは、柑橘の爽やかなアロマにフルーティーな果実味があり、まろやかなコクとふくよかな味わいで複雑味と深みのあるワインに仕上がっています。
キュヴェ・アンタレス・ブリュット
ドメーヌ・ド・ラ・ヴァンソニエールが所有する60haのブドウ畑は、海からの影響で豊富な日照量と穏やかな気温ながら、定期的な雨と強風がブドウの木を乾燥させることで、病害を発生しにくくしており、極力自然に近い農法である「リュット・レゾネ」を用いて栽培しています。
また、環境に配慮したブドウの栽培方法「テラ・ヴィティス」の認証を取得しており、ブドウ樹とテロワールを尊重したワイン造りが行われています。
ドメーヌ・ド・ラ・ヴァンソニエールが手掛けるスパークリングワインは、美しいゴールドの色調で、ワイルドストロベリーやラズベリーのような果実の香りに森のコケや、香木のような甘い香り、パン酵母のような熟成香を感じます。
口に含むと活き活きとした果実味とともにシャープな酸味と黒ブドウに由来するボリューム感があり、プラムやアプリコットのようなフルーツの瑞々しい味わいのあるワインです。
ブリュット・ダンジャン・フェイ ポール・ダンジャン・エ・フィス
ポル・ロジェ、マム、ローラン・ペリエと誰もが知る大手メゾンと並び英国王室御用達ワインとして小規模生産者ながら高品質なワインを生み出すポール・ダンジャン。
もともとはモエ・エ・シャンドンなどにブドウを販売していたブドウ栽培家ならではの、強いこだわりを持ったブドウ栽培と、クラシカルな方法にこだわり、長い瓶内熟成期間を守り、複数年のワインをアッサンブラージュし、重すぎないエレガントなスタイルを表現します。
このブリュットは、細かい泡が切れ目なく立ち上り、ライムやリンゴなどのフレッシュなフルーツに、マカロンのような甘いアロマも感じられ、すっきりとした爽やかさのあるピュアな味わい。
「前菜からデザートまで通すことができる」バランス感で、どんな料理にも合わせられます。
まさにクラシックな魅力ある、均整のとれた1本。
ブリュット・ダンジャン・フェイ ポール・ダンジャン・エ・フィスのご注文はこちら
カルト・ドール ポール・ダンジャン・エ・フィス
ポル・ロジェ、マム、ローラン・ペリエと誰もが知る大手メゾンと並び英国王室御用達ワインとして小規模生産者ながら高品質なワインを生み出すポール・ダンジャン。
もともとはモエ・エ・シャンドンなどにブドウを販売していたブドウ栽培家ならではの、強いこだわりを持ったブドウ栽培と、クラシカルな方法にこだわり、長い瓶内熟成期間を守り、複数年のワインをアッサンブラージュし、重すぎないエレガントなスタイルを表現します。
このカルト・ドールは、フレッシュな青みをのあるブドウの香り。
爽やかな辛口で飲みやすい中にも芯のしっかりと味わい、丁度良いボリュームがあり、どんな料理にも寄り沿ってくれそうなシャンパン。
キリッっと冷やして、鶏ムネ肉のソテーやフレンチポテトなどのシンプルな料理と合わせれば、シャンパンと料理のお互いの良さをより楽しめます。
カルト・ドール ポール・ダンジャン・エ・フィスのご注文はこちら
古来より王家や貴族のみ味わうことができた究極のマリアージュ
トリュフ、フォアグラと並び、世界三大珍味の1つとされるキャビア。
チョウザメの卵を塩漬けにしたもので、「黒いダイヤ」とも呼ばれる希少な食材。
古くからキャビアとシャンパンは、王家や貴族の間でマリアージュの定番とされてきました。
化粧箱付き つくばスタージョン・キャビア
筑波山の伏流水で育った国産キャビア!塩辛くなく、まろやかな旨味が特徴。
茨城県に特産物を作りたいという想いから、筑波山の麓の美しい田園が広がる故郷・桜川市でチョウザメの養殖を開始。
チョウザメの飼育数は6,000匹以上を超え、応援してくれる方も年々増え、現在では桜川市が選ぶ市内の特産品「さくら川百貨」に選出されたチョウザメの卵であるキャビアだけでなく、魚肉も茨城県内の飲食店やホテルなどでも取り扱われている信頼できる日本企業です。
市場に出回る多くの輸入キャビアが保存の為、高濃度の塩分で加工していますが、つくばスタージョン・キャビアは、キャビア本来の味わいを楽しめる国産品です。
カルト・ノワール ポール・ダンジャン・エ・フィス
ダンジャン家は代々ブドウ栽培家の家系で、以前はモエ・エ・シャンドンやF1の公式シャンパーニュとして有名な「マム」社といった大手メゾンへブドウを供給していました。
そして、ヴーヴ・クリコやランソンなどの大手メゾンと並び、唯一の小規模生産者でありながら英国王室御用達のシャンパーニュとして収められています。
ブドウ栽培家ならではの強いこだわりを持ったブドウ栽培で、リュット・レゾネの一種である「同化農法(環境に合わせて各種の対処を行う農法)」を採用しており、人工合成された化学薬品は使用しません。
ポール・ダンジャンのワイン造りは、畑から生まれたブドウと酵母のみで造るピュアなシャンパーニュなのです。
ピノ・ノワール100%で造られるこのワインは、青リンゴ、アプリコット、ピーチなどのフルーツの香りがたっぷりと感じられ、最初はシャープな酸を感じますが、その奥にある果実味やかすかな苦み、旨みといった要素も感じられ、食事と合わせることで、ふくよかなコクと果実味がどんどん引き出され、このシャンパン本来の味わいが楽しめます。