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スパークリングワインというと、輝くゴールドの色合いと、弾ける泡の華やかな印象からお祝いの時に飲むイメージがありますよね。
でも、スパークリングワインと一口に言っても、さまざまな種類があり、お祝いの席にぴったりの特別感のあるものから、普段の食事に合わせやすく軽やかに飲めるものまで。
本日はスパークリングワインのお話をしたいと思います。
スパークリングワインの種類と特徴
日本では、スパークリングワインというと、普段からよく飲むという方は少ないと思いますが、世界のワインの生産量の7%を占めていて、生産量と消費量は年々増え続けています。主な生産国は、なんと世界の1/4がフランスで造られ、イタリア、ドイツと続きます。
「スパークリングワイン」は、一般には3気圧以上のガス圧を持った発泡性ワインの総称のことを言い、1~2.5気圧は弱発泡性、0.5~1気圧は微発泡性と分けられます。
そもそも「スパークリングワイン」とは、英語での名称ですが、発泡性のワインは世界のさまざまな国と地域で造られています。
・日本語で言えば ⇒ 発泡性の果実酒
・フランス語だと ⇒ ヴァン・ムスー
・イタリア語だと ⇒ スプマンテ
・スペイン語だと ⇒ エスプモーソ
これらがワインのタイプを示す大きな名称で、造る地域や、造り方によって呼称が分かれていきます。
[フランス]
■シャンパン
シャンパーニュ地方で瓶内二次発酵方式で造られるスパークリングワイン
■クレマン
シャンパーニュ地方以外で、大半が瓶内二次発酵方式で造られる
スパークリングワイン(ガス圧3~3.5気圧程度のもの)
■ヴァン・ムスー
クレマンよりもガス圧の高いスパークリングワイン(5~6気圧)
■ヴァン・ペティヤン
弱発泡のスパークリングワイン(1~2.5気圧以下)
■ヴァン・ペルラン
微発泡性のスパークリングワイン(0.5~1気圧)
[イタリア]
■フリッツァンテ
微発泡性のスパークリングワイン
■フランチャコルタ
北イタリアのロンバルディアで造られる高級スプマンテ
■プロセッコ
ヴェネト州で造られるプロセッコ(グレーラ)種を使用したもの
■ランブルスコ
エミリア・ロマーニャ州で造られるランブルスコ種を使用したもの
[スペイン]
■カヴァ
主にスペインのカタルーニャ州で瓶内二次発酵方式で造られるスパークリングワイン
[ドイツ]
■シャウムヴァイン
ドイツ語のスパークリングワインのこと
■ゼクト
ドイツ国内で瓶詰めされたシャウムヴァインのこと
シャンパンは特別な製造方法で作られている
フランスで最北のワインの産地であるシャンパーニュ地方。
ブドウ栽培の北限ギリギリの冷涼な土地で、この地方で伝統的に造られるスパークリングワインだけが「シャンパーニュ(=シャンパン)」を名乗れます。
使用されるブドウの品種は、白ブドウはシャルドネ、黒ブドウはピノ・ノワール、ピノ・ムニエから造られます。
シャンパンの醸造法は途中まで白ワインと同じで、「瓶内二次発酵」という特殊な工程を加えることで泡を発生させます。
その後、瓶の中で「15か月上」は熟成しなければいけないと法律で義務付けられており、ヴィンテージシャンパーニュと呼ばれるものになると、「36か月以上」熟成されてからでないと市場に出回りません。
熟成期間中、最初は横に寝かせて保管し、少しずつ瓶を回しながら瓶の口が下になるように動かし発酵で生まれた澱を瓶の仮栓のところへ集めます。
瓶の口を冷却し仮栓を外すと気圧により凍った澱が自然と飛び出ます。
最後にワインの原液と糖分を混ぜた門出のリキュールを補充し完成します。
つまり、手間と時間が本当にかかる大変な工程を経ており、このゆっくりと置かれる熟成期間の中で、元々白ワインだったワインが発酵により、どんどん細かい気泡が生まれ、シャンパンとなるのです。
シャンパン(世界のスパークリングワイン)は辛口から甘口まで7種類あり、それぞれ名称があります。
・Brut Nature(ブリュット・ナチュール)
・Extra Brut (エクストラ・ブリュット)
・Brut (ブリュット)
・Extra sec (エクストラ・セック)
・Sec (セック)
・Demi sec (ドゥミ・セック)
・Doux (ドゥ)
上に行くほど辛口、下が甘口です。
シャンパン&スパークリングワインおすすめ5選
シャルル・ぺルティエ メソード・トラディショネル ピフォー・ヴァン・エ・ドメーヌ
コンクール金賞受賞生産者であるピフォー・ヴァン・エ・ドメーヌが手がけるシャンパーニュ製法のブラン・ド・ブラン。
アイレンという、スペインでは重要品種である白ブドウのみを使用しており、開けた瞬間にリンゴや柑橘のフレッシュなアロマに、爽やかなハーブのアロマが感じられ、きめ細やかな美しい泡で、フルーティな果実味に加え、パン種のようなと形容される独特の味わい。
このような風味と辛口の味わいでお食事を通して飲んでも飽きのこないバランスのよい味わいの1本です。
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ピエモンテ・ピノ・ネロ・エクストラ・ブリュット・モリネーラ ヴィーテ・コルテ
テッレ・ダ・ヴィーノ社は1980年に設立された協同組合で、設立当初は18の契約ブドウ栽培農家から始まった組合ですが、今や2500人の栽培家と契約し、より安定した品質での提供が可能になり、優れた品質のバローロ、バルバレスコをリリースしています。
テッレ・ダ・ヴィーノは、早い段階からDOCとDOCGのワインだけを製造しており、上級レンジに特化していた点が他と異なります。品質を高めていく過程で、もう一段上のレベルのワインを造るプロジェクトがスタートする事になりました。それが、Vite Colte(ヴィーテ・コルテ)です。
ピノ・ネロの畑は、タナロ川の南、モンフェラート方面の標高200~300mの場所に広がっており、北側は砂質とマール(泥灰土)で構成され、一方南側は北側より古い地層で、シリカとマールで構成されています。
二次発酵はシャルマ製法でタンクで18か月間おこなうため、ワインには果実の香りだけでなく、パン酵母のような複雑味が表現され、骨格が感じられる味わいへと変わっていきます。
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ブリュット・ダンジャン・フェイ ポール・ダンジャン・エ・フィス
ポル・ロジェ、マム、ローラン・ペリエと誰もが知る大手メゾンと並び英国王室御用達ワインとして小規模生産者ながら高品質なワインを生み出すポール・ダンジャン。
もともとはモエ・エ・シャンドンなどにブドウを販売していたブドウ栽培家ならではの、強いこだわりを持ったブドウから造られるシャンパンは、細かい泡が切れ目なく立ち上り、ライムやリンゴなどのフレッシュなフルーツに、マカロンのような甘いアロマも感じられ、すっきりとした爽やかさのあるピュアな味わいで、フルーティさと適度なボリューム感がどんな料理とも相性よく合わせられます。
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ブリュット・ミレジメ シャンパーニュ・バロン・ド・ロスチャイルド
シャトー・ムートン・ロスチャイルドを所有するバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド、シャトー・ラフィット・ロスチャイルドを保有するドメーヌ・バロン・ド・ロスチャイルド、そしてスイスを拠点に、金融業を主に営み、シャトー・クラークを保有するバロン・エドモン・ド・ロスチャイルド。
この3社のロスチャイルドファミリーが「シャンパーニュ造り」という一つの目標に向かい、協力して生み出した偉大な作品が、このシャンパーニュ、バロン・ド・ロスチャイルドです。
それぞれのノウハウを集結し、最上のブドウから生み出された、高品質なシャンパーニュは、2009年のリリースとともに注目を集め、2010年には漫画「神の雫」にも描かれたことで、認知度が一気に高まりました。
優れた年に仕込まれるミレジメ・シャンパーニュは、シャルドネはコート・デ・ブランの特級区画のものを中心に使用し、ピノ・ノワールはヴェルズネ、アイ、マルイユ・シュール・アイ 、そしてブジーのものを使用しています。
澱とともに7年間熟成させることで、厚みがあり、複雑で長い余韻を持つ、重層的な味わいに仕上げています。
ふくよかなコクと長い余韻が楽しめる繊細な味わいのシャンパーニュです。
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アスランジェ・ブリュット G.H. マーテル
150年以上の歴史をもつ老舗メゾンのG.H.マーテルは、約200ヘクタールに及ぶ自社畑と550の栽培農家からブドウを調達しており、その生産本数は年間1000万本に達し、第6位の規模を誇ります。
この規模でも家族経営で、他の業界へは目もくれず代々シャンパーニュやブランデー造り一筋と職人気質のメゾンで、その品質の高さからも高級フレンチレストラン“マキシム・ド・パリ”のハウスシャンパンとしての実績を持ち、その他世界各国のエアラインやミシュラン星付レストランでも採用されています。
そのマーテルが手掛ける新たなシャンパーニュブランドが『Haslinger アスランジェ』。
シンプルで無駄のないエレガントなデザインと、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネを用いた伝統的なアッサンブラージュによる、和食にも合う繊細な味わいながら、ふくよかなコクと長い余韻を楽しめるエレガントな1本です。
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シャンパンと同じ製法のスパークリングワインが実はある
シャンパンは、普段の食事に合わせてという飲み方はなかなかできませんが、実は、フランス各地や、イタリア、スペインなどで、このシャンパンと同じ工程で作られているスパークリングワインがあるんです。
そのスパークリングワインのことを「シャンパーニュ製法(シャンパン製法)」といわれ、スパークリングワインの中でも手間のかかった贅沢品です。
フランスでは、「クレマン」と呼ばれるものがそれに当たり、スペインでは「カヴァ」などがそうです。
この「シャンパーニュ製法(シャンパン製法)」と記載のあるものをスパークリングワインを選ぶときの一つの基準にしてもいいですね。
シャンパンとスパークリングワインの値段と味の違い
シャンパンがその他のスパークリングワインよりも高価な理由は、いくつかあります。
その違いを知るには、まずスパークリングワインの製法についてお話しましょう。
スパークリングワインの製法は大きく分けて3種類あります。
一つ目は、シャンパーニュ方式とも呼ばれるもので、糖分と酵母を加えて、瓶内でゆっくりと時間をかけて発酵し、熟成させることで、きめの細かい泡となります。
二つ目は、シャルマ方式と言われ、密閉耐圧タンクで発酵させる方法です。
三つ目は、ワインに二酸化炭素を加えるもので、比較的リーズナブルなスパークリングワインはこの方法で造られるものが多いです。
シャンパンは、先ほどもお話した通り、市場に出回るまでに最低でも15か月以上瓶内で熟成させなければならないという法定があります。
そのため、ワインを保存する場所、手間、時間がかかるためコストも上がります。
また、シャンパンで使用されるブドウの品種も決まっており、そのブドウの原材料が高いのも理由の一つ。
そして、収穫もすべて手摘みをしなければならないという決まりがあり、かなりの手間をかけて造られているのが分かりますね。
お味の違いはというと、リーズナブルなスパークリングワインとの一番の違いは、そのクリーミーできめ細やかな泡立ちでしょう。
一口、口に含んだ瞬間に鼻孔に広がる華やかでエレガントな香りや、造り手とブドウの品種、ブレンドにより味わいは異なりますが、洋ナシや熟したピーチやアプリコット、リンゴ、白い花、バニラ・カラメル・はちみつといった濃厚な香りに例えらることが多く、爽やかでキレがありながらも複雑なアロマが絡み合う飲みごたえのある味わいです。