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ワインを飲みなれてくると、自分が好んで飲むブドウ品種や産地が見つかると思います。
さまざまなワインを飲んでいくうちに、次第にワインの魅力にはまると、
ブドウ品種や産地だけでなく、より複雑なワインを試したくなり、
いくつかのブドウ品種がブレンドされたワインの味のハーモニーを楽しみたくなります。
そこで、本日はブレンドワインについてお話します。
ブレンドワインはアッサンブラージュとも例える
ブレンドワインとは、さまざまなブドウの品種をブレンドすることで造るワインで、
以前にも、このソムリエ手帳で、ブルゴーニュワインとボルドーワインの特徴の違いに、
ブルゴーニュワインは、1つのブドウ品種しか使われていない「単一ワイン」が特徴で、
さまざまなブドウ品種を組み合わせて造られる「ブレンドワイン」が
ボルドーワインの特徴とお話したことがありました。
今回はボルドーワインの特徴である「ブレンドワイン」を掘り下げていきたいと思います。
フランスでは、ワインのブレンドのことを、
「組み立てる」「集合する」「積み上げる」「貼り合わせる」という意味の、
「アッサンブラージュ(アサンブラージュ)」という言葉を使います。
もともとは、美術の技法を表した言葉ですが、
ワインでは「調合する」という意味合いで、アッサンブラージュと使われます。
ブレンドすることによるワインの変化
さて、ブドウの品種がブレンドされることで、どのような変化があるのか。
それは、ブレンドワインのメリットとも言える、味わいの複雑性です。
さまざまなブドウ品種を組み合わせることにより、単一のブドウ品種では造り出せない
複雑な味わいのワインを生み出すことができます。
なぜ、ブドウの品種を組み合わせることにより複雑性が生まれるのかというと、
ブドウはそれぞれの品種によってさまざまな個性を持っています。
例えば、香りが芳醇で果実味のあるブドウもあれば、
渋みと酸味が豊富で骨格がしっかりとしたブドウもあり、
また、厚みがしっかりとしていて余韻が長く味わえるブドウもあります。
単一では、出し切れないそれぞれの味の特徴を組み合わせることにより、
補いあうことでそれぞれの味の特徴をもったバランスの良いワインができるからです。
また、ブレンドワインのメリットとしては、安定的にワインの品質を保てることがあります。
ブドウは品種によって収穫時期が早いものや遅いものがあり、
気候によって耐えられるものとそうではないものとさまざまあります。
ヴィンテージによっては、ある品種のブドウが思っていたよりうまく育たず
収穫量が減ってしまった…という時もブレンド比率を変えることで、
うまく育ったブドウを多くして、ワインの味わいを調整することが出来ます。
そして、ブレンドすることにより味わいを整えるのはもちろんですが、
飲み頃に到達する熟成期間の長さもブドウ品種により差があるので、
ブレンドすることで、熟成期間も調整することができるので。
自然環境に左右されやすいワインであっても、
常に品質を保って供給できるというのが大きなメリットと言えるでしょう。
ここまで読むと、それならワインってブレンドした方が絶対に良いでしょ。
と思われるかもしれませんが、やはりブレンドワインにもデメリットはあります。
大きなデメリットとしては、味わいに特徴が出しづらい。という点です。
ブドウは、その土地の土壌(テロワール)の影響を受けますので、
同じブドウ品種であっても産地により味わいが異なります。
そのため、単一ワインはその土地のブドウ品種の味わいをしっかりと表現できますが、
さまざまなブドウ品種を組み合わせることにより、
その土地の特徴が出しにくくなり、似たような味わいになってしまう可能性もあります。
下手をすると、ブレンドによっては世界のどこでもボルドーワインに似たような
味わいを造れてしまうというのが、最大のデメリットと言えるでしょう。
ブレンドワインに用いられる主なブドウ品種
【赤ワイン用ブドウ品種】
◆カベルネ・ソーヴィニョン
ボルドー地方の伝統的な品種。
豊富なタンニンがあり、芳醇でしっかりとした骨格を持つワインに仕上がります。
若いうちは強い渋みを感じるものあるため、丸みのあるおおらかな味わいのメルローと
ブレンドされることが多いです。
ブレンドすると甘草やカシス、杉、ジビエのような魅惑的な香りを出し、
複雑なブーケを開花させる品種です。
◆メルロー
ボルドー地方でもっとも広い栽培面積をもつ品種。
カベルネ・ソーヴィニョンと最高に相性が良い品種で、
深い色合いが特徴的で、プルーンやダークチェリーのようなフルーティな香りと、
すみれを思わせる華やかな奥深い香り、またロースト香がふくよかで口当たりの良い
ワインに仕上げます。
◆カベルネ・フラン
補佐的なイメージが強い品種ですが、カベルネ・ソーヴィニョンやメルローといった
単体で個性の強いブドウ品種をブレンドする際にうまくつなぎ合わせてくれる品種です。
ラズベリーやすみれのような愛らしくも奥深い香りが魅力です。
【白ワイン用ブドウ品種】
◆シャルドネ
辛口白ワインを生み出す王様的な品種。
地域、テロワール、造り手によって味わいも香りもさまざまな特徴を出し、
シャルドネから造られる白ワインはデイリーワインから高級ワインまでさまざま。
一般的には、レモン、りんご、アカシア、はちみつ、バター、ヘーゼルナッツなどの香りが特徴的。
単体で造られることも多いですが、ソーヴィニョン・ブランとの相性も良く、
ブレンドワインとしても使われます。
◆ソーヴィニョン・ブラン
香りが変幻自在で、温暖な産地ではトロピカルフルーツや白い花の華やかな香りを出し、
冷涼な産地では酸味がきつくなり、猫のおしっこのような香りと例えられることも。
一般的には、グレープフルーツのような柑橘系のさわやかな香りが特徴で、
ボルドーでは、セミヨンとブレンドされることが多いです。
◆セミヨン
中甘口と甘口ワインに欠かせない代表品種。
偉大な甘口ワインとされる「貴腐ワイン」を生み出す品種としても有名ですが、
ボルドーでは辛口ワインのブレンドとして用いられるほどの豊かな香りです。
ベルガモットやアプリコットの香りが特徴で、
甘口になるほどハチミツやプラリネのような濃厚な香りがしてきます。
ブレンドワインはラベルに品種の記載がないものも
ニューワールドのワインについては単一ワインが多く、
ラベルを見ただけで何の品種で造られているのか一目瞭然ですが、
オールドワールドのブレンドワインは、
ラベルにブドウ品種の記載がないものが多いため、
どの品種がどのくらいの割合でブレンドされているのか、
ラベルをみただけでは分からず、選ぶのが難しいかもしれません。
自分の好みの味を探したいという時には、ワイン専門の店員さんがいれば、
相談してみるのもいいでしょう。
また、ネットショップの方がより詳しくワインの情報が分かるため、
色々と調べてから購入したいという時は、ネットショップがおすすめです。