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ウズベキスタンは、国民のほとんどがイスラム教徒ですが、
飲酒に関しては比較的ゆるく、古くからワインは造られており、
1860年代にウズベキスタンで初めてワイン造りが商業化され、
パリとアントワープのワインの国際大会で賞を獲るほど
ウズベキスタンのワインは世界からも評価を得ていました。
しかしながら、一時ワイン産業が衰退したことで、
現在ではあまりワインの産地として知られることのないウズベキスタン。
そこで、本日はウズベキスタンワインについてお話します。
ウズベキスタンワインの歴史
ウズベキスタンは、中央アジアに位置する共和国で、
北と西にカザフスタン、南にトルクメニスタンとアフガニスタン、
東にタジキスタン、キルギスと接し、かつてソビエト連邦の構成国でした。
1991年に旧ソビエト連邦から独立後、農業を強化し世界でも最大の輸出国である綿で、
急激に発展していきました。
ワインの歴史は古く、ローマ時代にはシルクロードを渡ってブドウ栽培が導入され、
1860年代にウズベキスタンで初めてワイン造りが商業化され、
パリとアントワープのワインの国際大会で賞を獲るほどウズベキスタンのワインは
世界からも評価を得ており、その後ワイナリーの数は増加し続けました。
しかしながら、旧ソビエト連邦時代に、ゴルバチョフ政権の反アルコールキャンペーンで
多くのワイナリーが打撃を受け、ワイン産業が衰退していきました。
ブドウ栽培は2006年から国家の優先事項となり、
徐々にブドウの栽培面積が増えてきており、
新しいブドウ品種の導入や、ワインの醸造設備の近代化など
ワイン産業に多くの投資がおこなわれ、再びワイン産業が成長してきています。
ウズベキスタンワインの特徴
ウズベキスタンは、国民のほとんどがイスラム教徒ですが、
飲酒に関しては比較的ゆるく、公共の場で飲むことはあまりありませんが、
ワイン以外にもビールやブランデーなどさまざまなお酒が造られ、販売されています。
旧ソビエト連邦時代には、日照時間が長いウズベキスタンのブドウは非常に甘いため、
乾燥したブドウから造られる甘口ワインの主要な産地として、
ワインの生産に力を入れていた時期もあり、
首都のタシュケント(タシケント)では、高級ウォッカや熟成ブランデーを生産する
ワイナリーなどあります。
生産されているワインは、旧ソビエト連邦時代から造られている甘口ワインや、
ヨーロッパ品種で造られたワインなど幅広い種類のワインがあります。
以前までは、ウォッカやブランデーといったハードリカーなお酒が好まれていましたが、
最近は、辛口のワインの国内需要が増えており、ワインの消費が増加傾向にあります。
産地とブドウ品種
良質なブドウが造られるサマルカンド州では、古くからからワイン造りが盛んで、
タシケント州でも旧ソビエト連邦時代から造られている甘口ワインや、
ヨーロッパ品種で造られたワインなど幅広い種類のワインを造るワイナリーがあります。
タシケントから約100km離れたパルケントでは、
主に輸出用に造られたヨーロッパ品種のワインが多く生産されており、
最大の輸出先は、ロシアや中国カザフスタンなどです。
赤ワイン用品種には、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン、
白ワイン用品種には、リースリングが栽培されています。
また、コーカサス地方の固有品種も多く栽培されています。
・ルカツィテリ
白ワイン用の品種で、ウズベキスタンのみならず、ジョージア、モルドヴァ、
ウクライナ、アルメニア、ブルガリア等でも広く栽培されています。
湿度が高く、暖かい気候には適していません。
香りが控えめなため、華やかな香りの特長を持つ
ムツヴァネ・カフリとブレンドされることが多いです。
・サペラヴィ
こちらもウズベキスタンのみならず、ジョージアなどコーカサス地方で
広く栽培されている赤ワイン用の品種です。
「染料」という意味があり、果肉まで赤いのが特徴。
強いタンニンと酸がしっかりとしていて、熟成能力が高く、
辛口や甘口の赤ワイン、ロゼなど様々な味わいを造り出します。
おすすめワインメーカー
バギザガン
ウズベキスタンのワインの産地であるサマルカンド州のワインメーカーの1社。
「バギザガン」とは「鳥の庭」という意味を持ち、
ゼラフシャン川とパミール山脈(高原)に挟まれた地形で、
川の湿気と冷気が南の山脈が受け止め、ブドウ栽培に適した土地です。
14世紀にサマルカンドに王朝を開いたアミール・ティムールの所領地だったと
言われており、今後は宿泊施設を設け観光客へのサービスに力を入れていく予定。