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ワインは、ブドウの糖分が発酵によってアルコールに変わるとてもシンプルなお酒。
でも、同じワインでも赤ワインと白ワインではなぜ色が違うのか、
それは、使われるブドウの品種と醸造法の違いによるもの。
そこで本日は、ワインの醸造方法についてお話します。
ワインが醸造されるまでの流れ
ここでは、赤ワインの醸造の流れをご紹介します。
ブドウを収穫後下記のような工程で醸造されます。
1.除梗・破砕(エグラパージュ・フーラージュ)
果房から果粒を外し、ワインに必要のない果梗(枝の部分)を取り除き、
種がつぶれない程度に破砕して果汁にします。
2.浸漬(マセラシオン)
これは赤ワインのみの工程で、
果皮や種と一緒にタンクの中で2~3週間漬け込み、
果皮の色素を果汁につけます。
3.アルコール発酵(アルコリック)
およそ10日かけて酵母が果肉の糖分をアルコールに変えていきます。
4.プレス(プレシュラージュ)
破砕によって生まれた果汁のみを抽出し、残った皮や種子をプレスします。
5.熟成とマロラクティック発酵(エルヴァージュ・マロラクティック)
数週間から36か月までの間、タンクや樽の中で休ませます。
この間赤ワインはアロマやストラクチャーが発達し、複雑味が生まれてきます。
マロラクティック発酵でワインはより安定し酸味が和らぎます。
6.澱引きと二酸化硫黄を添加(スーティラージュ)
樽(タンク)の底にたまった澱などの沈殿物を取り除き、
酸化を防ぐための少量の二酸化硫黄(酸化防止剤)を加えます。
(酸化防止剤は生産者によっては入れないところもあります)
7.清澄(コラージュ)・濾過(フィルトラージュ)
タンパク質の吸着剤(卵白)などを用いて浮遊物を取り除き、
ワインをクリアにするための作業をおこないます。
8.瓶詰め(アンブテイヤージュ)
ワインは瓶詰めされ、コルク栓またはスクリューキャップで栓をして、
多くがすぐに出荷されますが、中には瓶でさらに熟成をしてから出荷されます。
赤ワインの醸造方法・ポイント
赤ワインの醸造の一番のポイントは、
タンクで2~3週間ほど果粒と果汁を漬け込む「マセラシオン」です。
この時に赤ワインの色素である赤い色が、皮から抽出されます。
果皮から抽出した色素から多量のポリフェノールの一種であるタンニンが出てくるため、
そのタンニンがさまざまな成分と結合して複雑な風味をつくり出し、
ワインの味わいに奥行きと深みを与えてくれます。
白ワインの醸造方法・ポイント
白ワインの醸造方法は赤ワインとほぼ同じですが、
除梗をおこなったあとに、赤ワインの色素をつける
マセラシオンを行わず、すぐに圧搾されます。
その後は造りたいワインのタイプに合わせて
ステンレス製のタンクや木樽をつかって育成されます。
白ワインにもポリフェノールは含まれており、
量としては赤ワインほど多くはありませんが、
分子量が小さく性能の高いポリフェノールが入っていることが分かりました。
また、白ワインには酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酢酸、コハク酸など
有機酸が含まれており、悪玉菌の増加をおさえる効能があります。
スパークリングワインの醸造方法・ポイント
スパークリングワインの製法は大きく分けて3種類あります。
1つ目は、シャンパーニュ方式とも呼ばれるもので、
糖分と酵母を加えて、瓶内でゆっくりと時間をかけて発酵し、
熟成させることで、きめの細かい泡となります。
2つ目は、シャルマ方式と言われ、密閉耐圧タンクで発酵させる方法です
3つ目は、ワインに二酸化炭素を加えるもので、比較的リーズナブルな
スパークリングワインはこの方法で造られるものが多いです。
シャンパンの醸造法は途中まで白ワインと同じで、
「瓶内二次発酵」という特殊な工程を加えることで泡を発生させます。
その後、瓶の中で「15か月上」は熟成しなければいけないと
法律で義務付けられており、
ヴィンテージシャンパーニュと呼ばれるものになると、
「36か月以上」熟成されてからでないと市場に出回りません。
熟成期間中、最初は横に寝かせて保管し、少しずつ瓶を回しながら
瓶の口が下になるように動かし発酵で生まれた澱を瓶の仮栓のところへ集めます。
瓶の口を冷却し仮栓を外すと気圧により凍った澱が自然と飛び出ます。
最後にワインの原液と糖分を混ぜた門出のリキュールを補充し完成します。