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スペインを代表する最高峰ワイナリーの1つ、ベガ・シシリア。
造られるワインは、「スペインの至宝」とも呼ばれ、
その品質の高さと、入手が困難なことから
スペインのロマネコンティと喩えられることも。
そこで、本日はスペインのワイナリーベガ・シシリアについてお話します。
ベガ・シシリアの歴史
ベガ・シシリア社は、1864年フランスのボルドーでワインの醸造学を学んだ
リビオ・ルカンダ氏がスペインのカスティーリャ地方のワインの銘醸地リベラ・デル・ドゥエロに、
フランスから持ち込んだカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、マルベックと、
スペインの代表品種ティントフィーノ(テンプラニーリョ)を植えたのがはじまりで、
1868年に息子のエロイ・レカンダ氏が
ボデガス・ベガ・シシリアとしてワイナリーを創業しました。
ワイナリーは1903年にアントニオエレーロ氏が所有し、
1915年に、伝説的な醸造家ドミンゴ・ガラミオラ氏を迎え製造法を大々的に改良したことで、
1929年のバルセロナ万博で金賞を受賞し、一気にその知名度が上がりました。
その後、所有者が何人か変わりましたが、
1982年に現在の所有者であるアルバレス家がオーナーとなり、
同時期にワイナリーが所在するリベラ・デル・ドゥエロが
スペインの原産地呼称制度であるデノミナシオン・デ・オリヘン(DO)において
「原産地呼称」(DO)に認定されたことで、
当時24軒しかなかったワイナリーが、現在では200を超える高級ワイン産地となりました。
現在、ベガ・シシリアでは異なる土地に「アリオン」「トカイ オレムス」
「ピンティア」、「マカン」を設立し、5つのワイナリーを所有しています。
造られるワインの熟成期間は最低でも10年
ベガ・シシリアが良年だけにしか造らないスペシャル・キュヴェの「ウニコ」は、
ユニークという意味の唯一無二とも言えるワイン。
その最大の特徴は、世界一とも言われる長期熟成です。
熟成期間は最低でも10年で、まず大樽で1年、小樽の新樽で2年、古樽で4年。
これだけで熟成期間はすでに7年かけられており、
この熟成の間に計10回もの清澄が行われ、
ボトルに移した後、3~4年は瓶内熟成が行われるため10年もの月日が掛ります。
ヴィンテージによってはもっと長い熟成をさせることもあります。
希少価値の高い「ウニコ」の特徴は
ベガ・シシリアのあるリベラ・デル・ドゥエロは、
スペインの高級ワイン産地として200を超えるワイナリーが点在し、
多くの優良ワインが産出される地域ですが、かなり過酷とも呼べる土地で、
海抜は700~800mとワインの産地としては高地にあります。
畑は主に緩やかな丘陵に集中しており、
土壌は主に石灰石で、鉄分が乏しい痩せた土壌です。
気候は寒暖の差が非常に大きく、激しい気温の差と痩せた土地が、
凝縮感のある果実味を生み出します。
ベガ・シシリアの畑は、250ヘクタールもの広大な土地で、
ウニコは、自社畑で獲れたブドウの中から良質な果実だけを厳しく選果します。
1ヘクタールあたりの収量がわずか2000リットル!
なんと造られるブドウの約40%は切り落とされます。
これは、フランスの格付けシャトーと比べてもかなり少なく、
この驚きの低収量からスペシャルキュヴェが造られます。
こうして出来上がるワインは、
ヴィンテージによってその深い味わいが異なることでも有名です。
「色は深く、くらくらするような芳香を放ち、ヴェルヴェットのような質感で、
新鮮で清澄、滑らかで鮮烈、バランスが取れ優美、複雑で純粋、
輪郭のはっきりした深く長い余韻」と多くの著名なワイン評論家から絶賛される
まさにスペインの至宝と呼ばれるのにふさわしい味わいのワインです。