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プロヴァンスでは、ロゼワインに氷を入れて飲むのが夏の定番。
白ワインのような爽やかな飲み口ながら、
赤ワインのようなコクも感じられるロゼワイン。
どのように造られているかご存知ですか?
赤ワインと白ワインをブレンドして造る?
そこで、本日はロゼワインの醸造方法、セニエ法についてお話します。
セニエとは
セニエ法とは、ロゼワインで一番よく用いられる醸造法です。
セニエという言葉は、もともとフランス語で「血抜き・瀉血(しゃけつ)」
を意味しており、中世ヨーロッパで一般的に行われていた治療法で、
体に溜まった老廃物等を血と一緒に抜き取る治療と言われています。
この言葉だけ聞くと少し怖い印象を受けますが、
アルコール発酵の途中で、果汁だけをすこし抜き取る作業から、
この言葉がついたそうです。
本来は赤ワインの製造方法
セニエ法は、赤ワインを造る際の醸造方法と同様で、
まず、除梗・破砕(エグラパージュ・フーラージュ)と言って、
果房から果粒を外し、ワインに必要のない果梗(枝の部分)を取り除き、
種がつぶれない程度に破砕して果汁にします。
その後、果皮や種と一緒にタンクの中で8時間から48時間
浸漬(マセラシオン)をして、果皮の色素を果汁につけます。
ピンク色に色づいた果汁をタンクから抜きとり、
抜き取った果汁のみを、引き続き醗酵させます。
ロゼワインの醸造方法としては、このセニエ法がもっとも多く、
最近のセニエ法では、色素抽出が過度にならないよう配慮し、
柔らかなサーモンピンク程度の色付けにおさえ、
繊細でエレガントなタイプの味わいのロゼワインが主流です。
ちなみに、ロゼワインの醸造方法には、
黒ブドウを使って、白ワインのような醸造方法をおこなう「直接圧搾法」と、
白ブドウと黒ブドウを混ぜ、セニエ法と同じように果汁だけを抜き取り
発酵を続ける「混醸法」と、少量の赤ワインを白ワインに添加する
「アッサンブラージュ(ブレンド)法」があります。
直接圧搾法は、黒ブドウを収穫後皮つきのまま圧搾し、
絞った際にわずかに抽出される色素によって色を付ける製法です。
そのため、セニエ法のように果皮に浸して色素を抽出したものよりも
淡い色合いのロゼワインとなります。
混醸法は、黒ブドウと白ブドウを混ぜた状態で発酵させますが、
ブドウの種類以外、造り方はセニエ法と同じです。
12世紀頃のボルドーで造られていた「クラレット」と呼ばれるワインは
この方法で製造されていました。
また、この製法で造られる有名なロゼワインは、ドイツのロートリングです。
アッサンブラージュ(ブレンド)法は、
白ワインに赤ワインを少量混ぜてロゼを造るという一番シンプルな製法。
ロゼワインの造り方と聞いて、一番に思い浮かんだ方も多いのではないでしょうか。
ただ、このアッサンブラージュ(ブレンド)法は、
EUの規定で、原則禁止されている製法ですが、例外が1つあり、
それがフランスのシャンパーニュ地方で造られるスパークリングワインのみ、
このブレンド法が認められています。
ロゼワインは赤ワインの二次生産物?
セニエ法は一般的なロゼワインの醸造法として最も主流な製法ですが、
じつは高品質な赤ワインを造るために用いられている製法でもあります。
赤ワインを醸造する際に、果皮や種と一緒にタンクの中で果汁を2~3週間漬け込み、
果皮の色素を果汁につけるマセラシオンをおこなう際に、
より赤ワインの味わいを高めるため、あえて果汁の量を減らし、
タンク内の果皮と種の比率を高めるため、セニエ法が用いられます。
こうして高品質な赤ワインを造るために、取り出された果汁で造られるロゼワインは、
二次生産物のような感じもしますが、品質が高いロゼワインといえます。