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2015年から8つ目のクレマンの産地に認定されたことで話題になったサヴォワ。
しかしながら、まだフランス国内でもこの産地を知る人は少なくマイナーな産地。
そこで、本日はフランスの知る人ぞ知るワインの銘醸地サヴォワのワインについてお話します。
フランスサヴォワ地方について
サヴォワ地方は、フランスの東端に位置し、スイス・イタリアと国境を接する地方です。
雄大なアルプスの自然を求めて、登山やスキーを楽しむ人々が世界中から訪れる観光地でもあります。
ブドウ畑は、アルプス山脈の麓の標高250m~500mの斜面や、
レマン湖のほとりからローヌ川沿いとその支流のイゼール川沿いにまで広範囲に点在しているため、
全体的に大陸性気候ですが、標高の高さや湖からの風などの影響もあり、
造られるワインは、場所によりさまざまな特徴をもっています。
かつてサヴォワ地方は、イタリアと国境を接していることからもイタリアの影響が強く、
15世紀にサヴォワ公国となり16世紀から18世紀にかけて、
ブドウ畑が増えワイン産業が全盛期となりました。
1860年にフランスに併合されたことをきっかけに、フィロキセラ禍の影響や、
世界大戦や世界恐慌のあおりを受けてワイン産業は大きく停滞してしまいました。
サヴォワで造られるワインとその特徴
前述のような背景もあり、フランス国内でもワインの産地としては、
マイナーなサヴォワですが、サヴォワ一帯は山岳地域のため、
きれいな酸のある爽やかな白ワインが多く造られており、
ここで造られるワインの4分の3は白ワインで、
残り4分の1で赤ワイン、ロゼワイン、スパークリングワインが造られています。
サヴォワ地方のワイン産地は大きく分けて4つのアペラシオンがあり、
レマン湖周辺のAOCクレピーと、AOCルーセット・ド・サヴォワ、
そしてセイセルとヴァン・ド・サヴォワに分けられ、
セイセルでは、アルテスで造る白ワインと白のスパークリングワインが主に生産され、
長期熟成も可能なコクと厚みのある華やかでフルーティーな香りの
さわやかな飲み心地のワインが造られています。
ヴァン・ド・サヴォワでは、15個以上もの区画名が設定されており、
赤、白、ロゼ、スパークリングワインが造られています。
また、フランスのシャンパーニュ地方以外で造られる、
シャンパンと同じ瓶内二次発酵によって造られるスパークリングワイン
「クレマン」の認定産地として、2015年に「クレマン・ド・サヴォワ」が新しく入りました。
クレマン・ダルザスやクレマン・ド・ブルゴーニュなどに続く、
フランス国内で8番目のクレマン認定産地となったことでサヴォワが一気に話題になりました。
サヴォワで栽培されているブドウ品種
赤ワインとロゼワインには、ガメイ、ピノ・ノワールなどの他に、
サヴォワの固有品種であるモンドゥーズが使われており、
モンドゥーズは、シラー種の親戚にあたる品種で、
造られる赤ワインは、スパイシーでしっかりとした味わいのワインに仕上がります。
白ブドウ品種は、シャルドネ、ジャケール、アルテスが主に使われており、
香り高く芳醇な白ワインが造られています。
サヴォワ地方は、ブルゴーニュやローヌとも近いため、
アリゴテなどのブルゴーニュ品種や、
マルサンヌ、ルーサンヌといったローヌ品種なども栽培されています。