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イタリアのマルケ州とアブルッツォ州で盛んに栽培されている固有品種のペコリーノ。
羊乳から造られるチーズのペコリーノチーズと同じ名前を持つこの品種は、
一時絶滅したと思われていましたが、奇跡の復活を遂げ現在では人気の固有品種の1つです。
そこで、本日は白ブドウ品種のペコリーノについてお話します。
ペコリーノの特徴
ペコリーノは、イタリアの東部の沿岸地域でおもに栽培されており、
なかでもマルケ州とアブルッツォ州で盛んに栽培されている白ブドウ品種です。
ペコリーノは古くから栽培されてきた歴史のあるブドウ品種でしたが、
収穫量が少ないため、トレッビアーノのような生産性の高いブドウ品種に植え替えられ、
さらに、フィロキセラの影響もあり20世紀半ばまでペコリーノは絶滅したと考えられていました。
しかし、1980年代に地元の生産者が在来種を研究したところ、
生い茂ったブドウ園で忘れられたブドウの木が噂となり調査したところペコリーノと判明し、
徐々にペコリーノの栽培が復活し、1990年代はじめには、
良質なワインを造るブドウ品種として認められるまでになりました。
それ以来、ペコリーノは、トスカーナ州、ウンブリア州、ラツィオ州でも栽培されています。
ペコリーノは高い酸と高い糖度を持っており、アルコール度数の高いワインとなり、
しっかりとした酸がフレッシュな味わいを造り出します。
とくに豊富な日照量と涼しいそよ風にさらされる高地で育つペコリーノは、
より糖度と酸が高くなり、アカシアやジャスミンなどのエレガントなフローラルなアロマが感じられ、
白桃や洋ナシ、マンゴーなどの果実味にドライでミネラル感のある白ワインになります。
マルケ州南部にあるオフィーダは、ペコリーノの栽培がもっとも盛んで、
2011年にDOCGに昇格し、オフィーダペコリーノが造られています。
ペコリーノという名前の由来
2000年以上前のローマ帝国の時代から食べられてきたイタリア最古のチーズといわれる
ペコリーノ・ロマーノというチーズがあります。
このペコリーノ・ロマーノは、羊のミルクを原料としており、
雌羊のことをイタリア語で「ペコーラ」というところから、この名前がつきました。
ペコリーノという名前は「小さな羊」を意味し、
放牧中の雌羊の群れがこのブドウをとても気に入って食べていたことから、
このような名前がついたのではないかという説があります。
ペコリーノ・ロマーノは、ペコリーノのワインに驚くほど良い料理です。
ペコリーノのワインはこちら
ペモ・ペコリーノ
東をアドリア海に面し、周囲を美しい山に囲まれたアブルッツォ州は、
古代ローマ時代からワイン造りが行われてきた伝統あるワイン産地で、
長い間、伝統的なワイン造りを脈々と受け継いできました。
近年この産地が持つポテンシャルが注目され、
パーカーポイント100点を持つ醸造家として著名なステファノ・キオッチョリも、
この地に魅了され、数年の準備を経て、ようやくリリースされたのが、
この「PEMO」シリーズです。
そのシンプルな名は、「PE」は「ペコリーノ」、
「MO」は「モンテプルチャーノ」のそれぞれ頭の二文字を組み合わせたもので、
ペコリーノとモンテプルチャーノのそれぞれの瓶には、
海を表す鯨と山を表す狐がモダンに描かれたラベルが貼られています。
ラベルに鯨が描かれた白ワイン「ペコリーノ」は、
キエーティ郊外にある標高300メートルにある丘で栽培されたペコリーノを100%使用。
2016年のヴィンテージは、ロンドンで「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」で、
91ポイント獲得し銀賞、Mundus Vini 金賞を受賞し、
イギリスの雑誌Harpers Wine & Spirit「ハーパーズ・ワイン・スターズ」で赤は四つ星、
白はなんと最高評価の五つ星を獲得しました!
マンゴーなどのフルーツのアロマが感じられるエキゾチックな味わいがあり、
フレッシュなみずみずしさと躍動感を兼ね備えたバランスに優れた1本です。