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ライン川とタウヌス山地の豊かな自然と穏やかな気候から、
高品質なブドウが栽培されているラインガウ地方。
歴史的にも重要なワイン産地で、国際的に有名なワイン生産者が多くいる地域です。
そこで、本日はラインガウ地方のワインについてお話します。
ラインガウについて
ラインガウ地方は、ヘッセン州にある高品質のワインを生産する13の指定された産地のうちの1つで、
ラインガウの「ガウ」(Gau)とは、フランク王国の時代に制定された小国のことで、
現在、ドイツのワイン産地の中でこの名が残っているのはラインガウだけです。
ドイツのブドウ栽培面積から比べると、栽培量は総面積のわずか3%ほどですが、
ドイツワイン史における歴史的にも重要な産地でもあり、
国際的に有名なワイン生産者が多くいる地域です。
ラインガウのテロワール
ラインガウのブドウ畑は約3,200haあり、ヴィースバーデンからロルヒハウゼンに至る一帯で、
そこに南から北に流れるライン川がマインツにさしかかるころで、西に方向転換をしており、
ラインガウのブドウ園のほとんどはライン川北岸、タウヌス山腹に広がっています。
ブドウ畑は山と川の間の南向きの斜面というブドウ栽培に適した環境にあるため、
日照量も豊富で、川からの反射光と蓄熱によって、気温が下がる夜間から明け方にかけて
蓄熱された温かい空気が湿った霧となり、ブドウ畑に流れこむため、
しっかりと熟したブドウが育ちます。
また、タウヌス山地が冷たい風や強い雨をブロックする役割を担っているため、
この地域の年間平均気温は10,6度と非常に穏やかで、
年間平均降水量は500ミリ、年間日照時間は1600時間を超えます。
ラインガウ地方の土壌は、場所により異なるタイプの土壌に分けられ、
スレート、千枚岩土壌、黄土層、粘板質微粒砂土で、いずれも水分をしっかりと保ち、
リースリングには理想的な環境を備えています。
ラインガウで栽培されている主なブドウ品種
ラインガウで栽培されるブドウ品種を多い順に並べると、
栽培面積のおよそ80%を占めるのがリースリングで、
その次にシュペートブルグンダー、ミュラー・トゥルガウ、ヴァイザーブルゴーニュ、
ドルンフェルダー、グラウアーブルゴーニュ、カーナー、ダンケルフェルダーシャルドネと続きます。
ドイツワインの要とも言えるリースリングはとくに重要な品種で、
豊かな酸があり、長期熟成に耐えられるポテンシャルの高い品種で、
ラインガウ地方で造られるリースリングは肉厚な味わいのワインになり、
モーゼル地方ではフルーティーでエレガントな味わいのワインになります。
ラインガウワインの特徴
リースリングは、ラインガウの風土気候に適しており、
栽培されているリースリングは非常に高品質なもので、
造られるワインは、キリっとシャープに、しっかりとした果実味溢れる甘みもあり、
長期熟成に耐えられるポテンシャルの高いワインになります。
また、シュペートブルグンダーからふくよかな味わいの赤ワインが造られています。
そして忘れてはならないのが、貴腐ワインです。
ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼは、
フランスのソーテルヌ、ハンガリーのトカイと並ぶ世界三大貴腐ワインの1つといわれ、
貴腐ワイン発祥の地として、今でも高品質な貴腐ワインが造られています。