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チェコと言えばビールと言われるほど、
国民1人当たりのビール消費量が世界一というビール大国で、
ビールの銘柄は、なんと400種類以上!
レストランでは、お水を頼むよりビールの方が安いというお店もあるくらい、
ビール好きな国で知られていますが、
じつはチェコは、隠れたワイン産地でもあるんです。
そこで、本日はチェコのワインについてお話します。
チェコについて
チェコは、北はポーランド、東はスロバキア、南はオーストリア、
西はドイツと国境を接する中央ヨーロッパの共和国で、
1993年にチェコスロバキアがチェコとスロバキアに分離し成立しました。
国土は、78,866平方㎞で日本の5分の1ほどの大きさで、
首都のプラハは、モルダウ川のほとりにあり、
14世紀にローマ帝国の首都となったことで中欧随一の美しい街並みが築かれました。
そんなチェコのワイン造りの歴史は古く、
278年頃、ローマ皇帝マルクスアウレリウスプロブスは、
アルプス北部の植民地でブドウ栽培を奨励したことで、新しいブドウが持ち込まれ、
この時に植えられたのが、グリューナー・ヴェルトリーナーと
ヴェルシュリースリングのブドウ品種ではないかと言われています。
13世紀には、修道院によってフランスやドイツから輸入されたブドウ品種が
次々に植えられブドウ畑が広がっていきました。
17世紀におこった30年戦争によってブドウ畑の多くを焼失しますが、
18世紀に大部分が植え替えられ、さらにブドウ畑は広がっていきます。
しかし、19世紀末のフィロキセラの影響によりチェコのブドウ畑も大きな打撃を受け、
さらに共産主義ということからワイン産業は一時衰退していきます。
そして、30年前からチェコのワイン産業は徐々に再開し、その復活は目覚ましく、
現在約700のワイナリーがあり、国際的な賞を受賞するまでになってきました。
チェコのテロワール
チェコのワイン産地は、スロヴァキアとオーストリアの2つの国境に接する
南東のモラヴィア地方と、北部のボヘミア地方の2つがあり、
チェコのワイン生産量の90%以上がモラヴィア地方で生産されています。
モラヴィア地方は、北緯49度とフランス・シャンパーニュ地方とほぼ同緯度に位置し、
緑の絨毯と呼ばれる大草原をはじめ、洞窟などの大自然があり、
日本と同様の四季がある大陸性気候で、 国内でもっとも南東に位置していることから、
比較的暖かく過ごしやすい地域です。
夏は平均最高気温20~25℃と過ごしやすく、時には30℃以上になることもあります。
冬の平均最高気温はギリギリ0℃~2℃くらいで、夜間はマイナスまで冷え込みます。
チェコで栽培されている主なブドウ品種
白ブドウ品種は、ピノ・グリ、リースリング、シャルドネ、ソーヴィニヨンブランがおもに栽培されており、
続いてゲヴュルツトラミネール、パラバ、グリューナー・ヴェルトリーナー、
ヴェルシュリースリング、ピノ・ブラン、ハイバナル、ミュラー・トゥルガウ、
モラヴィアマスカット、シルヴァーナー、ノイブルガー、アウレリウス、ケルナー
などが栽培されています。
黒ブドウ品種は、ピノ・ノワールとブラウフレンキッシュがおもに栽培されており、
ツヴァイゲルト、サンローラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、
ブラウアー・ポルトギーザー、メルロー、ドルンフェルダーなどが栽培されています。
チェコでは国際品種だけでなく、フランコフカ(ブラウフレンキッシュ)、
スヴァトヴァヴリネック(サンローラン)、
ベルトリンスケゼレーネ(グリューナー・ヴェルトリーナー)、
リースリングヴラスキー(ヴェルシュリースリング)など、
地元の呼称で中央ヨーロッパの品種が多く栽培されています。
チェコワインの特徴
チェコのワイン生産量は世界全体の0.22%ほどと、生産量としてはごくわずかで、
そのほとんどが国内消費されてしまうため、輸出される量が極めて少ないですが、
長きにわたる共産主義国家でワイン産業の停滞があったにも関わらず、
30年前から再開したワイン産業の復活は目覚ましく
とくにこの10年でクオリティーがどんどんと高まっており、
国際的な賞を受賞するまでになってきました。
チェコのワインは驚くべき多様性を持っており、
すべてのワイナリーが少なくとも5種類、場合によっては20種類のブドウを生産し、
新品種の開発にも力をいれています。
交配品種には、アンドレ、マスカットモラヴィアン、カベルネットモラビア、アウレリウスなどがあります。
チェコを代表するブドウ品種といえばヴェルシュリースリングで、
このヴェルシュリースリングからは、きれいな酸のある、
フルーティーな味わいが特徴の辛口の白ワインが多く造られています。
食事に合わせやすい口当たりの柔らかい白ワインが多く、
さっぱりとした味わいの料理との相性が抜群です。
また、黒ブドウ品種の栽培比率は約34%を占めており、
約20年前に比べると20%も増加しており、フランコフカだけでなく、
ピノ・ノワールの栽培も年々増加傾向にあり、高品質な赤ワインが造られています。