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ブルゴーニュの名門「グロ家」の中でも、
エレガントでピュアな味わいのワインを造り出す女性醸造家アンヌ・グロ。
25歳という若さでドメーヌを継ぎ、固定概念にとらわれない自由な発想と、
バイタリティで一時は衰退してしまったドメーヌを復活させ、
ブルゴーニュで最も有力なドメーヌの1つへと築き上げました。
そこで、本日はアンヌ・グロについてお話します。
アンヌ・グロについて
ブルゴーニュの名門であるグロ家の歴史は1804年のアルフォンス・グロの誕生から始まります。
1830年にアルフォンスはヴォーヌ・ロマネに定住しドメーヌを設立します。
2代目ルイ・ギュスタ―ヴ、3代目ジュール、4代目のルイ・グロまで
アルフォンス・グロが設立した形でドメーヌは続き、
4代目のルイ・グロが1951年に亡くなった際に、4人の子どもに地所は分割され
引き継がれました。
分割されたうちの1つである地所は、5代目のフランソワ・グロが継ぎ、
1971年に独自のドメーヌを設立し、同時に小さなネゴシアンビジネスを立ち上げました。
ワインはフランソワ・グロとグロ・ペール・エ・フィルのラベルで販売されていましたが
1978年健康上の問題により、ワイン造りを停止せざるを得なくなり、
10年間ドメーヌの活動は衰退してしまいます。
1988年に父フランソワから一人娘であったアンヌ・グロがドメーヌを引き継ぎます。
若干25歳であったアンヌ・グロは、3hから6.5hにまで畑を増やし、
新しいカーヴを増設するなど、並外れたバイタリティと自由な発想でドメーヌを築き上げていきました。
1995年「アンヌ・エ・フランソワ・グロ」から「アンヌ・グロ」とドメーヌも改名し、
現在、7代目にあたるアンヌの3人の子どもたちへドメーヌの継承の準備が始まっています。
アンヌ・グロのワイン造りの哲学
「健全で成熟したブドウを収穫し、無傷のありのままのブドウを重んじて、ベストを尽くす。」
というのが、アンヌ・グロのドメーヌの哲学であり、
ブドウ栽培からワイン造りまでこの哲学が実践されています。
人間、ブドウの木、テロワールをより尊重したブドウ栽培の実践のため、
化学薬品を必要最小限でしか使用しない農法を用い、
耕作及びコンポストを使用したブドウ畑での仕事に従事しています。
ワイン醸造は伝統的な手法が用いられ、赤ワインはセメントタンク、
白ワインにはステンレスタンクが用いられて、
温度コントロールはヴィンテージのタイプと原料の状態にあわせて変えています。
発酵は12~15日間行います。その後、最低48時間の清澄作業を行い、濾過はしません。
樽熟成はおよそ18カ月おこない、
新樽比率はグラン・クリュで80%、村名ワインで50%、広域ワインには30%用います。
新樽は酸素とワインの接触を促すのと同時に、酸化によりワインに複雑さと、重厚さ、うまみを与えます。
アンヌ・グロが造るワインの特徴
アンヌ・グロのワインは繊細で調和のとれたエレガントさが魅力で、
なかでも「リシュブール」は、並外れた力強さと最高のエレガンスを兼ね備えたワインで、
絹のようなタンニンにビロードのような舌ざわりがあり、
ミネラルが力強い深みを加え、最も官能的で複雑な味わいです。
また「クロ・ド・ヴ―ジョ」は、丸みのある豊満な味わいで、
優雅さの中に多くの調和と豊かさが感じられ、
長期熟成が可能なポテンシャルがあるバランスがとれた偉大なワインです。
アンヌ・グロの所有する畑
アンヌ・グロの所有する畑は、グラン・クリュから広域アペラシオンまで、
またブルゴーニュ以外でもワインを造っています。
グラン・クリュ(特級畑)
・リシュブール
・クロ・ド・ヴ―ジョ
・エシュゾー レ・ロアショース
プルミエ・クリュ(一級畑)
・サヴィニー・レ・ボーヌ レ・ラヴィエール
・ニュイ・サン・ジョルジュ レ・ダモード
ヴィラージュ(村名畑)
・シャンボール・ミュジニー ラ・コンブ・ドルヴォ―
・ヴォーヌ・ロマネ レ・バロー
広域アペラシオン
・ブルゴーニュ・ルージュ
・オート・コート・ド・ニュイ
ドメーヌ・アンヌ・グロ・エ・ジャン・ポール・トロ