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ロマネコンティをはじめとする有名なワイナリーが次々と取り入れている
オーガニック農法の1つである「ビオディナミ」。
「全ての生命は、地球を含む宇宙の営みからも影響を受け、調和しながら生きている」
という哲学のもと、自然な土壌と植物の保全を一番に、化学肥料などを一切使わず、
自然物質を使った特別な調剤を用いて、天体の運行に合わせた自然の潜在能力を引き出す農法です。
そんなビオディナミの先駆者であるニコライホーフのワイン造りについてお話します。
ニコライホーフについて
ニコライホーフは、オーストリアを代表するワイナリーの1つで、
ビオディナミの先駆者として知られており、
ドナウ河を見下ろすワインの銘醸地ヴァッハウ地方マウテルンにあります。
2000年前にローマ人が建設したワインセラーが土台となる歴史あるワイナリーで、
985年に建てられた聖ニコライ修道院を約110年前に、
現当主であるサース家が買い取り、ワイン造りが始まりました。
ニコライホーフの最大の特徴は、1970年代初頭より取り入れた
オーストリアの哲学者であるルドルフ・シュタイナーの人智学に基づくビオディナミ農法で、
22ヘクタールあるブドウ畑の全てをビオディナミ農法で栽培しており、
1992年にデメテール(demeter・有機農法協会)の認定を受けました。
農薬や化学肥料を一切使用せず、プレパラシオンというビオディナミの調合剤を使って
土壌の活力を最大限に引き出すブドウ栽培がおこなわれています。
ニコライホーフのワイン造りのこだわり
ニコライホーフでは、リースリングやグリューナー・フェルトリーナー、
イエローマスカット、ノイブルガー、ゲヴュルツトラミネールからワインが造られており、
発酵はすべて自然酵母で、人工的な温度管理・補糖もせず、
オークの古い大樽を使用した伝統的な醸造を守り続けています。
ニコライホーフの所有している畑
所有している畑は約22haで、自然との共存を考え、農薬や化学肥料は一切使用せず、
プレパラシオンという動物の堆肥や植物を煎じた調合剤を使用しています。
土壌は、足を踏み入れるとふわふわとした感触があるほど空気を含んでおり、
これは、土壌中の微生物が活発に働いている証拠で、理想的な土壌であることを表しています。
また、生物の多様性にも力をいれており、畑の周囲に住む小動物がブドウの葉を食べないよう、
畑の周りに小動物が好む植物を植え、自然と共存したブドウ栽培がおこなわれています。
ニコライホーフの代表的なワイン
ニコライホーフのアイコン的ワインでもある「ヴィノテーク リースリング」は、
1995年ヴィンテージはパーカーポイント100点を獲得しており、
辛口のリースリングでは世界初の快挙で、
まさにニコライホーフの神秘ともいえるワインです。
イムヴァインゲビルゲの畑から厳選したブドウを収穫し、
3,500-6,000Lの大樽で16年熟成したワインで、
熟成を重ねたとは思えないほどのフレッシュさを持っており、
洋ナシやりんごの芳醇な果実味に、フレッシュな酸も豊かに残る、
オーストリアの最高峰の辛口のリースリングです。