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コート・ド・ボーヌの中心街からほど近い場所にあるモンテリー。
モンテリーで生産されるワインのおよそ9割が赤ワインで、
かつては荒々しいタンニンの赤ワインが造られていましたが、
最近は、チャーミングな果実味のある
ヴォルネイに似た繊細で女性的が多くなってきています。
そこで、本日はモンテリーのワインについてお話します。
モンテリーで造られるワインの約9割が赤ワイン
モンテリーの村は、南にムルソー、東にヴォルネイ、西にオークセイ・デュレスに接し、
コート・ド・ボーヌの中心街であるボーヌからも車で20分ほどの距離にありながらも、
人口はわずか200人ほどの小さな村で、歴史ある美しい古い建物が建ち並ぶ村です。
ケルト語で「街道の高い所」を意味するMont-Oloyeが語源で、
コート・ド・ボーヌ地区で最初の小高い丘にあります。
モンテリーで生産されるワインのおよそ9割が赤ワインで、
最近はヴォルネイに似た繊細で女性的が多くなってきています。
全体の1割と少量ではありますが、ムルソーの生産者が畑を所有したことから、
高品質な白ワインも生み出されています。
モンテリーのテロワール
モンテリーには15のプルミエクリュがあり、村の東の1つの地域に集中しています。
109.7ヘクタールの赤ワイン用ブドウ畑のうち、34.5ヘクタールのプルミエクリュで、
18.1ヘクタールの白ワイン用であるシャルドネの畑があります。
土壌は小石が混じるバトニアン石灰岩の上に、赤い粘土と泥灰土が覆っており、
北部には真っ白な石灰の砂礫が広がっています。
日照は豊富な地域ですが、場所により谷の影となって日陰の畑も多くあります。
モンテリーで栽培されているブドウ品種
もともと赤ワイン用のブドウの生産が主でしたが、
この30年でシャルドネの生産量は増加傾向にあります。
ムルソーに隣接する畑の土壌は、丘の中腹にあるものよりも深く、
わずかに肥沃なため、ピノ・ノワールよりもシャルドネの生産に適しています。
モンテリーで造られるワインの味わいや特徴
モンテリーで造られる赤ワインは、美しいルビー色の色調で、
チェリーやカシスといった果実のアロマに、スミレなどのフローラルなアロマがあり、
チャーミングな果実味と繊細なタンニンが感じられ、
ヴォルネイに似た女性的なワインが造られています。
熟成することで、森の草の香りに、スパイス香なども感じられ、
タンニンもふくよかさが増してビロードのような滑らかさのある味わいになります。
白ワインは、リンゴなどのフレッシュな果実のアロマに、サンザシなどのフローラルなアロマと、
ヴァニラやヘーゼルナッツといった熟成香があり、
しっかりとしたキレのある酸がありながらも、ふくよかな甘味のバランスもあり、
ムルソーに似た上質なワインが造られています。
モンテリーの代表的なワイン
エリック・ド・シュルマン シュル・ラ・ヴェル
シュル・ラ・ヴェルは、ヴォルネイのプルミエクリュであるクロ・デ・シェーヌに
隣接しているプルミエクリュで、4つの区画にブドウ畑が分かれており、
それぞれ1960年、1980年、1990年、1997年に植樹されたブドウから造られます。
1746年に建てられたシャトー・ド・モンテリーは160年近く後の1903年に、
現当主エリック・ド・シュルマンの曽祖父にあたるアルベール・ド・シュルマンが相続し、
現在に至ります。
エリックの母はピュリニー・モンラッシェのルフレーヴ家の出身で、
エリック・ド・シュルマンでも1996年よりビオディナミ農法を実践しています。
ピノ・ノワール100%から造られるこのワインは、
チェリーなどの赤系果実のアロマに、アーモンドやチョコレートなどの深みのある香りも感じられ、
口に含むと絹のようなきれいなタンニンとミネラル感が感じられます。
熟成のポテンシャルが非常に高いワインで、熟成していくにつれて複雑さを増していきます。
今飲んでも美味しいですが、数年待ってもまた違った楽しみがあるワインです。