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フランス・シャンパーニュ地方にあるランソンは、創業260年の老舗のシャンパーニュメゾンで、造られるシャンパンは、小規模生産者ながら英国王室御用達ワインとして英国王室をはじめ各国の王室に愛飲され、世界のシャンパーニュファンを魅了し続けています。
そこで本日は、ランソンの魅力について深堀するとともに、歴史あるシャンパーニュメゾンのおすすめのシャンパーニュを5つご紹介します。
ランソンの歴史
ランソンの歴史は、シャンパーニュ地方でももっとも古いシャンパーニュメゾンの1つとされており、今から260年前、シャンパーニュ地方の都市ランスで判事をしていたフランソワ・ドゥラモット氏によって設立されました。
1798年にはフランソワ氏の長男であるニコラ=ルイ氏が継承し、氏が修道会のマルタ騎士団の騎士であったことから、ワインのラベルとコルクに、マルタ十字の十字マークをモチーフとして入れるようになりました。
1837年には、1823年からパートナーシップを結んでいたジャン=バプティスト・ランソン氏によって社名を「ランソン」に変更したのち、販促を世界に広げ国際ブランドに発展していきます。
1855年、ジャン=バプティスト・ランソン氏の息子であるビクター・マリー・ランソン氏にハウスの経営が引き継がれ、イギリスでの販促に力を入れるようになり、ロンドンの老舗パーシー・フォックス社と契約したことで、150年以上に渡って「イギリス王室御用達」のシャンパーニュとなり、その証に、ボトルネックにはエリザベス2世女王の名前が刻まれた英国王室御用達の証が印されています。
現在はスウェーデンやスペインにも献上され、モナコ王室の御用達にもなり、モナコの国旗の紅白と象徴である市松模様をモチーフにしたモナコ限定ラベルも作られました。
ランソンの特徴的な醸造方法
ランソンは100を超えるさまざまなグラン・クリュとプルミエ・クリュの栽培農家と提携しており、57haの自社畑でもブドウ栽培をおこなっており、そのうち16haでは有機栽培がおこなわれています。
原料となるピノ・ノワール、シャルドネ、ピノ・ムニエの3品種は、良質なものを選定し、クリュごとに分けてステンレススティールタンクで醸造しています。
ランソンの醸造方法は、現在ではほとんどのシャンパンメゾンがおこなっているマロラクティック発酵をおこなわず、ブドウのフレッシュな果実味を保ちながら長期間かけてゆっくりと熟成させる、元来のシャンパン製造の伝統的な技法を、頑なに守り続けています。
マロラクティック発酵という乳酸発酵は、アルコール発酵後に、ワインの中にあるリンゴ酸が乳酸に変化することで、酸が和らぎ滑らかで、クリーミーな味わいに変化します。
このマロラクティック醗酵を行わないことにより、フレッシュなブドウの果実味を保ちながら、ほどよい酸味を残したフルーティでまろやかな風味になります。
しかしながら、マロラクティック発酵を行わないことで、酸を落ち着かせるためには長い期間瓶熟成が必要となり、ノンヴィンテージであっても15ヶ月という規定熟成期間を大きく上回る最低36ヶ月という長期の熟成期間を取らなくてはならないため、コストも手間もかかります。
近年になってランソンは、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)に買収され、その4カ月後にはボワゼル・シャノワーヌ・グループに売却されるなど、さまざまな企業の傘下に加わったこともありましたが、どんな状況下でも、創業当時から変わらないこの伝統技法を貫くランソンのシャンパーニュは、熟成を経るに従って重厚で魅力的なものになるため、世界のシャンパーニュファンを魅了し続けているのです。
ランソンの味わい
ピノ・ノワール、シャルドネ、ピノ・ムニエの3つの品種から、白とロゼの辛口から甘口まで多様な味わいのシャンパンが造られており、マロラクティック発酵を行わなず長期熟成させることで、フレッシュな酸味を残したフルーティでまろやかな風味が特徴です。
ミネラル感のあるエレガントで香り豊かなものから、フルーティーでハチミツのような芳醇な甘味のあるもの、繊細ながらもパワフルで、フレッシュさとエレガントさを見事に備えた奥行のある味わいのものなどさまざまなシャンパンが造られています。
歴史あるメゾンのシャンパンおすすめ5選
ゴールドラベル・ヴィンテージ・ブリュット ランソン
ランソンのシャンパンのラインナップの中でも、もっともスタンダードと言えるのが、このゴールドラベル・ヴィンテージ・ブリュット。
爽やかで軽快な飲み口ですが、豊かな果実味にフレッシュで長い余韻があり、わずかに琥珀がかった黄色い麦わら色の色調で、乾燥させたイチジクやアンズ、りんごや洋梨のアロマに加えトーストやビスケットなどの香ばしいニュアンスがあります。
繊細で豊かさに溢れ、いきいきとしたフィニッシュが持続します。
さっぱりとした前菜からコクのあるバターソースの魚料理まで幅広いお料理と合わせることができます。
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カルト・ノワール ポール・ダンジャン・エ・フィス
ポール・ダンジャンは、ポル・ロジェ、マム、ローラン・ペリエと誰もが知る大手メゾンと並び、小規模生産者ながら英国王室御用達ワインとして高品質なワインを生み出すドメーヌで、アメリカエアラインをはじめ、イタリア、フランス、ドイツ、スペイン、フィンランド、日本などの各航空会社のファーストクラス、ビジネスクラスに採用されています。
ピノ・ノワール100%で造られるこのワインは、青リンゴ、アプリコット、ピーチなどのフルーツの香りがたっぷりと感じられ、最初はシャープな酸を感じますが、その奥にある果実味やかすかな苦み、旨みといった要素も感じられ、食事と合わせることで、ふくよかなコクと果実味がどんどん引き出され、このシャンパン本来の味わいが楽しめます。
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カルト・ロゼ ポール・ダンジャン・エ・フィス
ポール・ダンジャンの手掛けるロゼワインは、白ワインのベースに、ピノ・ノワールで仕上げた赤をアッサンブラージュ。
繊細な味わいの中にも爽やかな果実味を感じるロゼ・シャンパーニュです。
キンメリジャン質の土壌から生まれる、繊細でシャープな酸、豊富なミネラルを持つベースの白ワインに、華やかな果実味を持つピノ・ノワールをブレンドすることで、山鶉の目の色を表現する「ウィユ・ペルドリ」と呼ばれる淡く美しい色合いになります。
香りは、イチゴを思わせるチャーミングな香りとともに、さくらんぼ、ラズベリー、すぐりといった、赤系果実の奥行きのある香りが感じられます。
活き活きとした酸とミネラルを感じ、余韻も長いのが特徴です。
36か月の熟成で、繊細な味わい、泡立ちを表現しながらも、そこにタンニンのおかげで、食前酒牛肉のシャントレル(あんず茸)ソース、僅かに火入れした生ガキ、いくら添えといった、フレンチの定番メニューや、数種のベリーのタルト、のようなベリー系のデザートと非常に相性が良いです。
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アスランジェ・ブリュット
150年以上の歴史をもつ老舗メゾンのG.H.マーテルは、約200ヘクタールに及ぶ自社畑と550の栽培農家からブドウを調達しており、その生産本数は年間1000万本に達し、第6位の規模を誇ります。
この規模でも家族経営で、他の業界へは目もくれず代々シャンパーニュやブランデー造り一筋と職人気質のメゾンで、その品質の高さからも高級フレンチレストラン“マキシム・ド・パリ”のハウスシャンパンとしての実績を持ち、その他世界各国のエアラインやミシュラン星付レストランでも採用されています。
そのマーテルが手掛ける新たなシャンパーニュブランドが『Haslinger アスランジェ』。
シンプルで無駄のないエレガントなデザインと、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネを用いた伝統的なアッサンブラージュによる、和食にも合う繊細な味わいながら、ふくよかなコクと長い余韻を楽しめるエレガントな1本です。
アスランジェ・ブリュット・ロゼ
G.H.マーテルの手掛けるアスランジェ・ブリュット・ロゼは、シンプルで無駄のないエレガントなデザインと、ピノ・ノワールを主体に、ピノ・ムニエ、シャルドネを用いた伝統的なアッサンブラージュによる、ふくよかなコクのある味わいと長い余韻の繊細なシャンパーニュです。
ラズベリーやチェリーといった赤系果実のピュアで甘酸っぱいアロマに、ほんのりとオレンジピールの爽やかでビターなニュアンスも加わり、凝縮した果実味とふくよかなコクが感じられ、美しい酸と研ぎ澄まされたミネラリーなフレッシュ感が見事な1本です。