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日本ワインの代表とも言える「甲州ワイン」のラベルでよくみかける「シュール・リー(Sur Lie)」の文字。
これは、特殊な白ワインの製法を意味しています。
そこで、本日はシュール・リー製法についてお話します。
シュール・リーとは
シュール・リー製法は、フランス・ロワール地方河口付近のナントのミュスカデや山梨県の甲州や、アメリカのカリフォルニアをはじめとするニューワールドではシャルドネなどによく用いられる白ワイン特有の熟成法の1つで、フランス語で「Sur(上に) Lie(澱)」と書き、澱の上という意味の言葉です。
シュール・リー製法について
一般的な白ワインの醸造の過程では、発酵が終わったあとは、上澄みを他へ移し、底の澱は取り除く澱引きという作業をおこなうのですが、シュール・リー製法の場合は澱引きをせずそのまま春までおいておくという醸造方法です。
これにより、ワインが澱(酵母)と長い間、接していくことで、発酵を終えた澱が自己分解して、アミノ酸や多糖類などに変わり、ワインに旨みが溶け込むことができます。
一方でこの製法は、雑菌などが繁殖しやすいため温度管理がとても重要になります。
ですので、シュール・リーと明記されていたらひと手間かけたコクのある美味しいワインと言えるでしょう。
シュール・リー製法による味わいや香りの変化
シュール・リー製法で造られたミュスカデは、旨味を閉じ込めた澱とともに寝かせられるため、白ワインに旨味が溶け出し、ただの軽快な辛口の白ワインではなく
爽やかながらもクリーミーでリッチ、また深みがあり、複雑でほんのり旨味を感じる味わいになります。
スパークリングワインは、トーストや、チーズ、バターミルク、エルダーフラワーのようなフローラルな香りに、甘いナッツの香りが増します。
白ワインは、スパークリングワインと同様に酵母由来のイースト香が増し、さらに、オーク樽で熟成すると、甘いカラメルや、スモークフレーバー、クローブなどのスパイス香があらわれます。
シュール・リーにて造られたおすすめのワイン
ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ・シュール・リー
ドメーヌ・ド・ラ・ヴァンソニエール
フランス・ロワール地方のドメーヌ・ド・ラ・ヴァンソニエールが手掛けるシュール・リー製法で造られたミュスカデ。
このドメーヌの60haのブドウ畑は、海からの影響で豊富な日照量と穏やかな気温ながら、定期的な雨と強風がブドウの木を乾燥させることで、病害を発生しにくくしており、極力自然に近い農法である「リュット・レゾネ」を用いて栽培しています。
また、環境に配慮したブドウの栽培方法「テラ・ヴィティス」の認証を取得しており、ブドウ樹とテロワールを尊重したワイン造りが行われています。
ミュスカデ100%で造られるこのワインは、輝きのある淡いイエローから麦わらの色調で、レモンやシトラスなどの柑橘系に清涼感のあるハーブのアロマ。
一口含むと穏やかで心地よい酸味があり、いきいきとしたフレッシュな果実味に、ほんのり旨味が感じられます。
シーフード料理とのペアリングがおすすめの白ワイン。
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ランドマーク・シャルドネ ミスティ・コーヴ
ミスティ・コーヴのオーナーであるアンドリューベイリー氏は、大学でワイン醸造学とブドウ栽培学を学び、卒業後オランダで故郷ニュージーランドのワインの輸入販売の会社を立ち上げ、多くのミシュラン星付きの名店や高級店をクライアントに持つまでに成長し、
よりリーズナブルに高品質なワインを造るため、故郷ニュージーランドに戻り、ソーヴィニヨンブランの聖地であるマールボロでワイナリーを創設しました。
このランドマーク・シャルドネは、粘土質のローム層土壌で、水はけが非常に良く、長い年月にわたって有機物が層状に堆積して生まれた特殊な地形の畑で栽培されたシャルドネを100%使用し、アルコール発酵後、マロラクティック発酵を行い、そのまま澱と共に6か月静置し、樽発酵、樽熟成、そして、シュール・リーというシャルドネの伝統的な製法で、マールボロのテロワールを表現した1本です。
シトラスやスターフルーツ、リンゴの爽やかな香り、白桃や小ぶりなメロンのようなよく熟した果実の香りに、ヌガー、バニラやヘーゼルナッツの香ばしいアロマが続き、質感が非常になめらかで、ミネラル感が特徴的で、果実の甘みや酸味がバランスよく広がりエレガントで複雑な印象のワインです。
パチャ・ソーヴィニョン・ブラン ヴィニャ・マーティ
「Pacha(パチャ)」とは、南アメリカ大陸の先住民族の信仰した大地母神「パチャ・ママ」のこと。
新世界の土地で育ったブドウと旧世界の伝統的醸造法のハイブリッド、それがこのパチャシリーズの特徴です。
アンデス山脈の裾野に広がる、厳しくも美しいチリのテロワールに畏敬の念を込め、このワインに「パチャ」の名を冠しました。
このシリーズのために厳選されたブドウ畑のソーヴィニョン・ブランを使用したこのワインは、ソーヴィニョン・ブランの華やかな風味を損ねないようオーク樽は使用せず、熟成中はシュール・リーの状態を維持し、品種のもつ個性とコクを最大限引き出しました。
グレープフルーツやパッションフルーツ主体のアロマに続き、ハーブや緑胡椒を思わせる、独特の複雑な風味があり、生き生きとした酸味が飲むたびにリフレッシュさせてくれるようです。
ボディはやや厚めで、口の中を覆うような粘性をわずかに感じるコクのある白ワインです。