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フルミントというブドウ品種をご存じですか?
三大貴腐ワインの1つでもあるハンガリーのトカイワインに使われる品種で、ハンガリーを代表するブドウ品種です。
酸が非常に高く糖度も高いブドウ品種なのでリッチなフレーヴァーが感じられる独特な味わいのワインが造られています。
そこで、本日はフルミントから造られるワインの特徴をご紹介します。
三大貴腐ワインの原料にも使われるフルミント
フルミントは、ハンガリーのトカイ地区を代表するブドウ品種で、ブドウ園の総面積のほぼ3分の2を占め、世界三大貴腐ワインの原料として有名です。
オーストリア・ハンガリー帝国時代に、甘口のトカイワインは非常に人気があり、フルミントは急激に栽培面積を拡張していきました。
フルミントは何世紀にもわたってハンガリーのワイン文化に定着してきましたが、品種の起源は不明で、10世紀から16世紀の間に、イタリアから宣教師や入植者などによって、ハンガリーに持ち込まれたとされるさまざまな説があります。
遅くとも16世紀後半にはハンガリー北東部のトカイ地域で栽培されており、現在は、オーストリア、スロバキア、スロベニアでも栽培され、トカイでは、フルミント、ハールシュレヴェルー、サルガ・ムシュコタイ(イエローマスカット)のこの3種をブレンドして造ることが多いですが、単一種によるワインも造られています。
フルミントは、非常に高い酸と糖度を持ち長期熟成に適した品種で、果皮が薄く貴腐菌がつきやすく、果実はゆっくりと熟すのでブドウの収穫は年によっては11月の後半近くになることもあります。
フルミントから造られるワインは酸が非常に高く糖度も高いのでリッチなフレーヴァーが感じられる独特な味わいとなり、甘口ワインだけでなく、アルコール度数の高い辛口の白ワインも造られています。
ハールシュレヴェルーは、ハンガリー語で「菩提樹の葉」という意味で、フルミントの補助品種としてよく使われ、スパイシーなアロマがあり、トカイワインに華やかな香りを添加します。
サルガ・ムシュコタイ(イエローマスカット)は、オレンジやスパイスを思わせる華やかなアロマがあります。
フルミントの主な栽培地域
ハンガリーのフルミント栽培は、そのほとんどがトカイの丘陵地にあり、残りはハンガリー西部のトカイのショムローイ地区で栽培され、ここではフルミント単一の辛口の白ワインが造られています。
ハンガリー以外では、スロバキアは、南東部の産地にハンガリーのトカイと同一のトカイという産地があり、ハンガリーのトカイとは国境を挟んで隣り合わせになっており同じ土壌が広がっています。
ここでは、フルミント、リポビナ、イエローマスカットを使用した貴腐ワインが造られており、2010年からスロバキアのトカイで造られる貴腐ワインもトカイワインを名乗れるようになりました。
スロベニアでは、2009年時点で694ヘクタールのフルミントが栽培され、シポンという名で、辛口と甘口の両方の単一品種ワインが造られています。
また、クロアチアでもシポン(またはモスラヴァッツ)として知られ、そのほとんどが辛口の白ワインになります。
ニューワールドでは、南アフリカ、オーストリア、アメリカのカリフォルニア州で栽培されています。
フルミントから造られるワインの味わいや香りの特徴
フルミントからは、辛口と甘口の両方のワインが造られており、とくに、トカイで造られる貴腐ワインが有名です。
フルミントは、若いうちはとても酸が強く、辛口のワインは、ナシ、ライム、オレンジに、ほんのりスモークのようなアロマがあり、熟成するにつれて、琥珀のような色合いになり、ナッツのような香ばしさとスパイシーさが加わってきます。
甘口のデザートワインは、アプリコット、マジパン、ブラッドオレンジのようなアロマがあり、熟成すると、タバコ、紅茶、シナモン、さらにはチョコレートのアロマがくわわり、スモーキーでスパイシーなニュアンスになります。
フルミントから造られる代表的なワイン
フルミントから造られるワインでもっとも有名なものは、やはりトカイワインです。トカイワインは大きく「トカイ・アスー」「トカイ・エッセンシア」「サモロドニ」の3つに分けられ、もっともポピュラーでバリエーションが豊富なのがトカイ・アスーです。
トカイ・アスーは貴腐菌の影響を受けていない通常のブドウをベースに、発酵前・中・後に貴腐ブドウを12〜60時間漬け込んで一定期間オーク樽で熟成させるため、深い琥珀色の色調で、高い酸味に柑橘、アプリコット、ハチミツといった強いアロマがあり、糖度が高いものほど凝縮された強い味わいがあります。
トカイ・エッセンシアは、貴腐ブドウのみで醸造された貴腐ワインで、1ヘクタールの畑から1L分しか生産できない非常に稀少なワイン言われており、圧搾機にかけず、自然の重みだけで絞られた果汁を自然発酵させます。
糖度が非常に高いため、発酵に数年を要し、発酵後もアルコール度数は3~5%とかなり低くく、最低残留糖分は450g/Lと法律で定められています。
サモロドニは、「ありのまま」の意味で、貴腐が部分的に発生している房ごと収穫し、貴腐ブドウと普通のブドウを一緒に発酵させるため、貴腐ブドウが含まれている分量によって甘口にも辛口にもなります。
フルミントなどを使用した辛口タイプが充実しており、食事とも合わせられるのも魅力です。
最低熟成期間は大樽で最低1年、販売までには2年はかかり、ほとんどのワインがそれ以上の熟成期間を経てリリースされます。
フルミントを使ったおすすめのトカイワイン3選
フルミント・ドライ シャトー・パジョス
フランス・ボルドーのソーテルヌ、ドイツのロッケンベーレンアウスレーゼ、と並ぶ世界三大貴腐ワインの1つハンガリーのトカイワイン。
フランス・ボルドー・ポムロール地方の「シャトー・クリネ」の所有者であるジャン=ルイ・ラボルド氏が1992年に移住し、シャトー・パジョスを所有しました。
フルミントを主体に、ハールシュレヴェリュー、ミュスカ・ブラン(ミュスカ・ブラン・ア・プティ・グラン)をブレンドしたこのワインは、フレッシュでフルーティーな味わいが、フルミント種の持つ柔らかなアロマと、バランスのよい口当たりで甲殻類をはじめとしたシーフードは生でもグリルしても相性抜群の1本です。
フルミント・ドライ シャトー・パジョス
ハンガリー産スパークリングワイン・ティスティングでTOP 9位に入賞!
「ラ・ビュル(La Bulle)」はフランス語で「泡」を意味し、伝統的な瓶内二次発酵(シャンパン方式)で生まれる繊細でクリーミーな泡がグラスから優雅に立ち上ります。
リンゴ、洋ナシ、シトラスのアロマが広がり、ミネラル感とともにさわやかな印象で、生き生きとした味わいの中に、フルーティーなアタックがありながら、酸味がしっかりとしていてバランスがとれた素晴らしい1本。
柑橘類や青リンゴのフレーバーに加えて、トカイ地方特有のミネラル感が余韻に感じられ、細やかな泡が口の中で広がり滑らかな口当たりを楽しむことができます。
酸味とのバランスが取れたドライな仕上がりが特徴なので、前菜、シーフード、サラダ、軽いデザートなどと非常に良く合います。
フルミント・F・ヴァンダンジュ・タルディーヴ
フルミントを主体に造られるこのワインは、香りは熟したパパイヤ、タンジェリン、ブラッドオレンジのような豊かでエキゾチックなアロマが特徴で、ミントのニュアンスや、口中には塩味が感じられます。
アプリコットやハチミツのような豊かな甘味とフルーティーな風味、バランスの取れた酸味が後味に続きます。
このワインは果実味と複雑さに富み、精密なボディと長期熟成の可能性を秘めています。 軽くスパイシーな魚や白身の肉、またはマンゴームースやチーズケーキのようなフレッシュなデザートとよく合います。
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