ワインの名前ってどのようにつけてるの?ラベルの表記に決まりはある?

ワインの名前ってどのようにつけてるの?ラベルの表記に決まりはある?
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ワインの名前ってどのようにつけてるの?ラベルの表記に決まりはある?

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ワインの名前

現在は、世界中でワインが造られており、その生産量は年間なんと270億リットル!
そのワイン1本1本にもちろん名前がついています。
そんなワインの名前ってどのようにつけられるのでしょうか。
そこで、本日はワインの名前についてお話します。

種類は大きく分けて4種類

まずは、ワインの名前を語る上で、ワインには大きく分けると4つの分類があります。
赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン、スパークリングワイン…
確かに、これもワインの分類ではありますが、
実は、その4つのうち3つは同じスティルワインという種類なんです。

ワインを醸造方法で分類すると、
・スティルワイン(Still Wine)
・スパークリングワイン(Sparkling Wine)
・フォーティファイドワイン(Fortified Wine)
・フレーバードワイン(Flavored Wine)
この4種類に分けられます。

4種類の中で聞き覚えのあるものと言えば、
やはりスパークリングワインですよね。
シャンパンをはじめとする発泡性のワインのことです。

それでは、「スティルワイン」とは何か。
スティルワインは英語名で「Still Wine」と表記され、
このStillは「静か」「動きがない」「平穏」といった意味があり、
「泡立たない=非発泡性のワイン」という意味でも使われます。
非発泡性のワインとは、いわゆる赤ワイン、白ワイン、ロゼワインのこと。
私たちにとって一番身近なワインは、スティルワインという種類にあてはまります。
スティルワインは、アルコール度数が一般的に9~15%ほど。
非発泡性の赤ワイン、白ワイン、ロゼワインがそれにあたります。

みなさんがよくご存知の「スパークリングワイン」
これは発泡性ワインのことで、発泡性ワインは大きく分けて3種類あります。
フランスのシャンパン、イタリアのプロセッコをはじめとする
「ヴァン・ムスー」と呼ばれる瓶内の炭酸ガスの圧力が3気圧以上の
最も典型的な発泡性ワイン。
また、ロワール地方のアンジュー・ペティヤンやイタリアのランブルスコなど
圧力が1~2.5気圧の弱発泡性ワイン「ヴァン・ペティヤン」。
そして、もっとも炭酸の気圧が少ない、0.5~1気圧の微発泡性ワイン
「ヴァン・ペルラン」があります。
余談ですが、ヴァン・ムスーは、澱抜き後にワインの原液と糖分をまぜた
リキュール・デクスペディション(門出のリキュール)が補充されます。
この門出のリキュールに含まれる糖分によって甘口、辛口などに分類されます。

「フォーティファイドワイン」は別名「酒精強化ワイン」とも呼ばれ、
「fortified(=fortify)」には「アルコールを加えて強くする」という意味があり、
シェリー、ポートワイン、マデイラ、マルサラがこれにあてはまります。
ワインの醸造工程中に40度以上のアルコールを添加するため、
一般的なワインではアルコール度数が12度前後なのに、
フォーティファイドワインでは18度前後にまで上昇します。
アルコール度数を高めることで、コクが深まり、保存性も高まります。

「フレーバードワイン」は、「アロマタイズド・ワイン」とも言われていて、
食前酒として飲まれたり、カクテルの材料として用いられたりもしています。
ハーブやスパイス、フルーツなどを加えたり、
中には蒸留酒を加えたものもあります。
日本で知名度が高いものは、スペイン発祥の「サングリア」がそれにあたります。
ワインにフルーツやスパイス、ブランデーやはちみつなどを漬け込んで、
ワインにフルーティーさスパイシーさを加えて楽しむもので、
開封して日数が経ってしまったワインや、あまり好みでなかったワインを
サングリアにして楽しむことができます。
その他には、フランスやイタリアの「ヴェルモット」が有名で、
こちらは白ワインにニガヨモギなどの香草やスパイスを配合して
造られるフレーバードワインです。

赤ブドウから赤ワイン・白ブドウから白ワイン

スティルワインである赤ワイン、白ワインはどのように造られるのでしょう。
赤ワインは主に「カベルネ・ソーヴィニヨン」「メルロー」「ピノ・ノワール」、
白ワインは「シャルドネ」「ソーヴィニヨン・ブラン」から造られることが多く、
この5品種は、世界で栽培されている「国際品種」と呼ばれるブドウの中でも
最もメジャーなものです。
それでは、これらのブドウからどのようにワインが造られるのか
まずは、赤ワインの醸造方法をご紹介しましょう。

収穫したブドウの茎など、ワインの風味の妨げになるものを取り除く
「除梗」をおこない、タンクで2~3週間ほど果粒と果汁を漬け込みます。
これを「マセラシオン」といい、この時に赤ワインの色素である赤い色が、
皮から抽出されます。
マセラシオンが終わったワインを搾り、ブドウ滓と果汁に分けます。
ワインは数週間から長期熟成だと36か月、タンクや樽の中で過ごします。
この時ワインに含まれるリンゴ酸が、果皮に付着していた
乳酸菌の働きよって「乳酸」と「炭酸ガス」に変化します。
これを「マロラクティック醗酵」といい、
これによりワインの酸味はやわらげられ、まろやかさや丸み、複雑味が生まれます。
樽の底にしずんだ酵母とその他の沈殿物を除去し、
酸化を防ぐために、少量の二酸化硫黄を加えます。
ワイン中に浮遊している微生物や不純物などを取り除くため、
ワインを別の容器へ移し替えます。
ワインを瓶に詰め、コルクやスクリューキャップ等で栓をし、
ラベルを貼ります。
この後、シンプルなワインはすぐに出荷されますが、
多くのワインはこの後、さらに瓶の中でさらに熟成されます。
これで赤ワインが出来上がります。

白ワインの醸造方法は赤ワインとほぼ同じですが、
除梗をおこなったあとに、赤ワインの色素をつける
マセラシオンを行わず、すぐに圧搾されます。
その後は造りたいワインのタイプに合わせて
ステンレス製のタンクや木樽をつかって育成されます。

ニューワールドの場合、「カベルネ・ソーヴィニョン」「メルロ」「シャルドネ」
といったブドウ品種を明記するヴァラエタルワイン(Varietal wine)が多いです。
ヴァラエタルワインは、アメリカのカリフォルニアにおいて、
消費者に分かりやすいようにワインのラベルにブドウ品種を明記するワインを出し、
その分りやすさから消費者から人気を得て、
現在ではニューワールドを中心にワインのラベルに品種名を明記するワインが増えました。

オールドワールド・ニューワールド

現在、ワインは世界中で生産されており、
ワインの産地は「新世界(ニューワールド)」と「旧世界(オールドワールド)」
の2つに大きく分けられます。
オールドワールドとは、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、ドイツ
といった、ヨーロッパの古くからワインを生産している産地を指し、
それらの国で作られたワインを「オールドワールドワイン」や
「旧世界ワイン」と呼びます。
大航海時代以降にヨーロッパ諸国が進出し、ワインが伝わった新大陸を
新世界(ニューワールド)と呼び、アメリカ、チリ、アルゼンチン、オーストラリア、
ニュージーランド、南アフリカ、そして日本が含まれます。
それらの国で作られたワインの事を「ニューワールドワイン」や
「新世界ワイン」と呼びます。

それぞれの特徴としては、オールドワールドワインは、
ヨーロッパの古い歴史とともに発展してきた文化でもあり、
各国の風土、気候などによって固有品種もさまざまなバリエーションに富み、
一般的には質が高く、アルコール度も強すぎないものが多いです。
また、2009年に施工されたEUの新しいワイン法に基づき、
EUに加盟しているワイン生産国は厳しい格付けを定めており、
特に日本に入ってくるワインの品質は厳しく審査されているため質の高いものが多いです。
味わいは、複雑さを好む傾向にあり、高級ワインでは繊細で気品のあるワインが
多く生産されています。

ニューワールドワインの最大の特徴はオールドワールドに比べ、
価格が比較的リーズナブルなものが多いことです。
歴史が浅い分、規制など縛りがゆるいため自由に様々な品種を栽培することができ、
また醸造方法も最新の設備を使って、大量に生産ができる傾向にあり、
流通量も多いため、デイリーワインとして楽しめるリーズナブルなワインが主力です。
日本が最も多く輸入しているワインは、まさにニューワールドのチリワイン。
ニューワールドワインは一般的にはブドウ本来の果実味が豊かで、
しっかりした色合いと味わいが特徴、アルコール度数もやや高めのものが多いです。

生産地域によりワインの名前がつけられる

先ほどのオールドワールドワインとニューワールドワインの特徴の違いで、
もう1つ大きな特徴の違いとして、ラベルの表記があります。

ニューワールドの代表でもあるチリの場合は、
フランスに比べると比較的自由な表記になっています。
多くの場合は、まずワイン名が一番目立つように記載されています。
逆に、フランスの場合はワイン法によって昔から土地によって使って良い品種や
製法が決まっていたため、地名を名乗ること=ブドウの品種を意味してたため、
ブドウ品種が記載されることは一般的ではありません。
また、ヴィンテージもニューワールドのワインの方が記載されていることが多いです。

オールドワールドワイン代表のフランスのラベルの表記を例にとると、
ワインの名称、ブドウの収穫年(ヴィンテージ)、原産地統制呼称、生産国、
地区名、瓶詰め元、容量、アルコール度数が記載されていることが多く、
ボルドーワインの場合「生産者名」がワイン名になることが多くあります。
「シャトー」と記載のあるワイン名を多く見かけると思いますが、
これはワインの生産者のことを指します。

◆メドック格付け1級のシャトー名(ワイン名)
シャトー・ラフィット・ロートシルト
シャトー・ラトゥール
シャトー・マルゴー
シャトー・ムートン・ロートシルト
シャトー・オー・ブリオン

メドック地区には約500のシャトーがあり、そのうち61のシャトー
(シャトー・オー・ブリオンのみグラーヴ地区)のみに
1級から5級の格付けがされており、その下にはクリュ・ブルジョワ級があります。

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