この記事を読むのに必要な時間は約 10 分です。
いま日本は、第7次ワインブームと言われ、ワインの消費は、この10年で1.6倍に伸び、
この30年ずっと右肩上がりの安定的な成長をとげています。
とは言え、まだまだビール、焼酎に追いつくほどにはなっていないのが現状。
果たして、その原因はどこにあるのか。
そこで、本日はワインが苦手で飲めない人のためのワインのススメと題してお話します。
ワインが苦手な人の共通的な特徴
まず、ワインが苦手という人に共通して多いのが、「ワインの味が苦手」という特徴。
ワインの味が苦手という人に、ワインの味ってどんな味ですか?と聞くと、
大抵の場合「ワインは苦くて、酸っぱい」という意見がかえってきます。
なるほど。確かにワインをほとんど飲んだことがない人が、
ワイン好きの人から「ワインって美味しいから飲んでみなよ」なんて、
フルボディの赤ワインをすすめられて、飲んだらこんな感想になりますよね。
でも、世界には数十万種類のワインがあると言われていて、
ボルドーだけでも毎年約3万種類ものワインが造られています。
それだけの種類があるんですから、きっと自分の好みに合ったワインもみつかるはずです。
ワインが好きになるおすすめの飲み方
そこで、ワインは苦くて、酸っぱいというイメージを持っている方に、
おすすめの飲み方があります。
それは、まず「甘口ワイン」から試してみることです。
甘口ワインにはアルコール度数が低めのものが多くあります。
その理由としては、ブドウ果汁がワインに変化する仕組みにあります。
ワインとは、醸造過程で原料であるブドウの糖度が、
アルコールに変わることでワインになります。
そのため、原料のブドウの糖度をどこまで残すかで、
アルコール度数が変わってくるのです。
糖分を残さずにアルコールにしてしまえば、アルコール度数が高い辛口ワインとなり、
発酵を途中でとめて糖分を残せば、アルコール度数が低い甘口のワインになります。
一般的にアルコール度数が10%以下のワインが低アルコールワインと言われ、
モスカート(日本ではマスカット、フランスではミュスカ)を使った
低アルコールワインでは、サンテロの弱発泡性白ワイン「ドゥエ‼」は、
アルコール度数がなんと2%と低アルコール!
ビールよりも低く、缶のサワーの中でも低めのものと同じくらいの度数ですね。
アルコール度数が低いワインの代表(10%以下)
5~6.5% モスカート・ダスティ
7~8% ドイツのリースリング
特に「モスカート・ダスティ」がおすすめです。
名称の「モスカート」とはマスカットの事であり、
ダ・アスティは、アスティ地域のマスカットで作られたワインという意味です。
糖分がアルコールに分解される前に発酵を止めるので、
結果としてアルコール分は抑えられて、度数は5.5~7%とビールと同じくらいです。
マスカットから造られフルーティーでやや甘口微発泡のワイン。
微発砲なので、炭酸が苦手という方にも飲みやすい口あたりです。
しっかり冷やしてもおいしくいただけるので、特に今の時期、
キンキンに冷やして食前酒として軽く一杯いただくのに最適な1本です。
また、「スパークリングワイン」を試してみるのもおすすめです。
特に、普段ビールは好きでよく飲むという方は、
同じ発泡性のアルコールなので、のどごしが良く乾杯にも食事にも合わせやすいです。
スパークリングワインにも、甘口から辛口まで7段階あり、
泡の強さも大きく分けると3種類あります。
フランスのシャンパン、イタリアのプロセッコをはじめとする
「ヴァン・ムスー」と呼ばれる瓶内の炭酸ガスの圧力が3気圧以上の
最も典型的な発泡性ワイン。
また、ロワール地方のアンジュー・ペティヤンやイタリアのランブルスコなど
圧力が1~2.5気圧の弱発泡性ワイン「ヴァン・ペティヤン」。
そして、もっとも炭酸の気圧が少ない、0.5~1気圧の微発泡性ワイン
「ヴァン・ペルラン」があります。
炭酸がそれほど得意ではないという人は、微発泡のワインがおすすめです。
ワインは難しくない!誰でも気軽に飲めるお酒
ワインが苦手という人に理由を聞いてみて次に多いのが、
「種類も多いし、用語も色々あって難しそう」「気取ってる感じで恥ずかしい」
という回答も多く耳にします。
確かに、ワインは世界各国で造られていて数十万種類あり、
このソムリエ手帖でもお話している「マリアージュ」や「デキャンタージュ」などの
ワイン用語もたくさんあります。
でも、正直言ってそんなの全然気にしなくてOKです。
むしろ、最初はとっても飲みやすい自分の好みのワインを探してきて、
とりあえず飲んでみることです。
グラスもわざわざ最初からワイングラスを用意する必要はありません。
水を飲む用のグラスで十分!
まず一口飲んでみてください。
香りや風味なんて気にして飲まなくていいんです。
むしろ気取らずに、アルコール度数が低い甘口の微発泡ワインを買ってきて、
缶酎ハイ感覚で飲んでみてください。
「あれ?ワインってこんなに飲みやすいものだった?」と驚くはずです。
最初から、ワインの香りや風味を感じようとか、
ワイングラスに注いでくるくる回して空気を含ませて…なんてこと考える必要ありません。
冷蔵庫でよーく冷やして、缶酎ハイ感覚でゴクゴク。
これで、一気にワインの見方が変わると思います。
最初の一歩って何でも重要ですよね。
まるで初めて入るお店のようにちょっと一歩踏み出すのを躊躇する感じです。
中では、店員さんとお客さんが親しげに会話をしていて、
漏れてくる会話の内容がちんぷんかんぷん。しかも、お店の雰囲気がおしゃれで、
こんな格好で入っていいのか?と一瞬ためらってしまう感じ。
システムもよく分からないし、とんちんかんなこと言ったら、クスクス笑われそう。
ワインをお店に例えるとこんな感じではないでしょうか。
でも、ワインって思うほど気取ったものでも、難しいものでもないんです。
一度飲み始めて気に入ったものが見つかると、次の1本を買ってみたくなる。
そうしていくうちに、よりおいしいものはないかな?と気になりだし、
次第に、どこの産地のもの?なんていう品種?というように、
ワインのことを知りたくなってくるものです。
わざわざ高いものを用意する必要は無し
ワインが苦手な理由で次によく耳にするのが、「ワインは高い」という言葉。
1本100万円のロマネコンティなんて聞くと、
「ただのお酒に何故そこまでお金を出す人がいるの?」と驚く方もいらっしゃいますよね。
さすがに、相当なワインラバーといえども、そんな高級ワイン一生に一度飲めるかどうかですが、
中には1本10万円のワインを記念日に買ってきた。なんて聞くと、
ワインを飲みなれない人からしたら、お酒1本に10万円?それだったら旅行に行くわ!って、
思う方も多いと思います。
確かに、ワインは他のお酒に比べ種類も多い分、金額も驚くような桁のものも存在します。
しかしながら、市場でもっとも飲まれているワインの価格帯は、
1本1000~3000円の範囲が多く、スーパーでもこの価格帯のワインが一番種類があります。
最近は、EPAの関税撤廃のおかげで、フランスワインやイタリアワイン、スペインワインなども、
1000円以下で購入できるものが増えてきました。
中には、500円以下で購入できるものもあります。
1本1000円と考えると、焼酎や日本酒と金額がそれほど変わりませんよね。
ワインが飲めるようになると世界が広がる
最後に、ワインの魅力について。
ワインの魅力は?と聞かれて一番に思い浮かぶことは、やはりその種類の多さだと思います。
世界各国で造られているワインは、その産地、生産者によって味わいは全く異なります。
究極を言えば隣の畑で造っているのに、ほんの少し位置が違うだけで、
その土地の土壌のわずかな違いでブドウの味わいが変わり、出来上がるワインの味も変わります。
また、ブドウと一言で言っても、世界には10,000種類のブドウの品種があり、
それぞれまったく味わいが違います。
その土地でしか栽培していない固有の品種も世界にはたくさんあり、
ワインを飲むということは、その土地を味わっているのと同じことなんです。
一度ワインの虜になった人は、尽きることのない新しいワインの未知なる味を
ずっと探求し続けられることに、魅力を感じているのではないでしょうか。
ワインが苦手という方は、ぜひワインの世界に最初の一歩を踏み出してみてください。
とっても素晴らしい世界が広がっていますよ。