この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。
ソムリエのような、スマートなワインの注ぎ方って憧れますよね。
スマートにサーブできると、周囲にも洗練された印象を与えることができます。
そこで、本日はワインの注ぎ方とその際のマナーについてお話します。
注ぐ際のワインボトルの持ち方
まず、ワインを注ぐときのワインボトルの持ち方についてから。
ソムリエがワインを注ぐ時のボトルの持ち方は2通りあります。
1つは、ボトルの底の方を5本の指で覆うように持つ方法と、
もう1つはボトルのくぼみに親指を入れて、
4本の指でボトルの外側を持つ方法です。
しかしながら、後者の方の持ち方は、滑りやすく安定もしにくいので、
相当注ぎ慣れた方でないと、上手に注ぐのは難しいでしょう。
そのため、安定していて、スマートなワインボトルの持ち方は、
ラベルにかからない瓶底の方を片手でしっかり持つようにして注ぐか、
もしくは片手で瓶底をしっかり持って、
もう片方の手でボトルの下側支えるように
持つのがスマートな持ち方とされています。
そして、この時必ずワインのラベルは相手に見えるように
上向きにして持ちましょう。
注ぐ順番にもマナーがある
ボトルの持ち方が分かったところで、次に注ぐ順番にもマナーがあります。
ワインを注ぐ際の順番は基本はレディーファーストとし、
女性のグラスに先に注ぎます。
複数人いる場合は、年功序列で注いでいきます。
ソムリエがいるレストランなどで、ワインをボトルで注文した際に、
ホストテイスティングをおこなうことがありますが、
その際、デートであればエスコートしている男性がおこないます。
テイスティングをした後に、「これで大丈夫です」という意思表示をすると、
ソムリエはそのまま男性のグラスにワインを注ぐのではなく、
ゲストである女性のグラスに先に注ぎ、
その後ホストである男性のグラスに注ぎます。
これは、海外で生まれたワインならではの文化です。
また、日本では飲み会で女性が男性にお酒をお酌するというのが一般的ですが、
ワインの国際マナーとしては、女性がお酒を注ぐ習慣は海外にはないため、
控えた方がよいでしょう。
グラスから数センチ離して注ぎ、注ぐ量にも注意が必要
ワインの注ぎ方のポイントは、ゆっくりと慎重に行うことです。
ワイングラスは繊細なものが多く、ボトルの注ぎ口が強く当たると
欠ける恐れもあります。
また、勢いよく注いでしまうと、ヴィンテージの古いワインによくみられる
澱(おり)が舞ってグラスに入ってしまうこともありますので、
グラスの数センチ上から、ゆっくりとワインを空気に触れさせるように注ぎましょう。
ちなみに、澱はワインの渋みの成分であるタンニンと、
色素の成分であるポリフェノールなどが結合してできたものなので、
飲んでしまっても害はありませんが、舌触りが悪いので、
なるべく澱は入れないように注ぐのがベストです。
また、グラスに注ぐワインの量に注意が必要です。
注ぐ量は、ワイングラスの大きさによっても多少異なりますが、
グラスの3分の1程度が適量です。
ワインは香りを楽しむお酒でもあるため、スワリングと言って
グラスを回してワインに空気を触れさせる動作ができるスペースをとるためです。
また、複数人に注ぐ際は、全員が同じ量になるように気を付けましょう。
お店などでは750mlのフルボトルのワイン1本から、
グラスワインは6杯とるようにしています。
1杯あたり125ml注ぐとお店で飲むグラスワインと同じくらいの量です。
と言っても、125mlきっかり目分量で注ぐのは難しいと思いますので、
ボルドータイプのワイングラスでしたら、グラスの一番膨らみがある部分の
少し上くらいを目指して注ぐとちょうど良い量になります。
注ぎ終わったら、滴が落ちないようにワインボトルを少し回転させて
滴を切るように上に戻します。
スパークリングワインの場合は他のワインと注ぎ方が違う
まず、スパークリングワインは栓を開ける前によく冷やしてから開けましょう。
ボトルの内部には高い圧力がかかっているため、
夏場など気温が高い状態で、常温のまま開けてしまうと、
ボトルを振っていなくても中身が勢いよくあふれ出すことがあります。
注ぐ際に気を付けるポイントは、一度に一気に注ぐのではなく、
2回に分けて注ぐのが基本です。
1回目は、ワイングラスの8分目くらいまで注ぎ、
泡立ちが少しおさまるのを待ってから、2回目を注ぎましょう。
スパークリングワイン用のグラスは細長いフルートグラスか、
白ワイングラスのように膨らみがあるタイプのものに分かれると思いますが、
グラスの6分目くらいまでを目安に注ぎます。
注いでもらう時の注意
注ぐ際のポイントと注意点が分かったところで、
次は注いでもらう方の注意点もおさらいしておきましょう。
ついつい日本人がやってしまいがちな国際的なマナー違反が、
「注いでもらうときにワイングラスを持ち上げる」ということがあります。
ワイン文化が浸透してきたため、最近はあまり見かけなってきましたが、
日本の文化では、お酒を注いでもらう際に、グラスなどに手をそえて軽く持ちあげるのが
ルールとされていますが、これは国際的なマナーとしてはふさわしくありません。
とくに、フォーマルな場ではワインを注ぐのはレストランのスタッフやソムリエの役目。
自分たちで勝手に注がずに、グラスを置いておきましょう。
レストランのスタッフやソムリエが注ぐ際には、グラスは持ち上げず、
もし注ぎづらい場所にグラスがあれば、注ぎやすい場所にずらす程度で大丈夫です。
国際的なワイングラスの持ち方とマナー
また、ワイングラスの持ち方に関しては、
実は日本独自のローカルマナーともいえる持ち方があります。
それは、ワイングラスの脚(ステム)を持つ形です。
もちろん、それが国際マナーに反しているというわけではありませんが、
この持ち方はテイスティングをおこなうときの持ち方で一般的ではありません。
国際的なワイングラスの持ち方は、ステムの部分は持たずに、
指でボウル部分を持つのが正しい持ち方とされています。
ボウルが大きめのブルゴーニュグラスやボルドーグラスの場合、
ワインを注ぐと重みがボウル部分にあるため、ステムを持つと不安定なります。
そのため、ボウルを手で囲い込むようにはせず、指でそっとつかむように、
ボウル部分、もしくはボウルと脚の境目辺りを持つと一番安定します。
よくテレビなどで政治家や王室の方々の晩餐会などが写ると、
確かにボウルの部分を持っている方が多い気がしますね。
乾杯時の注意
最後に乾杯についての注意点を1つ。
乾杯の際に、グラス同士を景気よくぶつけて乾杯なんてしていませんか?
正式なマナーではグラス同士を合わせて乾杯はNGです。
ワイングラスは高級なものほど薄く繊細なものが多いため、
ワイングラスを合わせた瞬間、割れてしまうことも考えられます。
そこで、フォーマルな場での乾杯は、ワイングラスを胸の高さまで上げて
軽く会釈をしながら「乾杯」と言いましょう。
ただし、ワインは美味しく楽しく飲むのが何より大事!
上司がワインを進めてきてくれているのに、
グラスも持たずただじっとしているのは耐えられない!なんて場面は、
気にせずグラスを持ち上げていただきましょう。
そして、友達や家族とのカジュアルな食事の場では、
みんなが楽しく飲めるように、グラスを合わせて乾杯しても良いと思います。
臨機応変に、楽しく心地よく飲める飲み方でワインを楽しんでください。