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リーズナブルなイタリアワインを造る赤ワインの品種といえば、バルベーラ。
イタリアワインの王であるバローロの産地ピエモンテ州のワインの半分は
実は、このバルベーラから造られているリーズナブルなワインが多いんです。
そこで、本日はイタリアワインには欠かせないバルベーラについてお話します。
バルベーラの特徴と造られるワインの特徴
主に、ピエモンテ州とロンバルディア州で多く栽培されています。
ピエモンテ州のアスティ県モンフェラートを原産とする品種で、
イタリアでは、サンジョベーゼやモンテプルチアーノなどと並んで多く栽培されています。
収量が多く、比較的リーズナブルなワインに使用されることが多い品種ですが、
高級ワインを造りだすことでも知られる品種です。
18世紀末にフィロキセラの被害によって絶えたネッビオーロに代わって
丈夫で多産なバルベーラに植え替えられ、想像以上の収量と安定した品質に、
テーブルワインの原料として重宝されました。
特に、ピエモンテ地方ではバルベーラから造られるワインが、
総生産量の半分を占めており、ネッビオーロとブレンドされることも多いですが、
1980年代に小数の生産者が高級ワインの原料としてバルベーラに着目し、
フランス産の「バリック」と呼ばれる小樽で熟成させて造る
バルベーラ・ダスティが生まれました。
現在では、バローロ、バルバレスコに劣らない高価なワインとして人気を集めています。
バルベーラから造られるワインは、
色調が濃く、口当たりは軽めなものが多いです。
タンニンはおだやかで酸が豊かでチェリーのような風味があります。
スミレやラベンダーのような香りが感じられます。
また、造り手により味わいのバリエーションが幅広く、
軽くて酸味が強いものから、樽熟成したパワフルで濃厚なものまでさまざまです。
熟成すると果実味がおさえられ枯れ葉などの香りに変化し、
より濃厚になりチョコレートのような風味が出て、
全体的に落ち着いた印象のワインに変化します。
生産地域による味の違い
・イタリア
イタリアではピエモンテの隣のロンバルディアや、エミリア・ロマーニャ、
プーリア、カンパーニアなどでも栽培されています。
特に、ピエモンテ州のモンフェラート地域のアスティ、アルバが有名で、
ピエモンテで造られるバルベーラの赤ワインは、
マルベリーやハーブの風味があり軽やかな味わいのものが多いです。
・カリフォルニア
カリフォルニアでも全体に比べると小規模ながら、バルベーラの栽培が行われています。
温暖なカリフォルニアのバルベラはジャムのような果実味が感じられ、
アルコール度数が高い傾向のものが多いです。
バルベーラ単一のワインよりも、シラーやカベルネ・ソーヴィニヨンと
ブレンドして使われることが多いです。
バルベーラから造られるおすすめワイン
・イタリア
バタシオーロ バルベーラ・ダスティ
「偉大なワインは偉大な畑から成る」という哲学のもと、ブドウ栽培をおこなう
イタリア北部のピエモンテ州の中で最大規模を誇るワイナリーで、
名門ワイナリーの多いピエモンテ州の中でもその品質は、高く評価されています。
鮮やかなルビー色、熟したベリー系の果実を想わせる香りに、
しっかりとしたタンニンと果実味と酸のバランスがとれており、
なめらかな味わいが魅力のワインです。
バルベーラ ダルバ スペリオーレ
1958年にこの地域の22の生産者によって設立された組合
テッレ・デル・バローロが手掛ける
クラシックなスタイルの造りのDOCバルベーラ・ダルバ・スペリオーレ。
バルベーラ ダルバ スペリオーレを名乗るには、
アルコール度数は通常より0.5%高くて1年間は熟成期間が必要、
という2つの条件を満たさなければなりません。
酸が充分あり、コクもあり、見事な仕上がりのワインです。
伝統を残しつつ新しいスタイルを取り入れたワインで、
バリックが効果的に使われて、バランスもとれています。
バルベーラ ダスティ 2016 ラバヤ ディ ブルーノ ロッカ
30年という浅い歴史の若い造り手ながら今や他の造り手も認める
バルバレスコを代表する実力派。
ネイヴェ村サント・クリストフォロに位置する青い石灰岩の比率が高い「カデ」と
呼ばれる畑の樹齢10年から40年のブドウを使用。
タンニンが豊富なので過度の抽出を避けるよう優しくゆっくり発酵し、
14~16ヶ月間バリックで熟成しました。
色調はうすいルビー色。香りはスミレやラズベリーなどの赤い果実、葉巻、胡椒など。
味わいはスパイシーですが、渋みと酸味のバランスが見事にとれており、
長い果実味の余韻を楽しむことができるワインに仕上がっています。
・カリフォルニア
マックマニス バルベーラ
マクマニス・ファミリー・ヴィンヤードはロディの南、
サン・ホワキン合流の近く、スタニスラウス川に位置しているワイナリーです。
「リヴァー・ジャンクション」地区というカリフォルニアではマイナーだった
生産地域において、マックマニスの登場により地区全体が新たなAVA
(アメリカ政府承認ぶどう栽培地域)として認められたほどの実力派。
そのマックマニスが造ったバルベーラをステンレスタンクで発酵後、
4~6ヵ月フレンチオーク&アメリカンオーク樽で熟成したワイン。
ラズベリーを中心とした黒い果実とチェリーの芳醇な香りに、
樽によるクローヴの香りが合わさり、柔かなタンニンとモカの余韻が残ります。
おすすめワインに合う料理・おつまみ
酸の豊かなバルベラは、濃厚な料理と相性が良いです。
スペアリブ、ミートソースパスタなど
しっかりとした味付けの肉料理と合わせるとおいしいです。
バルベーラの主な産地、ピエモンテ州の郷土料理であるカルネ・クルードは、
生肉のタルタルで、刻んだ牛肉にレモンや塩をかけたシンプルな前菜です。
このカルネ・クルードにも、豊かな酸と穏やかなタンニンをもつバルベーラが
見事に調和し地元で愛されるワインと料理のマリアージュです。