世界のワイン産地を危機に晒したフィロキセラとは

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世界のワイン産地を危機に晒したフィロキセラとは

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フィロキセラとは

19世紀後半、ヨーロッパのワイン産地を壊滅的な状態に陥れたフィロキセラ禍。
当時、フランスワインの生産量のじつに3分の2が、
このフィロキセラによって失われ、多くのワイナリーが廃業においこまれました。
そこで、本日はフィロキセラについてお話します。

フィロキセラとは

フィロキセラは、ブドウ樹の葉や根に寄生し、
樹液を吸うことでブドウを枯死に至らしめます。
フィロキセラがついた部分の根はこぶのようににふくれ、
根から栄養分を吸収ができなくなり、
葉にも幼虫が寄生することで生育不良となり、開花できず、
無核果・葉焼けなどの被害が次第に現れ、
そして、樹が次第に衰弱して枯死するという恐ろしい害虫です。
日本では、ブドウネアブラムシ(葡萄根油虫)と言い、
驚くことにその害虫の大きさは、わずか1ミリほどの
ほとんど見えないくらいの小さな虫。
しかし、フィロキセラはブドウの根に寄生するため、
薬剤を散布することができず、現在の科学技術をもってしても、
フィロキセラが寄生してしまったあとの駆除は困難とされています。

フィロキセラが侵食した地域

フィロキセラは、フランスのコート・デュ・ローヌから始まり全土に蔓延し、
アメリカ、スペイン、イタリア、ポルトガル、ドイツ、オーストリア、
ニュージーランドに広がりました。
そして、ヨーロッパで壊滅的な被害をもたらした約20年後、
日本にもフィロキセラが入り明治から大正にかけて大発生し、
ブドウ栽培が壊滅する危機に追い込まれました。
しかし、中にはこのフィロキセラの被害を全く受けていない産地がいくつかあります。
オーストラリア・南オーストラリア州のバロッサ・ヴァレーや、
チリ、アルゼンチンです。
また、フィロキセラの被害を受けた産地でも、局所的に免れた地域もあり、
ギリシャのサントリーニ島や、イタリアのアマルフィ、フランスのピレネー、
スロベニア・マリボルなどでは、200年から中には400年以上生き延びている
ブドウの株があります。
また、チリ、アルゼンチンでは、フィロキセラの被害がヨーロッパに及ぶ前に、
苗木が持ち込まれたため、ヨーロッパの方ではすでになくなってしまった、
自根で栽培されているヴィティス・ヴィニフェラ種の貴重なブドウ樹が残っています。

フィロキセラによるワイン・ブドウの被害

フィロキセラはもともとアメリカ大陸を原産とする害虫で、
被害が最初に確認されたのが1863年のフランス・コート・デュ・ローヌでした。
前年の1862年に、あるワイン商がアメリカのニューヨークからブドウの苗木を購入し、
自分の畑に植えたところ、次第にブドウ樹が枯れ始め、
その被害は急速に広がり、5年後にはラングドック地方にも拡大していきました。
そして最初の発生から10年でフランス全土に蔓延し、
時を同じくして、アメリカ・カリフォルニア州のソノマでもフィロキセラが発見され、
やがてヨーロッパの多くの産地に被害が広がりました。
フランスでは、ワイン生産量の3分の2を失うこととなり、
多くのワイン産地が壊滅的な状態になり、
多くの歴史あるワイナリーが畑と共に失われました。

フィロキセラからブドウ畑を守った方法

フランス全土に蔓延したフィロキセラの被害をどうにか食い止めようと、
フランス政府が動き出します。
政府が調査依頼をしたのが、フランス・モンペリエ大学の植物学者である
ジュール・エミール・プランション博士でした。
プランション博士は、まだ枯死していないブドウの根を調査し、
そこにブドウネアブラムシを発見します。
そして、1873年アメリカに渡り、アメリカ原産のブドウ品種であるリパリア種、
ルペルトリス種、ベルランディエリ種の根に、フィロキセラ耐性があることを発見します。
フィロキセラは、ヨーロッパ系品種であるヴィティス・ヴィニフェラ種を好んで寄生する
ことが分かり、アメリカで発見したフィロキセラに耐性のある3品種を台木にし、
これまで栽培されてきたヴィティス・ヴィニフェラ種を接木する対策を実施しました。
根の部分をフィロキセラに耐性のあるアメリカ品種にしたことで、
フィロキセラの被害が一気に沈静化していきました。
接木という素晴らしい解決策で、数十年に及ぶフィロキセラ禍を終息させることができ、
歴史あるヨーロッパのワイン文化を守ることができたのです。

フィロキセラからブドウ畑を守った方法

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