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このブドウは収量が高く安定して栽培できることから、
ブドウ農家が毎年収穫期には必ず借金 (debito) を返済 (paga) できるという意味で、
デビットやパガデビットといった別名で呼ぶ地域もあります。
イタリア南部のプーリア州で盛んに栽培されている「小さな爆弾 」を意味する
ボンビーノ・ビアンコについてお話します。
ボンビーノ・ビアンコの特徴と造られるワインの特徴
ボンビーノ・ビアンコは、おもにイタリアのアドリア海沿岸部で栽培されており、
イタリアの地形からブーツの「かかと」に喩えられる
イタリア南部のプーリア州で盛んに栽培されています。
「ボンビーノ」という名称はイタリア語で「小さな爆弾 」を意味し、
ボンビーノ・ビアンコの丸い形をした果房に由来すると考えています。
このブドウは収量が高く安定して栽培できることから、
ブドウ農家が毎年収穫期には必ず借金 (debito) を返済 (paga) できるという意味で、
デビットやパガデビットといった別名で呼ぶ地域もあります。
このブドウの正確な起源は分かっていませんが、
プーリア州が原産地としてもっとも可能性が高いとされています。
また、アブルッツォ州の代表的な品種であるトレッビアーノ・ダブルッツォが
ボンビーノ・ビアンコと同一種なのではないかとい疑い始めています。
ボンビーの・ビアンコは熟すのが遅いですが、
もっとも際立った特徴としては、収量が非常に高く、
うどんこ病、べと病、かび病といったブドウ栽培に大敵な病害に対して
しっかりとした耐性があり、比較的安定して栽培できるブドウ品種です。
多産で収量が安定していることから、イタリア国外へ輸出されることも多く、
EU加盟国では、ボンビーノ・ビアンコはテーブルワインや、
食前酒として親しまれているベルモットなどの原料として使用され、
ドイツでは、ゼクトと呼ばれるリーズナブルなスパークリングワインに、
モリオ・ムスカートとブレンドされ使用されています。
ボンビーノ・ビアンコから造られるワインは、
柑橘系とハーブのアロマがあり、ワインによってはミネラル感のあるものもありますが、
比較的おとなしめな印象の味わいになるため、単一品種として使われるよりも、
ブレンドとしてワインになるものが多いです。
造られるワインのタイプは幅広く、スティルワインだけでなく、
微発泡ワインのフリッツァンテや発泡ワインのスプマンテタイプのワインも造られています。
おもな産地と特徴
ボンビーノ・ビアンコのおもな産地はイタリアで、
2000年の時点での栽培面積は3000ヘクタール近くあり、
その大部分はイタリア南部のプーリア州のバーリ県、フォッジャ県に集中しています。
プーリア州以外では、マルケ州、モリーゼ州、ラツィオ州でみられ、
ラツィオ州ではオットネーゼの名で知られているほか、
エミリア=ロマーニャ州では、パガデビット・ディ・ロマーニャという
D.O.C.認定ワインの主体品種となっています。
■プーリア州
バーリ県のコラートを中心にさまざまなタイプのワインが造られており、
ボンビーノ・ビアンコの白ワインや発泡ワインのスプマンテと
微発泡ワインのフリッツァンテがあります。
フォッジャ県のサン・セヴェロでは、白ワインとスプマンテの場合、
ボンビーノ・ビアンコは40-60%の比率で使用され、
残り40-60%はトレッビアーノ・トスカーノが占め、
その他の地元産白ブドウは最大15%まで使用が認められています。
ボンビーノ・ビアンコの表記が入ったセパージュワインは、
白ワイン、スプマンテ、フリッツァンテの3タイプがあり、
いずれもボンビーノ・ビアンコを85%以上使用することが決められています。
■エミリア=ロマーニャ州
エミリア=ロマーニャ州では、D.O.C.に認定されているパガデビット・ディ・ロマーニャは、
セパージュワインの場合、ボンビーノ・ビアンコが85%以上使用することが決まっています。
また、コッリ・ロマーニャ・チェントラーレの白ワインには、
40~50%のボンビーノ・ビアンコ、ソーヴィニヨン・ブラン、
ピノ・ブラン、トレッビアーノを使用することが認められています。
■アブルッツォ州
アブルッツォ州では、ボンビーノ・ビアンコはトレッビアーノ・ダブルッツォと
同一の品種であるとされ、トレッビアーノ・ダブルッツォの名で、
アブルッツォ州のワイン産地のほぼ全体で栽培されています。
ボンビーノ・ビアンコは、単一品種もしくは85%以上でブレンドされ、
白ワイン、スペリオーレ、リゼルヴァの3タイプのワインが造られます。
ボンビーノ・ビアンコから造られるおすすめワイン
カタパウヌス・ボンビーノ・ビアンコ ダルフォンソ・デル・ソルド
90haのブドウ畑を所有するダルフォンソ・デル・ソルドは、
1993年から ジアンフェリーチェ&チェレステ・ダルフォンソ夫妻によって
運営されているワイナリーで、有機栽培に近い栽培方法でブドウ栽培を行っています。
早いうちに剪定を行い、よく熟したブドウのみを遅摘みし、
発酵・熟成は温度コントロールされたステンレスタンクで行われます。
自社で培養した酵母を使用しています。
ボンビーノ・ビアンコ100%使用したワインは、
トロピカルフルーツ、洋梨、アプリコットの果実味が爽やかで軽快な酸味と
ミネラル感が味わいを引き締めています。
果実味が前面に出た飲み口優しい辛口ワインです。
産地:イタリア/プーリア州
マレーゼ ボンビーノ・ビアンコ
リヴェラ社は、世界遺産『カステル・デル・モンテ』のあるワイン産地の
パイオニア的存在であるとともに、プーリア州のワイン造りのクオリティと
イメージを向上させる牽引力となっているワイナリーです。
ボンビーノ・ビアンコ100%から造られるワインは、
グリーンがかった輝きのある麦わら色に、青リンゴの香り、
生き生きとしてフレッシュな品種に由来する強烈なブーケがあります。
フルーティでしっかりとした味わいで、酸とのバランスも非常によく、
シーフードやチキンの料理によく合います。
産地:イタリア/プーリア州
ローマ・ビアンコ フォンタナ・カンディダ
フォンタナカンディダ社は、1958年創業のラツィオ州ローマ県
モンテポルツィオ・カポーネに位置するワイナリーです。
「法王のワイン」と呼ばれるフラスカーティはローマを代表する白ワインで、
なかでもフォンタナ・カンディダ社は最大の生産者であり、
その名は全世界に知られています。
気軽に楽しめるフラスカーティ・ワインのよさを最大限に表現する実力には定評があります。
マルヴァジーア65%、ボンビーノ25%、グレコ10%の比率で造られるワインは、
フレッシュで香り高い味わいの白ワインです。
産地:イタリア/ラツィオ州
おすすめワインに合う料理
柑橘系とハーブのアロマとミネラル感のある、
生き生きとしてフレッシュな味わいのボンビーノ・ビアンコ100%ワインには、
シンプルな味付けのシーフード料理がよく合います。
また、ボンビーノ・ビアンコはスティルワインだけではなく、
微発泡ワインのフリッツァンテや発泡ワインのスプマンテタイプのワインも
造られているので、パスタ、サラダ、ペコリーノチーズなどの
カジュアルな料理からおつまみ、前菜といった軽めの食事とも合います。