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北は北極圏と重なり寒い国というイメージも強いカナダですが、
カナダワインの生産の中心地であるオンタリオ州は、
北イタリアのトスカーナやフランスのブルゴーニュと同じくらいの北緯で、
恵まれたテロワールがあり、ヨーロッパをはじめ世界中からワイン醸造家が
移住してくるほどの人気の産地です。
そこで、本日はアイスワインで有名なカナダワインについてお話します。
カナダワインの歴史
カナダのワイン造りの歴史は400年以上にさかのぼり、
16世紀にはキリスト教の教会がワイン造りをはじめ、
その後ヨーロッパからの入植者によってワイナリーが増加していきました。
その際、ヨーロッパからヴィティス・ヴィニフェラ種のブドウが持ち込まれ、
在来種であるヴィティス・ラブルスカ種のブドウと一緒に栽培が行われました。
カナダのワイン産業にとって大きな転機となったのが、
1987年のアメリカとの自由貿易の協定が締結されたことで、
海外の安価なワインが国内に入ってくるとを懸念し、
少量生産でも品質を重視したワイン造りにシフトしていくことにしました。
そして、現在カナダワインは醸造設備の新規投資や、新技術の導入、
輸出拡大など積極的に取り組んでいます。
とくにアイスワインについては、アジアへの市場拡大まで視野を広げています。
カナダワインの特徴
ロシアについで、世界で2番目に広大な土地を有するカナダ。
北は北極圏と重なり寒い国というイメージも強いですが、
カナダワインの生産の中心地であるオンタリオ州は、
北イタリアのトスカーナやフランスのブルゴーニュと同じくらいの北緯で、
恵まれたテロワールがあり、ヨーロッパをはじめ世界中からワイン醸造家が
移住してくるほどの人気の産地です。
西海岸沿岸を除くと冷涼な産地が多いですが、
その寒さのおかげで凍ったブドウを使用して造られる
アイスワインが世界的にも人気です。
カナダのワイナリーの約1/5がアイスワインのワイナリーで、
2017年には約250万ボトルのアイスワインが生産されました。
特に、カナダのオンタリオ州はアイスワイン造りに必要な特別な気候・
土壌が揃っているため、ワイナリーが一番多く、
カナダから輸出されるワインの8割はオンタリオ州のものです。
また、カナダでは、「VQA」の厳しい取り締まりがあり、
「収穫期は氷点下8度以下が3日間続いてから収穫する」という条件のもと、
高品質なアイスワインの製造を義務づける機関があります。
カナダには現在550以上のワイナリーがあり、
その多くは家族経営の少量生産のワイナリーが多く、
手作業にこだわって丁寧に造られた高品質なワインは、
国際的にも高い評価を得ています。
しかしながら、少量生産ということもあり、ほとんどが国内で消費され、
輸出されるものはごく一部に限られています。
産地・ブドウ品種
■産地
さきほども少し触れましたが、カナダワインのおもな産地は、
オンタリオ州のナイアガラ半島と、ブリティッシュコロンビア州のオカナガン渓谷です。
オンタリオ州
オンタリオ州は、フランスやイタリアなどのヨーロッパの主要なワイン産地と
同程度の緯度に位置しており、エリー湖やオンタリオ湖などの大きな湖の影響で
気候が比較的安定していて、ブドウにとって快適な気候となっています。
そのため、オンタリオ州のワイン産地では、
オールドワールドを連想させる繊細で優雅なワインが造られます。
とくに「ナイアガラの滝」で有名なナイアガラ地方は、
カナダで最大のワイン産地で、滝による独特な空気の流れがワインに適した気候となり、
シャルドネ、リースリング、ピノ・ノワール、カベルネ・フランなど、
様々なブドウが栽培されています。
ブリティッシュ・コロンビア州
オンタリオ州と並び、カナダで最もワインの生産が盛んな産地です。
南北に長い産地のため、さまざまな気候を有しており、
北部は北緯49°付近に位置し、北限ギリギリの産地ですが、
主要な産地であるオカナガン渓谷やシミルカミーン渓谷などは、
カナダでも唯一の砂漠地帯で、夏場の日中は40°Cに達する日もあるほど
暑い気候を持った地域もあります。
ブリティッシュ・コロンビア州のワイン生産量の85%以上は、
このオカナガンヴァレーで、冷涼な北部では白ブドウのヴィダルや、
リースリングの栽培が盛んで、南部では、黒ブドウのピノ・ノワールが
多く栽培されてます。
■品種
カナダで有名な品種といえば、アイスワインの主要な品種ヴィダルです。
ユニ・ブランとセイベル4986をかけ合わせた人口交配品種で、
耐寒性があるためにカナダのような寒冷地でも栽培が可能で、
しっかりとした酸を持ち、フルーティーなアロマが特徴的です。
おすすめワイン
ノーザン・アイス ヴィダル アイスワイン アイス・ハウス
醸造家ジェイミー・マクファーレン氏は、
カナダで最初の商業用アイスワインの醸造に参加した、
アイスワイン醸造のパイオニアで、
フランスをはじめこれまで多くの醸造所で経験を積み、
世界的な評価を受ける高い品質のワインを産み出してきました。
その活躍はワイン、アイスワイン、スピリッツの醸造だけに留まらず、
商品開発からブドウの購入やワイナリーの経営など、
カナダワインの産業発展のため力を注いできました。
そんなジェイミー氏が手掛けるカナダの固有品種
ヴィダルを100%使用したアイスワインは、
ハチミツとピーチのアロマが際立ち、
マンゴーやアプリコット、パパイヤ、リンゴ、洋ナシなどのフルーティーさに、
バニラのフレーバーが加わり、濃密で最後にしっかりとした酸を感じられる
アイスワインに仕上がっています。
バチェルダー ワインズ – サウンダーズ・ハウト ヴィンヤード シャルドネ2015
カナダ屈指のシャルドネの醸造家バチェルダー氏が手掛ける
単一畑のシャルドネ100%を使用して造られたワイン。
「サウンダーズ・ハウト ヴィンヤード」は、
ナイアガラエスカープメントのビームスヴィルベンチに位置する畑で、
2015年のナイアガラの気候は、シャルドネにとって素晴らしい
コンディションとなったヴィンテージです。
ニュアンスに富んだ、しっかりとミネラルが感じられるシャルドネ。
波のように次々と打ちよせる洋ナシや柑橘フルーツ、ハニーサックルの味わいに、
オーク由来のスパイスと、チョークの風味のアクセントが調和し、
はっきりしたミネラルの味わいが感じられます。
2018~2023年頃が飲み頃の熟成型の白ワインです。