見事な復活を遂げた固有品種クラスノストップで世界からも高評価を得るロシアワインとは

見事な復活を遂げた固有品種クラスノストップで世界からも高評価を得るロシアワインとは
ワクワクが止まらない!GWを楽しみ尽くすワインが続々登場!

見事な復活を遂げた固有品種クラスノストップで世界からも高評価を得るロシアワインとは

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

ロシアワインとは

世界一の国土を有するロシアは、典型的な大陸性気候で、
内陸部は-50℃以下になるところもあるほど、国土の大部分は寒冷な気候のため、
ワインのイメージがあまり強くないかもしれませんが、
かつてソビエト連邦時代は、ワイン発祥の地とされるジョージア(グルジア)も国の一部で、
世界で5本の指に入るワイン大国でした。
現在は、ジョージアに隣接するクラスノダール地方でワイン造りが盛んにおこなわれており、
絶滅寸前の品種だったクラスノストップで造られたワインが
国際的なワインコンクールで数々の賞を受賞するなど、
高品質なワインが生み出されています。
そこで、本日はロシアワインについてお話します。

ロシアワインの歴史

ロシアのブドウ栽培の歴史は古く、数千年前から古代ギリシャとの交易のため、
カスピ海や黒海、アゾフ海の周囲で原産のブドウの栽培がおこなわれていたようです。
現代のようなロシアワイン産業の礎を築いたのは、19世紀にレオ・ガリツィン
自身がおさめていたクリミア半島にシャンパン工場を設立したのがはじまりでした。
19世紀後半にはフィロキセラの害によりワイナリーは壊滅状態にありましたが、
1889年のパリ万博のスパークリングワイン部門で金賞を受賞し、
1891年ガリツィンはアブラウ・ジュルソの帝国領ブドウ畑の測量者に任命されました。
このブドウ畑では「ソヴィエト・シャンパン(人民のシャンパン)」のブランドで、
スパークリングワインが20世紀を通し生産されていました。
その後、1930年代まで安定したワイン産業が続きましたが、
ソビエト連邦時代に反アルコールキャンペーンなどにより、
ワイン産業は幾度となく苦境に立たされ、1991年のソ連崩壊後には、
ジョージア、モルドバといった優良なワイン生産国が
ロシアを離れ独立したことで、2000年にはロシア国内全体のブドウの栽培面積は
1980年代の半分以下にまで減少しました。
しかし、1992年の国有農園民営化に伴い、ロシアのワイン産業は大きな転換を迎えます。
ロシアの国有農園であったアブローラ社は民営化されたことで新しく生まれ変わり、
世界水準のワイナリーにするべく、2003年に近代的ワイナリーが完成し、
「シャトー・ル・グラン・ヴォストーク(CGV)」と名付けられました。

ロシアワインの特徴

ロシアワインの年間の生産量は、2018年の統計で世界13位の約4億リットル。
かつて1991年のソ連崩壊前は、ジョージアやモルドバといった優良なワイン産地を持ち、
世界でも5本の指に入るワイン生産国でしたが、
現在は、黒海沿岸のクラスノダール地方のワインがロシアワインの主な産地となっています。
ロシアワインのパイオニア的なシャトー・ル・グラン・ヴォストーク(CGV)は、
フランス人醸造家のフランク・デュセナー氏がワイナリーを運営し、
当初は、シャルドネ、ソービニヨン・ブラン、カベルネ・ソービニヨン、アリゴテ、
シラーなど8種類のブドウをフランスから輸入し、
逆に地ブドウのクラスノストップをフランスに送り、
何代にもわたって交配されたために出てしまった雑味をとるため、
異なる種類のブドウのDNAをとり除く作業をおこないました。
こうして、真のロシアワイン造りを目指してあらたな取り組みが始まり、
絶滅寸前の品種だったクラスノストップで造られたワインが
国際的なワインコンクールで数々の賞を受賞するなど、
今ではロシア国内だけではなく、国際的にも高い評価を得るまでに成長しました。

産地・ブドウ品種

ロシアのワイン産地で最も有名なのが、クラスノダール地方です。
このエリアの気候は晴天率が高く、フランスのボルドーと同緯度に位置し、
年間200日以上は10度を下回らず、比較的温暖な気候です。
ここで造られるワインは、黒海から吹き付ける風によって
繊細な酸と豊富なミネラルを含むワインになり、
土壌も多様なため、カベルネ、ソーヴィニヨン、シラー、グルナッシュ、
ピノ・ノワールなどの品種から高品質ワインを生産できる
優れたテロワールを持っています。
その他、クリミア、セヴァストーポリ、ロストフ州、コーカサス地方の諸共和国があり、
ロシアでは法令によってワインの地理的表示保護が定められています。
クバン(クラスノダール地方)、ドン渓谷(ロストフ州)、
スタヴロポリ(スタヴロポリ地方)、ダゲスタン(ダゲスタン共和国)、
テレク渓谷(カバルダ・バルカル共和国)、
ニージニャヤ・ヴォルガ(アストラハンおよびヴォルゴグラード州)、
クリミア(クリミア共和国)のワインがそれにあたります。

おすすめワイン

ファナゴリア オーサーズワイン ホワイト
ファナゴリア・エステート・ワイナリーは、
ロシアワインのトップブランドの1つとして国内では高い人気を獲得しており、
ワインの他にブランデーやウォッカなど、合わせて年間2,000万リットル以上の
生産量を誇ります。
ファナゴリア・エステート・ワイナリーの畑は、
フランスのボルドーと同じ北緯45度に位置するロシアのタマン半島にあり、
豊富な日照量に恵まれた火山灰土壌で、
ミネラルを多く含んだ糖度の高いブドウになります。
このワインは、ミネラル豊富なアリゴテとリースリングを使用。
ライムの爽やかなアロマに、カモミールや青草の清々しい香りが広がります。
フレッシュな果実味と酸のバランスが良く、
全体的にまとまりのあるシャープな切れ味が印象的な白ワインです。

ファナゴリア オーサーズワイン ホワイト

シャトー・タマーニュ クラスノストップ
クバン・ビノは、「ロシアの固有品種」の再起と保護をテーマとして、
多くの固有品種の栽培を行っています。
中でも代表的な品種が、サペラヴィとクラスノストップで、
高い醸造技術で素晴らしいワインを生み出し、
メインブランドである「シャトー・タマーニュ」は、世界中で数々の賞を受賞し、
ロシアを代表する生産者となりました。
こちらは、貴重品種であるクラスノストップ100%で造られたミディアムボディの赤ワイン。
ジューシーな果汁を感じる果実味で、プルーンジャムとラズベリージャムのような
濃厚な果実そのものの美味しさを味わえます。
醸造方法や畑の特色により様々な特徴が現れるクラスノストップ種ですが、
ブドウ本来の味わいがしっかりと引き出された1本に仕上がっています。

シャトー・タマーニュ クラスノストップ

ワインニュースカテゴリの最新記事

特集一覧