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国民の99%がイスラム教徒というトルコ。
ワインは無縁のようにも思えますが、
意外にもワイン造りの歴史は古く、
紀元前4000年までさかのぼります。
固有品種も多く、エキゾチックなテイストのワインが造られており、
最近では、品質がどんどん向上しており、
世界の評価も高まってきています。
本日は、トルコワインについてお話します。
トルコワインの歴史
トルコのワイン造りの歴史は、紀元前3500年~4000年にさかのぼると言われ、
紀元前2,000年ごろからアナトリア中央部で栄えたヒッタイト帝国でも、
ワインが飲まれており、トルコの広範囲でブドウが栽培されていました。
以前、このソムリエ手帳でもご紹介したワイン発祥の地の1つとされる
ジョージアとは隣国なので、ワイン造りの歴史が古いのもうなづけますね。
しかしながら、トルコと言えば99%がイスラム教徒。
イスラム教では飲酒はご法度なのではと疑問がわいてきますが、
確かに、過去オスマン帝国時代にはワインをはじめとするお酒全般を、
イスラム教徒が造ることを禁じていました。
20世紀になってトルコ共和国になり、大々的にワインが造られるようになりました。
トルコは、ブドウ栽培に適した環境に恵まれており、
ブドウの栽培はワイン造りが禁止されていた時期にも、
食用として栽培が続けられ、固有品種のブドウも絶えることなく、
現在も世界的に有数なブドウの栽培地として広大な栽培面積を誇っています。
トルコワインの特徴
トルコワインの年間生産量は、3000万リットルで、世界第24位。
ブドウの栽培量は世界第4位とかなりの栽培量で、主に食用として栽培されており、
ワイン用の栽培面積は全体の3%程度です。
生産されたワインの4分の1は蒸留して「ラク」というお酒になります。
トルコワインは、カベルネソーヴィニヨンやメルロといった
国際品種のブドウからも造られていますが、
トルコの固有品種も多く、エキゾチックなテイストのワインが造られています。
産地・ブドウ品種
■産地
トルコのおもな産地は、温暖な海洋性気候のトラキアとマルマラで、
この両産地でトルコワインの約5分の2を生産しています。
また、エーゲ海岸のイズミル周辺で、残りの5分の1が生産され、
そのほか中央アナトリアの高地でも多くはありませんがワインが造られています。
■ブドウ品種
トルコの代表的な固有品種をご紹介します。
・オクズギョズ
アナトリア最古とされるブドウ品種。
芳醇な深いコクのある味わいでメルロを思わせる優しい味わいのワインになります。
・ボアズゲレ
しっかりとしたタンニンがあり、単一品種では重みと渋みのあるワインになるため、
オクズギョズとブレンドされることが多いです。
・カレジックカラス
フレッシュでエレガントなアロマが感じられ、
果実味と軽めのタンニンのバランスがとれた上質なワインになります。
・エミル
カッパドキア地方の火山性の土壌で栽培されるブドウ品種で、
やさしい甘みのある爽やかな果実のアロマで、きれいな酸を感じられ、
フレッシュで飲みやすいのが特徴です。
おすすめワイン
カヴァクリデレ ブリュット
カヴァクリデレ ワイナリーは、1929年カヴァクリデレの地に、
トルコで初めてワイナリーを設立し、国内を代表するワインメーカーとして
世界中にトルコワインの魅力を発信しており、
国内外のワインコンテストで500以上のメダルを獲得しています。
このワインは、カッパドキアのエミル種を使用したスパークリングワインで、
ミネラル豊富な火山性土壌由来のスモーキーでコクある香りが楽しめます。
細かく豊かな泡立ちに、コクのある香りが特徴的で、
フレッシュな洋梨、ヨーグルト、乳酸のニュアンスが感じられ、
溌剌とした酸味とフレッシュで爽やかな口当たりに、
クリーミーな泡と柔らかいブドウの果実味が心地よく広がり、
ゆっくりと余韻も楽しめます。