ブドウの栽培に適しているワインベルトとは

ブドウの栽培に適しているワインベルトとは
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ブドウの栽培に適しているワインベルトとは

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ワインベルトとは

ワインベルトという言葉を聞いたことはありますか?
その他にもコーヒーベルトやバナナベルトなんて言葉があるんですが、
このワインベルトという言葉、
世界のワイン産地の北緯と南緯を表しているんです。
そこで、本日はワインベルトについてお話します。

ワインベルトとは

ワインの産地というと、一番はじめに思い浮かべる国はどこですか?
フランスやイタリアあたりを思い浮かべる方が多いでしょうか。
実際、この2か国が年間のワイン生産量のつねにトップに君臨しているワイン大国ですが、
その他にスペイン、ドイツ、オーストリア、ギリシャ、オランダ、ポルトガル、
ブルガリアなどのオールドワールドと呼ばれるヨーロッパ諸国の産地がありますよね。
このヨーロッパのワイン産地に、ロシアや中東、カナダ、アメリカ、
中国、そして日本などを入れたのが、北半球のワインベルトなんです。
一方、チリ、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなどの
南半球のおもなワイン産地が南半球のワインベルトです。
それぞれ、北半球は北緯30~50度、南半球は南緯20~40度に位置しており、
この緯度帯をワインベルトと呼んでいます。

ブドウの栽培が適している条件について

なぜ北緯30~50度、南緯20~40度にワイン産地が集中しているのかというと、
それは、ブドウ栽培に適した気候がこの範囲だからなんです。
ブドウ栽培に適した気候条件としては、年間の平均気温が10~20度で、
ブドウの栽培において発芽から成熟に必要な日照時間が1000~1500時間、
年間降雨量が500~900ミリという条件を満たしている場所が
ブドウ栽培において適した環境となっています。
それが、ちょうどこのワインベルトの緯度帯に集中しているというわけなんです。

ワインベルトは変化している?

しかしながら、このワインベルト少しずつ変化しはじめています。
それは、地球温暖化などの気候変動によるもの。
以前、このソムリエ手帳でもお話したことがありましたが、
かつては、ワインを造るのに北限と言われていたのがドイツでしたが、
現在、イギリスの南部ではスパークリングワインの生産が活発におこなわれています。
しかも、イギリスの南部はフランスのシャンパーニュ地方のテロワールに似ており、
シャンパンに似た上質なスパークリングワインが造られ、
世界でも高い評価を得ているんです。
また、イギリスだけでなく、北欧のスウェーデンでもワイン造りがおこなわれています。
北欧というと、短い夏に寒く長い冬を思い浮かべますが、
スウェーデンの気温は、この150年ほどで世界の平均気温の倍の速度で上昇しており、
冬の平均気温は2度近く上がっているとのことなんです。
スウェーデンのワインの生産量はまだごく少量ですが、
1990年代の終わり頃から徐々に成長しはじめ、醸造技術の発展により、
近年、新しいワイン産地として注目を集めています。
その他、タイ、ベトナム、インドなども新しいワイン産地として世界が注目しています。
どこもブドウ栽培には暑すぎるイメージですよね。
実際、タイの首都・バンコクの緯度は約北緯13.7度で、
ブドウの最適な栽培緯度である、北緯30度~50度のワインベルトからは
かなり外れた位置にあります。
バンコクの平均気温は29℃で、湿度も70%前後の熱帯性気候。
しかし、タイの雨季が5月~10月のみで、
それ以外の月はほとんど雨が降らず、豊富な日照量があるため、
果実味が凝縮したブドウが育つんです。
タイでワイン造りがスタートしたのが1998年。
現在、タイでは年間1000トンのブドウが収穫され、
80万本のワインが生産されています。
こうした、ワインベルトから外れていた地域を
新緯度帯ワイン(New Latitude Wine)と呼び、
新しいワインの産地として世界から注目が集まっています。
ワインベルトも、気候変動やブドウ栽培の技術、醸造技術の向上により、
少しずつ変化していくかもしれませんね。

ワイン選ぶときの参考になる北と南の違い

北半球と南半球に存在するワインベルト。
どちらもブドウ栽培に適した気候があり、ワインを生産するのに適した
地域が集中していることがお分かりいただけたと思います。
そこで、北と南ではどんな違いがあるのか、特徴を少しご紹介したいと思います。
北緯30度~50度のワインベルトに位置するワインの産地は、
比較的冷涼な気候を生かしたすっきりとした飲み口のワインが多く造られています。
とくに、赤道から離れるほどに、平均気温も低くなるため、
冷涼な気候に適したブドウ品種が栽培されており、
しっかりとした酸を持つ味わいの辛口ワインが多く造られています。
一方、南緯20~40度のワインベルトに位置するワインの産地は、
比較的温暖な気候を生かしたブドウの果実味が溢れるフルーティーな味わいのワインが多く
赤道に近づくにつれ、アルコール度数が高く、
酸は弱めのしっかりとした果実味のフルボディタイプのワインが造られています。
もちろん、産地によっても標高の高さや多少の気候の違いにより、
必ずしも当てはまるとは言えませんが、
大きく分けると北と南のワインでは、このような違いが多くみられます。

ブドウ栽培に適した気候

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