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ドイツをはじめとする中央ヨーロッパの寒冷地で栽培されているブドウ品種シルヴァーナー。
日本ではなじみがうすい品種なので、
知っているという方も少ないかもしれませんが、
すっきりとしたさわやかな酸のおいしい白ワインを生み出します。
そこで本日は、シルヴァーナーについてお話します。
シルヴァーナーの歴史
シルヴァーナーは中央ヨーロッパのトランシルヴァニアで古くから栽培されてきたブドウ品種で、
17世紀、オーストリアからドイツのフランケン地方に入ってきたと考えられています。
第二次世界大戦後は、フランスアルザスにも植えられ、
1970年代ミュラートゥルガウに抜かれるまでは、
ドイツで最も栽培されていたブドウ品種でした。
現在、ドイツでは5位の栽培面積にあたるブドウ品種ですが、
フランケン地方やラインヘッセン地方でさかんに栽培されています。
シルヴァーナーの主な生産地域
シルヴァーナーのおもな産地は、ドイツ、フランスで、
その他、オーストリア、クロアチア、ルーマニア、
スイス、スロバキア、アメリカでも栽培されています。
ドイツでは1960年代に最盛期を迎えましたが、
現在でもミュラートゥルガウやリースリングの次に主要な白ブドウ品種として、
フランケン地方、ラインヘッセン地方で栽培されています。
フランケン地方で造られるシルヴァーナーは、
寒暖の差が激しい大陸性気候のミネラル豊富な石灰岩土壌から、
しっかりとした骨格をもつミネラル感豊富な味わいのワインが生み出されています。
また、ボトルにも特徴があり、ずんぐりと丸みを帯び独特な形状の
ボックスボイテルと呼ばれるボトルにつめられます。
ラインヘッセンのシルヴァーナーからは、
洋ナシのようなフルーティーさと、野菜の青々としたフレッシュさのある
穏やかな酸のあるワインが造られています。
フランスでは、ドイツのファルツ地方とバーデン地方と接する
アルザス地方でシルヴァーナーのワインが造られており、
この地域では、シルヴァネール(sylvaner)と呼ばれています。
アルザスでは、高貴品種であるリースリングやゲヴュルツトラミネールといった
ブドウ品種は単一品種でワインが造られていますが、
シルヴァネールは、ブレンドに用いられることが多く、
ドイツのシルヴァーナーよりしっかりとした骨格を持った
比較的パワフルな味わいのワインが造られています。
またアルザスで、唯一シルヴァネールがグラン・クリュに認められたゾッツェンベルグ
という畑から造られるシルヴァネールのワインは、
泥灰質の重い土壌から生まれる重厚感のある果実味とパワフルな味わいが特徴です。
シルヴァーナーの特徴
房は小さく円筒形で、中程度の緑の果粒です。
比較的収量は多い品種ですが、病気に弱く、
春先の霜害や冬の寒波に弱いため、条件の合う畑や気候ではないと育てにくい品種です。
シルヴァーナーから造られるワインの特徴
シルヴァーナーは、土壌の影響が大きく味わいに反映するため、
石灰質のミネラル豊富な土壌では、しっかりとした硬質なミネラル感を感じられる
ワインに仕上がり、質の良いものは腰のある粘り強い味わいで、
心地よい酸とほろ苦さを感じられます。
反対に、特徴の弱い土壌では、香りも薄く、味わいも個性が出にくく、
さっぱりとした味わいのワインになるため、
デイリーワインとして使用されやすい品種でもあります。
基本的な香りは、青りんごや洋ナシ、柑橘などのさわやかな果実香に、
ハーブなどの清涼感ある香りが加わり、
キリっとした酸味の、さわやかで飲みやすい軽快な白ワインになります。
サラダなどのさっぱりとした前菜にも合いますが、
ハーブを使った白身魚やチキンやポークなどグリルとも相性が良く、
上質なシルヴァーナーのワインは、とくに肉料理と合わせるのがおすすめです。