この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。
若くして未亡人となり、27歳の若さでシャンパンメゾンのオーナーとなったマダム・クリコ。
彼女が造り出すシャンパンは、英国王室をはじめ、
多くの著名人も虜にするシャンパンとなり、
創業から200年以上たつ今でも世界で愛され続けています。
本日は、老舗のシャンパンメゾン、ヴーヴクリコについてお話します。
ヴーヴクリコとは
1772年の創業以来、かわることなく高品質なシャンパンを造り続ける
歴史あるシャンパンメゾンのヴーヴ・クリコ。
創業者のフィリップ・クリコは、銀行業と織物業を営む家に生まれ、
銀行業を退いたのち、家名を冠したシャンパンメゾンを設立します。
1798年、息子のフランソワが結婚し若き夫婦がビジネスに加わりますが、
1805年にフランソワはあまりに早すぎる死を遂げ、
遺されたクリコ夫人は27歳で家業を継ぐことを決意し、
近代における初の女性実業家の1人となりました。
その後、ブランド名を「ヴーヴ・クリコ(クリコ未亡人)」とし、
1810年、マダム・クリコはシャンパーニュ地方ではじめての
ヴィンテージシャンパーニュの醸造に成功し、
1816年、マダム・クリコは、現在でもシャンパンをの製法で用いられている
動瓶(ルミアージュ)台を発明します。
ヴーヴ・クリコは、外国への輸出も成功させ、
英国王室御用達となり世界有数のシャンパンブランドとして確固たる地位を築きました。
ヴーヴクリコの特徴
ヴーヴクリコのシャンパンの特徴は、
「品質はただひとつ、最高級だけ」のモットーを忠実に引き継ぎ、
初回の圧搾から得られる極上の一番搾りのキュヴェを使用し、
卓越性と品質を守り続け、この品質へのこだわりは、
200年以上の歳月の中で、わずか10人のセラーマスターによって維持されてきました。
彼らは、ヴーヴクリコのスタイルである力強さと複雑さと繊細さのバランスを
見事に表現した味わいを追求しています。
ヴーヴクリコの畑は、シャンパーニュ地方に390ヘクタールという
広大な畑を所有しており、グラン・クリュはシャンパーニュ地方全部で17か所あるうち、
12ヶ所を所有し、プルミエ・クリュは、44ヶ所のうちの20ヶ所を所有しています。
作付比率は、シャルドネが47%、ピノノワールが36%、ピノムニエが17%で構成され、
その多くが緩やかな傾斜の丘の上部にあり、年間して冷涼な気候の白亜質の土壌で育つ
ブドウからは、ミネラル感豊富な味わいの上質なワインが生み出されます。
ヴーヴクリコの種類
イエローラベル
ヴーヴクリコのシンボル的なシャンパンで、
力強さとフィネスとの間の完璧なバランスを持ち、
ピノノワールがもつ複雑な味わいがしっかりと反映されています。
伝統的に、ブドウの割合は、ピノ・ノワールが50~55%、ムニエが15~20%、
シャルドネが28~33%で、気候条件により、ヴィンテージによって異なります。
グラン・クリュ、プルミエ・クリュを主体に50~60種のさまざまなブドウが
このイエローラベルのブレンドに使われています。
辛口ながらフレッシュな果実味と香ばしいブリオシュのような甘いアロマも感じられ、
ピノ・ノワールのしっかりとした骨格と、シャルドネの優雅な上品さが爽やかで
繊細なフレッシュさを味わえる1本です。
ローズラベル
1818年がファーストヴィンテージがリリースされて以来、
200年以上の歴史を持つロゼ・シャンパンです。
グラン・クリュ、プルミエ・クリュを主体に50~60種のさまざまなブドウと、
30〜45%のリザーブワインを使用して造られるキュヴェは、
イエローラベル ブリュットをベースに、12%の赤ワインでブレンドしています。
オレンジがほどよく入ったサーモンピンクの美しい色調で、
イチゴなどの熟した野生のベリーの豊かなアロマがみずみずしく感じられ、
フレッシュな味わいながらフルボディでしっかりとしたストラクチャーが感じられる、
余韻の長いシャンパンです。
ホワイトラベル
ピノ・ノワールを主体に、ピノ・ムニエを多めにブレンドし、
少量のシャルドネを加えることで、芳醇でコクのあるボディがありながら、
爽やかさと繊細さも合わせもったやや甘口のシャンパンです。
完熟した果実味の透明感のある自然な甘さが感じられ、
ほのかに柑橘のさわやかな風味と柔らかくシルキーな甘味があり、
食事に合わせるのはもちろん、デザートとのペアリングで
より優雅なシャンパンタイムが楽しめます。
この他、ドサージュ率の高い甘口のヴーヴ・クリコリッチや、
赤ワインを15%ブレンドした甘口のロゼシャンパンのヴーヴ・クリコリッチ・ロゼ
などがあります。
お祝い事やプレゼントにも最適
シャンパンは結婚式や誕生日会などお祝い事の乾杯やプレゼントとして贈られますよね。
じつは、それには意味があり、グラスに注がれたシャンパンに耳を傾けると、
泡のパチパチという音が聞こえてきます。
この音を「天使の拍手」と言っていて、祝福の音とも言われているんです。
また、通常ワインでの乾杯はグラスとグラスをぶつけないようにするのがマナーとされていますが、
おめでたい時は割れない程度にグラスを合わせ、チーンと鳴らすことで、
悪魔・邪気はグラスがぶつかるときに出る音を嫌うと言われているので
この音を出す乾杯は一種の「魔除け」とも言われています。
そのため、シャンパンはお祝い事にピッタリな飲み物なんです。
ヴーヴクリコが提唱するシャンパンの飲み方は、
「五感すべてで味わう」という通常のシャンパンの飲み方とは少し異なるもので、
まずはシャンパンの泡の音に耳を傾け聴覚で楽しみ、
次にきめ細やかな美しい泡や色合いを視覚で楽しみます。
そして、口に含むことで弾ける泡を触覚で楽しみ、
変化していくアロマを嗅覚で楽しみながら、
酸味、甘味などの味わいを味覚で楽しみます。
この五感全てで楽しむシャンパンは、まさにお祝い事にピッタリのシャンパンです。
ご紹介したヴーヴクリコのワイン
ヴーヴ・クリコ・ヴィンテージ
ヴィンテージは、特徴的で力強く、一回の収獲から独特の味を表現したもので、
メゾンのスタイルに忠実であり、際立った品質のものに対して選ばれます。
また例外的な品質と他とは違ったポテンシャルのあるヴィンテージは、
何十年にもわたりランスにあるヴーヴ・クリコのカーヴで慎重に保管され、
カーヴ・プリヴェとなります。