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ブルゴーニュ地方の中でも南に位置するコート・シャロネーズ地区。
5つあるコート・シャロネーズ地区のA.O.C.中でも上質として知られている
白ワインの名産地リュリー。
本日はリュリーのワインについてお話します。
リュリーとは
リュリーとはフランス・ブルゴーニュ地方のコート・シャロネーズ地区にある
リュリー村とシャニー村にまたがったワイン産地で、
コート・シャロネーズ地区のA.O.C.の中でも上質なワイン産地として知られており、
1939年に村名A.O.C.とプルミエ・クリュA.O.C.の認定を受けました。
この産地は、2つの村にまたがっていますが、
23あるプルミエ・クリュのうち21がリュリー村で、
残り2つがシャニー村と、ほとんどの畑がリュリー村にあります。
プルミエ・クリュは、リュリー村の西側とシャニー村の一部に広がっており、
ブドウ畑は標高230~300メートルに位置し、
他のブルゴーニュの産地と同じように、夏は暑く冬は寒い典型的な大陸性気候の影響を受け、
気温差が激しく、収穫期にも天候が変わりやすいため、
ヴィンテージによりワインの味わいが大きく左右されます。
リュリーの栽培面積は約320haで、年間200万ボトルの生産量があり、
そのうち3/2は白ワインで、3/1が赤ワインの生産です。
また、リュリーのワイン造りの歴史は古く、
ルビリウスというローマ人がこのリュリーの地に別荘を建てたのが始まりとされ、
リュリーの名前もこのローマ人の名前からとられたとされています。
その後、ディジョンのサン・ベニーヌ修道院や、ヴェルジェ家、
ブルゴーニュ公などの有力者がリューリーの畑を所有してきました。
19世紀の初めにブルゴーニュ地方で最初にスパークリングワインを造ったのも、
ここリュリーで、A.O.C.クレマン・ド・ブルゴーニュの誕生の地でもあります。
リュリーで栽培しているブドウ品種
リュリーで栽培しているブドウは、赤ワイン用品種はピノ・ノワール、
白ワイン用品種はシャルドネで、赤と白が1:2の比率で造られています。
粘土質の少ないカルシウムが豊富な土壌にピノ・ノワールが植えられ、
粘土質の石灰質土壌にシャルドネが植えられています。
リュリーで造られるの特徴
リュリーは赤ワイン、白ワインともに造られていますが、
白ワインがとくに有名な産地で、繊細ですっきりした味わいのものが多く、
色調は緑を帯びたゴールドで、レモンなどの柑橘に白桃のフルーティーなアロマ、
アカシア、サンザシ、ニワトコなどの花のアロマ、
ほんのりと火打石を擦ったときのようなミネラル香があり、
熟成するごとに、カリンやドライフルーツにハチミツの芳醇なアロマが現れ、
口に含むとフルーティーでまろやかでオイリーな余韻の長い味わいのワインになります。
赤ワインは、あざやかなルビー色から濃いガーネット色まであり、
カシスやブラックベリーなどの黒系果実に、チェリーなどの赤系果実と、
バラなどのフローラルなアロマと胡椒などのスパイス香があり、
口に含むとフルーティでしっかりとしたストラクチャーが感じられ、
若いうちはほどよいタンニンと酸が感じられますが、
熟成するごとになめらかさが増していき、心地よい余韻を感じれられるワインになります。
おすすめのリュリーワイン
リュリー・ブラン フィリップ・パカレ
ブルゴーニュワインの自然派生産者と言ったら、必ず名前が挙がるフィルップ・パカレ。
ボジョレーに代々続く栽培・醸造家の家系に生まれ、
ブルゴーニュ・ディジョン大学で醸造学を学び、
卒業後、ビオロジック農法団体「ナチュール・プログレ」で2年間従事したのち、
ローヌ地方シャトーヌフ・デュ・パフの第一人者である「ドメーヌ・シャトー・ラヤス」、
そしてブルゴーニュの名門ドメーヌ「ルロワ」で修業を積み、
D.R.C.の社長が共同経営を務める「ドメーヌ・プリューレ・ロック」の
醸造及び販売責任者を務めるなど、数多くの名門生産者での修業を積んできました。
そんな当主であるパカレ氏が2001年に独立し、
自らのドメーヌを立ち上げたフィリップ・パカレ。
自社畑をほとんど所有していませんが、自らブドウ農家のもとへ出向き、
理想とするブドウのみを選別しワイン造りを行います。
そのワインに対する真摯な熱意と。その年その土地のブドウの質を見極め、
テロワールの個性を生かしたパカレ氏のワインは、
あっという間に世界中が注目するワインとなりました。
そんなフィリップ・パカレが手掛けるこのリュリーの白ワインは、
グレーを帯びた薄い黄金色の色調で、
白い花や、レモンなどの柑橘などの香りに、
焼きたてのクロワッサンや蜂蜜を思わせるニュアンスがあり、
しっかりとしたコクとキレのある酸に、芳醇な果実味と複雑味、
凝縮感のある味わいのワインです。