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ジゴンダスのワインはご存じですか?
ジゴンダスという響きから、フランスのワイン産地というイメージがわきにくいですが、
フランスを代表する歴史あるアペラシオンの一つ、
シャトー・ヌフ・デュ・パプから東へわずか20kmほどの、
フランス南東部ローヌ地方のワイン産地なんです。
そこで、本日はジゴンダスのワインについてお話します。
ジゴンダスについて
フランス南東部のヴォクリューズ県にあるワイン産ジゴンダス。
名前の響きとは裏腹に、ローヌ南部の渓谷の小さな宝石と形容されるほど街並みは美しく、
渓谷にそって立ち並ぶ建物はまるで絵画のような美しさで、プロヴァンスの隠れた名所となっています。
そんなジゴンダスでワイン造りが始まったのは、約2000年前。
古代ローマ時代に、ローマ軍がブドウ畑を設立したことがきっかけとなり、
ワイン造りが始まりとされ、その片鱗はシャトー・ド・サン・コムで見ることができます。
2000年と長い歴史のあるジゴンダスのワイン造りも19世紀末フィロキセラの影響により、
ほとんどのブドウ園が失われ、ブドウ畑は安定した収入が得られるオリーブ畑に変わりました。
しかしながら、1929年と1956年の壊滅的な霜が襲い、再びブドウが植栽されることになりました。
しばらくは、ジゴンダスのワインは広域AOC・コート・デュ・ローヌに属していましたが、
1966年にコートデュローヌ・ヴィラージュに格上げされ、
1971年にジゴンダス村単独のAOCとして赤ワインとロゼワインが認定されました。
ジゴンダスのテロワールについて
ジゴンダスのブドウ畑は、何百万年も前に海から押し上げられた石灰岩の尾根をもつ
ダンテル・ド・モンミラールの西側丘陵部から麓の平野部に広がり、
標高は高いところで600mほどの高地にあります。
砂利質と赤粘土質の土壌や、青粘土質の土壌など場所によって特徴が異なるパッチワーク状の土壌で、
一部は石灰岩が多く含まれる水はけのよいガリックもあり、
日当たりの良い斜面の畑では、より凝縮感のあるブドウが栽培されています。
地中海性気候で雨が少なく、豊富な日照量がありますが、
ダンテル・ド・モンミラールにより、早朝に多くのブドウ園は山影に隠れ、
北風のミストラルに加えて、尾根から降り注ぐ涼しいそよ風があり、
日中との温暖差で凝縮感のあるブドウが育ちます。
この微気候により、シャトー・ヌフ・デュ・パプよりも数週間遅れてブドウが熟します。
ジゴンダスで栽培されるブドウ品種
赤ワイン用の品種としてグルナッシュ、シラー、ムールヴェードルがおもに栽培され、
白ワイン用の品種は、クラレット、ピクプール、マルサンヌ、ヴィオニエ、ブールブランなどが栽培されています。
ジゴンダスワインの種類
ジゴンダスの総表面積は約1,200ヘクタールで、シャトー・ヌフ・デュ・パプの3分の1強です。
生産量のほとんどが赤ワインを占めており、ロゼワインは全体の1%ほど。
アッサンブラージュの割合は、グルナッシュは80%まで、シラーとムールヴェードルが15%以上、
その他、コート・デュ・ローヌ産の品種(カリニャンを除く)を10%まで用いることができます。
ジゴンダスワインの特徴
ジゴンダスの赤ワインの特徴は、グルナッシュによる力強い濃厚な味わいです。
パワフルでありながらシルクのような滑らかなタンニンも感じられ、
チェリーやすぐりなどの赤系果実のアロマに、ブラックベリーやブルーベリーなどの黒系果実も感じられ、
清涼感のあるハーブや、キルシュやなめし革といった複雑なアロマが加わります。
フィニッシュまで続く長い余韻が楽しめるワインが多く、
アルコール度数が平均して12.5%程のフランスワインの中で、
ジゴンダスは平均14%ほどとアルコール度数が高いのも特徴です。
ジゴンダスは香り高く、豊富なタンニンと濃厚で凝縮感のある果実味のある赤ワインは、
ボリュームのある肉料理と相性が抜群です。