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台湾のワイン市場は現在急成長を続けており、
台湾のワイン消費量も年々順調に増加し、
2021年には2500万リットルを超えると予測されるほど国内の消費が上がる台湾。
それに伴いワインの生産も増加傾向にあり、
年々品質が向上し、国際的なワインコンクールでも高い評価を受けるまでになりました。
本日はそんな台湾のワインについてお話します。
台湾について
台湾は中国大陸から東に180㎞の南西諸島の間に位置する台湾島を中心とした地域で、
36,000平方㎞と九州よりやや小さい国土に人口およそ2300万人が住んでいます。
台湾島は白亜紀から暁新世にかけて形成され、その中央部に海岸山脈、雪山山脈、中央山脈、
玉山山脈、阿里山山脈と5つの山脈があり、
台湾は標高3,000mを越える高山も数多く存在しています。
台湾の緯度は北緯22度から25度に位置し、ワインベルトの北緯30度から50度から
ずれた位置にあり、冬の最高気温は20℃以上あり雨も多いため、
ワイン産地としてはあまりイメージが浮かびにくいですが、
60年ほど前からワイン造りが始まりました。
台湾ワインの歴史
台湾でワイン造りがはじまったのは、今から60年ほど前と、
ニューワールドの中でも新しいワイン産地です。
台湾は高温多湿のため、国際品種であるヨーロッパの品種の栽培は難しかったため、
1953年に日本人が交配したブドウのブラッククイーンを導入し、
1957年にはアメリカから病虫害に強いゴールデンマスカット種を導入して、
台中、彰化一帯で試験栽培を始めました。
台湾で最初にできたワイナリーである「樹生ワイナリー(樹生休閒酒莊)」は、
収穫したブドウは専売局(現在は台湾酒タバコ会社に民営化)に売却し、
そのブドウがブランデーや赤ワインに醸造されていました。
しかし、1996年に専売制度が廃止されため酒造用のブドウの購入が停止され、
ブドウ園の1000本余りのブドウを伐採することになり、
畑のほとんどはミカン畑に変わりました。
愛着のあった30本ほどのブドウ樹を残し、
その木を使って細々とワイン醸造は行っていました。
そして1999年の台湾大地震の後、台中県と后里農協は農家の果実酒醸造による産業振興に動き出し、
その時、新たな「樹生ワイナリー」が設立されます。
当時、農業委員会は各地のワイナリーの人を集めて樹生ワイナリーで講習会を開き、
酒造の先生を招いて5000キロの原料ブドウを用意しましたが、
経験がなかったため、出来上がったワインは渋く、とても飲めるものではありませんでした。
そこから試行錯誤が始まり、凍った状態で収穫された完熟ブドウから醸造される
甘口のアイスワインを知り、ゴールデンマスカットを冷凍庫で1ヶ月以上置いて水分を抜き、
こうして凍結させて糖度が大幅にアップしたブドウを使って造られたアイスワインが大成功をおさめます。
今では世界で評価されるワインを生み出すほどのワイナリーとなりました。
国際コンクールで近年高い評価を受けている台湾ワインとは
樹生ワイナリーが造るゴールデンマスカットを使用した世界的に人気のワイン「埔桃酒」は、
国際的品評会で金賞を6回、銀賞を7回受賞したことがあり、
フランスのミシュランレストランが認めた台湾最初のワインとしても有名です。