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スパークリングワイン好きの方なら「瓶内二次発酵方式」や「シャンパーニュ方式」
という言葉をよく耳にすることがあるのではないでしょうか?
スパークリングワインを造る上でもっとも手間と時間がかかるこの製法。
聞いたことはあるけど、実際どんな製法なのかわからないという方もいらっしゃいますよね。
そこで、本日はシャンパンを生み出す瓶内二次発酵についてお話します。
瓶内二次発酵とは
まず、瓶内二次発酵の説明の前に、シャンパンをはじめとする
スパークリングワインの製法には大きく分けて3種類あります。
1つ目は、シャルマ方式と言われ、密閉耐圧タンクで発酵させる方法です
2つ目は、ワインに二酸化炭素を加えるもので、比較的リーズナブルな
スパークリングワインはこの方法で造られるものが多いです。
そして3つ目は、シャンパーニュ方式とも呼ばれるもので、
糖分と酵母を加えて、瓶内でゆっくりと時間をかけて発酵し、
熟成させることで、きめの細かい泡となります。
シャンパンの醸造法は途中まで白ワインと同じで、
「瓶内二次発酵」という特殊な工程を加えることで泡を発生させます。
スパークリングワインを造る上でもっとも手間がかかる方式であり、
昔ながらの製法のため別名「トラディショナル方式」とも言われています。
瓶内二次発酵における規定
シャンパーニュ方式にはさまざまな規定があり、
ブドウの出来が良いヴィンテージと、ブドウの出来がそれほど良くないノンヴィンテージで、
瓶の中で熟成させる最低期間が異なります。
ノンヴィンテージの場合、最低でも15か月上は熟成しなければいけないと法律で義務付けられており、
ヴィンテージシャンパーニュと呼ばれるものになると、
36か月以上熟成されてからでないと市場に出回りません。
もちろん、これが最低期間ですので、ポテンシャルの高いワインは10年、20年と熟成してからリリースされます。
瓶内二次発酵の工程
さて、ここからは瓶内二次発酵とはどういう工程なのか説明していきましょう。
二次という言葉からも分かるように、瓶内で二次発酵する前に一次発酵が存在します。
瓶内二次発酵のスパークリングワインの醸造方法は、白ワインの工程と途中まで一緒で、
ブドウの果房から果粒を外し、ワインに必要のない果梗(枝の部分)を取り除き、
種がつぶれない程度に破砕して果汁にします。
その果汁に酵母を加えることで、酵母がブドウの糖分をアルコールと微量の炭酸ガス(二酸化炭素)に変え、
ブドウ果汁がワインになります。
このことをアルコール発酵(一次発酵)と言います。
でも、この段階では炭酸ガスは空気中に発散されるので、泡の無いワイン(スティルワイン)が出来上がります。
その後、瓶の中に一次発酵を終えたスティルワインを入れ、
糖分と酵母を再び入れて瓶の蓋を閉めて二次発酵を促します。
瓶の中で発生した炭酸ガスがワインの中に溶け込み、
スパークリングワインの泡ができます。これが瓶内二次発酵です。
瓶の中で発酵を終えた酵母は、澱となり瓶底に溜まります。
熟成期間中、最初は横に寝かせて保管し、少しずつ瓶を回しながら
発酵で生まれた澱を瓶の仮栓のところへ集めます。
瓶の口を冷却し仮栓を外すと気圧により凍った澱が自然と飛び出ます。
最後にワインの原液と糖分を混ぜた門出のリキュールを補充し完成します。
瓶内二次発酵の代表銘柄
シャンパンをはじめとする瓶内二次発酵のスパークリングワインは、
世界のさまざまなワイン産地で造られています。
その代表的なものをいくつかご紹介しましょう。
フランスでは、シャンパーニュ(Champagne)以外に、
クレマン(Cremant)と呼ばれる、瓶内二次発酵方式のスパークリングワインがあり、
クレマンを名乗れる産地は8つあります。
アルザス地方の「クレマン・ダルザス」、ブルゴーニュ地方の「クレマン・ド・ブルゴーニュ」、
ロワール地方の「クレマン・ド・ロワール」、ボルドー地方の「クレマン・ド・ボルドー」、
ジュラ地方の「クレマン・デュ・ジュラ」、ローヌ地方の「クレマン・ド・ディー」
ラングドック・ルーション地方の「クレマン・ド・リムー」
そして2015年にA.O.C.認定されたサヴォワ地方の「クレマン・ド・サヴォワ」です。
瓶内二次発酵で造られたワインは「Méthode traditionnelle」「Metodo Classico」
「Traditional Method」などの表記がラベルに記載されています。
北イタリア・ロンバルディア州で造られるフランチャコルタ(Franciacorta)は、
瓶内二次発酵方式のみで造られるイタリア・ワインとして、
初めてDOCG認定を受けたワインです。
現在約120軒のワイナリーがフランチャコルタを生産しています。
フランチャコルタの法定熟成期間は最低18ヶ月は二次発酵後の瓶内で熟成する必要があり、
ロゼ、サテンは24ヶ月、収穫年入りのミッレジマートは30ヶ月、
リゼルヴァになると60ヶ月とフランスのシャンパンを上回る厳しい規定が科せられています。
スペインのカヴァ(Cava)は、イタリアのプロセッコ、フランスのシャンパンと並ぶ、
世界3大スパークリングワインの1つで、
世界で3番目の販売本数を誇り、年間約2億4,000万本が販売されています。
ノンヴィンテージの最もスタンダードなカヴァでも最低9ヶ月の瓶内熟成が必要で、
カヴァ・デ・パラヘ・カリフィカードは、厳しい規定をクリアした12の畑だけが、
パラヘ・カリフィカードを名乗ることを認められ、この単一畑で造られたブリュットで36ヶ月以上瓶内熟成します。