白ワイン作りにおける特殊な製法の1つバトナージュとは

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白ワイン作りにおける特殊な製法の1つバトナージュとは

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バトナージュとは?

ブルゴーニュ地方では、白ワインの醸造工程で
ほとんどの生産者が行っているバトナージュ。
この工程により、ワインに複雑味とまろやかさが加わると言われています。
そこで、本日はバトナージュについてお話します。 

バトナージュとは

バトナージュは、フランス語で「Bâtonnage」と表記し、
白ワインの醸造工程の中で、発酵用に添加した酵母が役目を終えて
澱(おり)となってタンクの底に沈んでいきます。
その澱を、バトン(Baton)を用いて、熟成期間中にワインと一緒に攪拌することを
バトナージュと言います。
平たく言えば、バトンでタンクの中のワインと澱をかき混ぜる作業のことをいいます。
アルコール発酵終了直後の数週間は週に2回程度おこない、
その後は週に1回程度と、ワインの状況に応じてバトナージュの頻度を変えていきます。

バトナージュをおこなう目的

バトナージュをおこなう目的は、
発酵を終えた澱が自己分解して、アミノ酸や多糖類などに変わり、
混ぜ合わせることでワインに旨みが溶け込むことができます。
以前、フランス・ロワール地方のミュスカデや山梨県の甲州の醸造で用いられる
「シュール・リー」という製法をお話しましたが、
このシュール・リーも、発酵が終わったあと一般的な醸造では、
上澄みを他へ移し、底の澱は取り除く澱引きという作業をおこなうのですが、
シュール・リー製法の場合は澱引きをせず
そのまま春までおいておくという醸造方法でした。
まさに、バトナージュも同じく、この澱に含まれるアミノ酸や多糖類を
ワインに溶け込ませることで、ワインの複雑味をださせることを目的にしていますが、
そのまま置いておくシュール・リーに比べ、バトナージュはかき混ぜることにより
さらにワインに積極的に働きかける形になります。
そのため、バトナージュが行われたワインは、シュール・リー製法のワインよりも
よりふくよかな味わいになる傾向にあります。
また、バトナージュをおこなうことにより還元を防ぐという大事な目的もあります。
澱は酸素を吸収するため、攪拌せずに残しておくと、
硫化水素やメルカプタンなどの還元や望ましくない還元性化合物の形成のリスクがあり、
これらはワインの香りに影響を与える化合物となります。
シュール・リーの熟成中にも、ワインの還元反応が強くなった場合には
ワインを空気に触れさせる必要があり、バトナージュをおこなったり、
一旦澱引きをして、澱をワインの中に再混入する方法などがあります。

バトナージュによる味の違い

バトナージュをおこなうことで、ワインの香りと味に複雑さと厚みを持たせ、
クリーミーな口当たりのしっかりとしたボディのあるワインにすることができます。
しかしながら、バトナージュをやり過ぎると酸化しやすくなるというリスクもあるため、
撹拌の頻度と回数がとても重要です。

バトナージュの目的は?

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