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ルネサンス期の美しい古城が立ち並ぶ風光明媚な観光地でも知られるロワール地方。
ロワール川の中流域にあるトゥーレーヌ地区の小さなワイン産地のヴーヴレでは、
ほんのりとした甘さとフレッシュで美しい酸のある、
とても飲みやすい白ワインが多く造られています。
そこで、本日はロワール地方ヴーヴレのワインについてお話します。
ヴーヴレについて
ヴーヴレは、フランスのほぼ中央に位置するロワール県の、
ロワール川の中流域にあるトゥーレーヌ地区の一部で、
人口3000人ほどの小さなコミューンのワイン産地です。
ここでは、シュナンブラン100%の白ワイン、スパークリングワインが造られています。
ブドウ栽培の歴史は、9世紀ごろロワール渓谷のアンジェ市からシュナンブランの苗木が持ち込まれ、
そこからブドウ栽培がスタートしたと言われています。
そのため、10世紀ごろまでシュナンブランは「アンジェの苗」と呼ばれていました。
16世紀に入り、オランダのワイン商によってロンドン、パリ、ロッテルダムの市場で
ヴーヴレのワインが取引されるようになり、
ルネサンス期を代表するロワール地区出身の作家フランソワ・ラブレによって、
「シュナンブラン」の名称が広められたと言われています。
ヴーヴレのテロワール
ロワール川右岸に沿って位置するヴーヴレの気候は、
支流のシス川とブレンヌ川の影響を強く受け、
2つの川が合流する地域では霧が発生しやすく、
貴腐ワインを造るポトリティス・シネレアという貴腐菌が発生しやすい場所でもあります。
ヴーヴレの収穫はフランスの他の産地の中でももっとも遅く11月まで続きます。
この地域は気候変動が大きく、年ごとにブドウ栽培も気候の影響を受けるため、
ヴィンテージによりワインの生産も変えており、
涼しい気候の年は、スパークリングワインやドライな味わいのワインを多く造り、
温暖な気候の年は、より甘いデザートスタイルのワインを多く造ります。
ヴーヴレで造られるブドウ品種
前述のとおり、ヴーヴレで造られるワインは、大半がシュナンブラン100%のワインのため、
栽培されるブドウのほとんどがシュナンブランですが、
マイナー品種のアルボワもヴーヴレワインの品種として認められています。
2006年の時点で5,000エーカー(2,000ヘクタール)以上のブドウの栽培面積があり、
フランスで最大のシュナンブランベースのワイン産地でもあります。
ヴーヴレで造られるワインの特徴
ヴーヴレでは、年間100万ケース以上のワインを生産しており、
ワイン造りのスタイルは、ステンレス鋼などの中性発酵容器を使用し、
マロラクティック発酵をおこなわず、長期熟成タイプではなく、
早めに瓶詰されるフレッシュで軽快な味わいの白ワインが多く造られています。
AOCヴーヴレが最も有名なワインで、シュナンブラン100%で造られ、
ハチミツ、ナッツ、イチジク、リンゴ、白い花のアロマが感じられ、
ほんのりとした甘さとフレッシュで美しい酸のある、とても飲みやすい白ワインが多く造られています。
また、スパークリングワインは、シャンパーニュ地方と同じ瓶内二次発酵方式で造られ、
12カ月以上熟成を要し、芳醇なアロマとさわやかな酸のある味わいになります。
早飲みタイプと熟成タイプの2つのタイプが造られており、
早飲みタイプは、柑橘のアロマにフローラルなアロマが感じられ、
熟成タイプは、アプリコットやハチミツといった芳醇なアロマが特徴です。