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お祝いごとにピッタリのシャンパンは、世界中で愛されていて、
普段ワインをそれほど飲まないという方でも、
モエ・エ・シャンドンや、ドン・ペリニヨンといったシャンパンの名前なら、
聞いたことある!という方も多いと思います。
しかし、本日はシャンパン好きならではのテーマで、
シャンパンのRMについてお話ししたいと思います。
シャンパンのRMとは
RM(Recoltant Manipulant)とは、レコルタン・マニュピュランの略称で、
シャンパーニュ地方でブドウ栽培から醸造、販売まで自社で一貫しておこなう
小規模生産者のことを総称していいます。
シャンパーニュといえば、モエ・エ・シャンドン、ドン・ペリニヨン、
ヴーヴ・クリコ、クリュッグ、ローラン・ペリエ、ポル・ロジェ、ポメリー、ランソンなど、
大手のシャンパンメゾンが有名ですが、最近はフランス国内にとどまらず
海外のシャンパン好きがRM(レコルタン・マニュピュラン)のシャンパンを求めていて、
注目が集まっています。
RMシャンパンの魅力
RMのシャンパンの魅力はなんといっても、その個性的な味わいです。
小規模で少量生産だからこそできる細部までこだわったブドウ栽培とワインの醸造は、
テロワールと生産者のスタイルをしっかりと表現した味わいになっています。
RMの多くが、もともとはブドウ栽培農家のため、自社の畑を熟知しており、
自分たちが育てたブドウの出来が分かっているからこそ、
自分の造りたいシャンパンのスタイルを貫くことができるのです。
ネゴシアン・マニピュラン(NM)との違い
大手メーカーが瓶詰めしたシャンパンは「NM(ネゴシアン・マニピュラン)」と呼ばれ、
ラベルにもNMの記載があります。
シャンパーニュ地方は、フランスワインの北限の地のため、
ブドウの出来が年によって異なり、シャンパンの品質を安定させるため
複数年代のワインをブレンドして造られます。
そのため、ブドウの収穫からリリースされるまでに多くの時間を有し、
各ヴィンテージのワインをストックしておくのに、
長い期間ワインを貯蔵しておく場所が必要となり、
設備などに多くのコストがかかります。
こうした背景から、シャンパーニュ地方はブドウ栽培農家と、
ブドウを買い取り醸造、瓶詰、販売をおこなうシャンパンメーカーがそれぞれにあり、
多くのシャンパンメーカーは、契約農家から原料となるブドウを仕入れてシャンパンを造ります。
世界に流通しているシャンパンの多くは、こうしたネゴシアン・マニピュランが占めています。
おすすめのRMのシャンパン
ピエール・モンキュイ・シャンパーニュ・ブラン・ド・ブラン
キュヴェ・ユーグ・ドゥ・クルメ
シャルドネの聖地と呼ばれるメニル・シュール・オジェに
1889年に設立されたシャンパーニュメゾンのピエール・モンキュイ。
100年以上の歴史を持つピエール・モンキュイは、
コート・デ・ブラン地区にあるグランクリュの村、メニル・シュール・オジェ、
およびコート・ド・セザンヌ地区に自社畑を所有し、伝統的製法を頑なに守り続け、
上質なシャンパンを造り出すRMとして知られています。
メニル・シュール・オジェのあるコート・デ・ブラン地区は、「白い丘」という意味で、
その名の通り、石灰質土壌が豊かな真っ白な大地で、ここで造られるシャルドネは、
硬質なミネラル感と、上質で豊かな酸が、見事に調和した
エレガントなブラン・ド・ブランを生み出します。
モンキュイのブドウは平均樹齢30年以上で、
シャンパーニュでは樹齢が25年に達した時点で植え替えるのが一般的ですが、
モンキュイでは樹齢約90年のブドウも使用されています。
そんなモンキュイが造るブラン・ド・ブランは、明るいゴールドの色調で、
美しくきめ細かい泡がたち、ドライアプリコットのような甘く熟成した果実香に、
ユリやジャスミンのフローラルなアロマと、バニラを思わせる甘い熟成香が感じられ、
活き活きとした柑橘のフレッシュな酸と果実味に、美しくしっかりとしたミネラル豊富な
奥深い味わいで、ブラン・ド・ブランとは思えないほどの圧倒的な厚みがあります。
グラン・クリュ ブリュット・トラディション エグリ・ウーリエ
クリュッグ、ボランジェ、サロンに並ぶ実力派RMシャンパーニュメゾンのエグリ・ウーリエ。
フランスのワイン評価本「クラスマン」で2008年時点で、
最高評価の3つ星を獲得していたのは、エグリ・ウーリエのほかには、
クリュッグ、ボランジェ、サロンのみ。
RMのシャンパンとしては、当時唯一の3つ星評価でした!
1930年代に創業したエグリ・ウーリエは、1990年にフランシス・エグリ氏が当主となってから、
畑を全て無農薬・有機栽培に転換し、ブドウ本来のポテンシャルを最大限に引き出す事に成功し、
大きな変革を遂げました。
ブドウはすべて完熟したタイミングを待ち、手摘みで収穫、
その後果皮に付着した野生酵母で発酵させます。
発酵はステンレスタンクとフレンチオーク樽を使用し、
キュヴェによりますが、およそ1年から5年間原酒を樽熟成させます。
フランシス・エグリ氏はこの過程を最も大切ととらえています。
あたかもブルゴーニュワインを造るような、この手の込んだ原酒の製造。
これは、レコルタン・マニュピュランのシャンパーニュは、
まずテロワール、ブドウ品種の個性を表現すべきと考えているからです。
エグリ・ウーリエが生み出す最高のピノ・ノワールから造られる極上のシャンパーニュ。
ぜひ、記念日など特別な日の乾杯にいかがでしょうか。