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フランスの中でも美しい古城などの史跡が多く、
「フランスの庭」とも称されるロワール地方。
風光明媚な景観と歴史から、2000年にはユネスコの世界遺産にも認定されました。
中でもシュノンソー城などの古城が建ち並ぶトゥーレーヌは、
美しい景観にも恵まれており観光も盛んで、
「ヴァル・ド・ロワール」と呼ばれるワインの名産地としても有名です。
本日は、トゥーレーヌにあるワイン産地シノンのワインについてお話します。
シノンで造られるワインの味わい・特徴
シノンAOCは、ロワール川沿岸のトゥーレーヌ地方にある
歴史的な町シノン周辺にあるアペラシオンです。
この地域は何世紀にもわたってワインを生産しており、
赤ワイン・白ワイン・ロゼワインが生産され、赤ワイン・ロゼワインはカベルネ・フラン、
白ワインはシュナンブランを主体に造ります。
シノンワインは、カベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニヨンから造られる
赤ワインが全体の95%を占めており、
白ワインとロゼワインは、総生産量のわずか5%です。
カベルネ・フランを主体として造られる赤ワインは、
チェリーやベリーなどの赤系果実のアロマとスミレを思わせるアロマが豊かで、
なめらかなタンニンとコクのあるワインが生み出されており、
ルネサンスを代表する作家のラブレーがこよなく愛したワインとしても有名です。
シノンのテロワール
シノンの栽培面積は、2,300ヘクタールで年間約11万ヘクトリットルです。
19のコミューンがあり、ロワール川にそそぐ支流のヴィエンヌ川沿いに
おもにブドウ畑が広がっています。
シノン周辺の土壌は大きく3つのタイプに分けられ、
ロワール川のほとりに近い場所は砂利砂と粘土砂の多い水はけのよい土壌のため、
よりライトでフルーティなワインが生まれます。
沿岸部より上に位置する丘陵地と平地は、白亜のテュフォー土壌で、
ロワール地方の特徴である黄色がかった堆積岩が多く、
よりフルボディのエレガントで上質なワインが生み出されています。
さらに上に位置する石灰岩の丘は、非常に多孔性で、水を急速に吸収しますが、
ゆっくりと拡散していくため、高品質なブドウを栽培するのに理想的なテロワールとなっており、
長熟タイプで高品質なワインが造られています。
シノンワインと相性のいい料理
シノンの赤ワインは、ベリーなどのフレッシュな果実のアロマに、
スミレのような芳醇なアロマがあり、タンニンがなめらかで
一般的には渋みやボディはあまり強くありませんので、
さっぱりとした味わいの肉料理にとてもよく合います。
シノンのあるトゥーレーヌ地区の伝統料理であるリヨン(RILLON)と呼ばれる
豚バラ肉のコンフィ料理が有名で、
まず、豚バラ肉にしっかりと塩をすり込み、1晩置いて塩豚にしておきます。
豚肉を水洗いして、ペーパーでしっかりと水気を切ったら、一口大に切り、
コショウとローズマリーやタイム、オレガノなどのお好みのドライハーブを振ります。
鍋に豚肉を入れ、肉が浸るくらいまで白ワインを注いだら、火に掛けてワインを沸騰させ、
中火で煮込みます。
じっくりと肉に火を通していき、白ワインが蒸発して肉に焦げ目がついてきたら完成です。
さっぱりとした味付けの豚バラ肉の旨味がシノンのワインによく合うと言われています。
とても簡単な料理なので、シノンのワインを飲まれる際にはあわせてみてはいかがでしょうか。