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パロミノはスペインの酒精強化ワイン(フォーティファイドワイン)であるシェリーの
原料として主に使われる白ブドウ品種です。
シェリーは、ポルトガルのポートワイン、イタリアのマルサラワインと並ぶ
世界3大酒精強化ワインの1つとされ、
日本ではシェリー酒というと、リキュールや蒸留酒に間違われることが多いですが、
白ブドウを原料とした白ワインの一種です。
そこで、本日はシェリーに使われるブドウ品種パロミノについてお話します。
パロミノの特徴
シェリーを造る際に使われるブドウの品種は3種類のみで、
パロミノ種、ペドロ・ヒメネス種、モスカテル種という白ブドウです。
これらの品種はブレンドせずに、それぞれ単一品種でワインが造られます。
パロミノは、へレスでもっとも多く栽培されているブドウ品種で、
パロミノ・フィノとパロミノ・デ・ヘレスの2品種があります。
パロミノの果粒は小さめで果皮が薄く淡い緑色で熟すにつれて金色を帯びてきます。
香りや酸味、糖度が控えめなので、スティルワインの場合は個性がない味わいになるため、
酒精強化ワインであるシェリーには適しています。
ニュートラルな味わいのシェリーを造るのに適していて、
パロミノ・デ・ヘレスは、希少で高品質なシェリーを造ります。
パロミノの主な栽培地域
スペインでは、シェリーの一大産地であるへレスでもっとも多く栽培されており、
パロミノ・フィノとパロミノ・デ・ヘレスの2品種があります。
ヘレスのブドウ栽培面積の約95%がこのパロミノで、
辛口シェリーはパロミノ単一で造られます。
フランスでは、パロミノはリスタン種と呼ばれ、南アメリカではホワイト・フレンチ種と呼ばれ、
オーストラリアやアメリカのカリフォルニア州でも栽培されています。
パロミノから造られるワインの味わいや香りの特徴
パロミノからは辛口のシェリーが造られますが、
同じ辛口でもいくつかのタイプがあり、産地、醸造法によって驚くほど味わいが異なります。
辛口のタイプには、「フィノ」、「マンサニーリャ」、「アモンティリャード」、「オロロソ」
という基本の4種類があり、さらにフロールという酵母膜を残したまま熟成させるタイプと、
フロールを残さないで熟成させるタイプがあります。
フィノとマンサニーリャは、フロールを残して熟成させ、
アモンティリャードとオロロソは、フロールを残さないで熟成させます。
フィノは、アルコール度数が約15度とスティルワインに近い軽めのタイプで、
レモンのような淡い色調に、リンゴやレモン、ハーブといった爽やかアロマで、
繊細な味わいが特徴です。
シェリーの中でも一番幅広い料理と合わせやすい味わいのシェリーです。
マンサニーリャは、海に近いサンルカール・デ・バラメーダでの街で造られたフィノが、
マンサニーリャを名乗ることができます。
通常のフィノよりもさらに繊細で、海に近いこともあり海風の影響で塩気を感じる風味で、
中でもパサダと呼ばれるものは、熟成が進んだタイプになります。
オロロソは、フィノと違い酵母の影響を与えずに熟成させた酸化熟成タイプで、
香り高いという意味を持つオロロソは、フルボディで色が濃く、
クルミなどのナッツ類やコーヒー、カラメルを思わせる華やかな香りが魅力です。
アルコール度数もフィノと異なり17~21度のフルボディなワインです。
アモンティリャードは、フィノかマンサニーリャを酸化熟成させたタイプで、
フィノとオロロソの中間のような色合いで、
酵母と酸化熟成の両方の複雑な香りが楽しめ、味わいはバランスがよく、
アルコール度数は16~22度とシェリーです。
パロミノから造られるシェリーの飲み方
シェリーの香りを最大限楽しむならストレートで飲むのがおすすめです。
スティルワイン同様グラスはワイングラスに注ぐのが良いです。
その際気を付けたいのが温度です。
スティルワインも同様ですが、温度が低くすぎると酸味が目立ち甘味が抑えられます。
逆に温度を高くすると、甘味やまろやかさを感じやすくなりますが酸味が抑えられます。
とくにパロミノから造られる辛口タイプは白ワインを飲むときくらいに
軽く冷やして飲むのがちょうど良いとされています。
通常のスティルワインに比べ風味が3日~1週間以内で損なわれることはありません。
冷蔵庫で保存すれば抜栓後1ヵ月程度は問題なく味わえますので、
食後のデザートワインとして楽しんだり、就寝前に少しずつというのもおすすめです。