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フランス最東部に位置するアルザス地方は、ライン川を隔ててドイツの国境と接しており、フランスのワイン産地の中でも個性的な雰囲気をもった産地。
リースリングから造られる、リンゴや柑橘、白い花の華やかなアロマとシャープな酸味が特徴の辛口白ワインは、世界中の多くのワインラバーを魅了しています。
そこで、本日は当店おすすめのアルザスワインをご紹介します。
アルザスのワイン産地
アルザスワインの中心地は、ヴォージュ山脈とライン川に挟まれたアルザスワイン街道と呼ばれる約170kmの道沿いで、ブドウ畑はライン川沿いの丘陵地とヴォージュ山脈の東斜面に広がっており、ここには103の村があり、ワイナリーの多くがアルザス地方伝統のフードルと呼ばれる大樽を使用して発酵をおこないます。
半大陸性気候のため温暖で降水量が少なく、斜面に畑が広がっているため日照量も豊富で朝晩の寒暖差があることからしっかりとした凝縮感のある味わいのブドウが育ちます。
アルザスで造られるワインの特徴
そんなアルザスで造られるワインのおよそ90%以上はリースリングをはじめとする白ブドウ品種から造られる辛口の白ワインで、ピノ・グリ、ゲヴェルツトラミネール、ミュスカ、ピノ・ブランなどを使用した単一品種のワインが多く造られています。
また、ボトルも特徴的でドイツワインでもよく見かける細長いフルート型で瓶詰されます。
アルザスの主要なAOCとして、アルザスAOC、クレマン・ダルザスAOC、アルザス・グランクリュAOCがあり、シャンパンと同じ瓶内二次発酵によって造られるスパークリングワインのクレマン・ダルザスは、フランスにある8つのクレマンの産地の中で最大の輸出量をほこり、フランス国内でも一番人気のクレマンです。
遅摘みされたブドウを使用して造られる甘口ワインのワインヴァンダンジュ・タルディヴや、貴腐ワインのセレクシオン・ド・グラン・ノーブルなども大変人気があり、セレクシオン・ド・グラン・ノーブルは、ブドウの出来が良い年にしか造られないため、大変希少な貴腐ワインです。
アルザスワインに使われるおもなブドウ品種
アルザスの白ワインは、リンゴ、ピーチ、洋ナシといったフルーツのアロマに花のようなフローラル香を楽しめるすっきりとした辛口ワインが主流で、それは品種由来のブドウのアロマや風味をいかしたワインが多いということでもあります。
アルザスではもっとも多く栽培されているブドウ品種であるリースリングは、全体の20%以上を占めており、高級白ワインを生み出す高貴白品種としても知られており、フルーティーなものから、ミネラルを強く感じるものまでさまざまなワインが造られています。
ドイツ語で「スパイス」という意味をもつゲヴュルツトラミネールは、バラとライチの香りが強く感じられるアロマティックな白ワインの代表格品種で、アルザスでは貴腐ワインや遅摘みのブドウでつくられた極甘口ワインも造られています。
ピノ・ノワールの突然変異クローンであるピノ・グリからは、トロピカルフルーツのようなアロマと、コクのあるオイリーな口当たりの骨格がしっかりとした濃厚な味わいの辛口ワインが造られています。
アルザスワインに合う料理
アルザスワインによく合わせられる料理がチーズフォンデュ。
スイスを中心に、フランス、イタリアにまたがるアルプス山岳部やその周辺の代表的な郷土料理でチーズを白ワインなどで煮込んだ料理なので、白ワインとの相性が抜群!
とくにおすすめなのが、アルザスのリースリングで造られるリンゴや柑橘、白い花の華やかなアロマとシャープな酸味が特徴の辛口の白ワイン。
チーズフォンデュと合わせると、柑橘や白い花の華やかなアロマがより強く感じられ、チーズのナッツっぽい風味も引き出してくれます。
また、バラやライチといった芳醇なアロマのあるゲヴュルツトラミネールは、甘味の中にほんのりとしたスパイシーさも合わせ持つため、スパイスやハーブを効かせたアジアン料理との相性が抜群です。
おすすめのアルザスワイン
「神の雫」に掲載!「真のグラン・クリュ」と称賛される畑から生み出される自然派アルザスワイン
レオン・マンバックは、アルザス中心地のストラスブールから南西約35kmほどにあるDambach-la-ville村に本拠を置き、グラン・クリュである「フランクシュタイン」も所持する自然派アルザスワイナリーです。
フランクシュタインは1976年に認定された特級畑で、フランスのエノログ協会の会長アレックス・シェーファー氏が「真のグラン・クリュ」と激賞し惚れ込む、知る人ぞ知る特別なワインを生むポテンシャルを秘めています。
レオン・マンバックの栽培哲学は、人の手をできるだけ入れずに自然の力で、ブドウの樹そのものの生命力を高めるため、土壌にも最大限の配慮をもったブドウ栽培を行っているのが特徴です。
フランスのエノログ協会の会長アレックス・シェーファー氏は、このアルザスを代表する特級畑の虜になっている愛好家の一人で「フランクシュタインのリースリングが最も好きだ。なぜなら、この品種はテロワールに完全に適応しており、素晴らしい味わいを表現してくれる。果実味、花を思わせる香り、優雅な趣、軽やかさを感じる。」
また、日本を代表する人気のワイン漫画「神の雫」では、このワイナリーの「ピノ・ノワール エルヴェ・アン・ムュイ」が掲載されました。
シャトー・シュヴァル・ブランや、シャトー・ディケムを手掛けた凄腕コンサルタントのアルザスワイン
フランスのワイン関係者で知らぬ者はいないというほどの凄腕コンサルタントで、シャトー・シュヴァル・ブランや、シャトー・ディケムを手掛けた「白ワインの法皇」の異名を持つ、カリスマ醸造コンサルタントのドニ・デュブルデュー氏がアルザスで唯一コンサルタントに入ったのが、カーヴ・ド・リボヴィレです。
カーヴ・ド・リボヴィレは、アルザスでも屈指のブドウ産地「リボヴィレ」の町の栽培家たちによって、1895年に設立されました。
アルザスの個性的なテロワールを引き出すため、すべてのブドウ畑ではリュット・レゾネ(極力自然に近い栽培) が実施され、うち約10%の畑が完全なオーガニック栽培で運営されています。
カーヴ・ド・リボヴィレのワインは世界40カ国以上に輸出され、イギリスの「デキャンター」、アメリカの「ワインスペクテイター」をはじめ、数多くの評価誌で「最も素晴らしい協同組合」として紹介されています。