この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。
ドイツワインはお好きですか?
ドイツワインというと、一昔前までは甘口の白ワインのイメージが強かったですよね。
きっと皆さんもワインショップなどで、ブルーのボトルに黒猫のラベルが描かれた甘口の白ワインを一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
世界でも類をみないほど甘口の白ワインが多彩なドイツワインですが、そんなドイツワインも最近では食のトレンドの変化、ヘルシー志向の高まりなどもあって、生産量の70%は辛口の白ワインなんです!
まだまだ日本では、ドイツワインというと甘口白ワインのイメージが強いので意外ですよね。
そこで、本日は変革期を迎えているドイツワインについてお話します。
じつはドイツは辛口白ワインが主流だった
冒頭でもお話したとおり、近年のヘルシー志向の高まりもあってドイツワインは辛口が主流になってきており、そしてドイツで生産されるワインは圧倒的に白ワインが多いのが特徴の1つ。
白ワインに使用されるのが、繊細な味わいの白ブドウ品種のリースリングをはじめとするドイツ系の白ブドウ品種で、赤ワインは生産量がそれほど多くありませんが、シュペートブルグンダーというブドウ品種を使用した赤ワインがあります。
また、ドイツは交配品種がとても多いという点も特徴的です。
ドイツはブドウ栽培には厳しい環境でもあり、古来より交配によってよりよいブドウを造ることが活発に進められ、その結果、ドイツで作られる多くの品種が交配品種になりました。
ドイツワインの味わいの特徴としては、冷涼な気候でブドウが栽培されるため、ブドウの果実は比較的ゆっくり成熟し、酸がゆっくり分解されるため、ワインには独特の果実酸が残り、フルーティで豊かな酸と残糖のバランスが絶妙なのが特徴です。
ドイツワインの等級について
ドイツワインの等級はテーブルワイン、地酒、上質ワイン、最上級ワインの4段階に分かれていて、ドイツのワイン法は、EU加盟国の中でも特に細かく定められており、ブドウの糖度によって決められています。
等級の高い順に、クヴァリテーツヴァイン・ミット・プレディカート(Qualitatswein mit Pradikat) 生産地限定格付け上質ワイン。
クヴァリテーツヴァイン(Qualitatswein) 生産地限定上質ワイン。
ラントヴァイン(Landwein) 地酒 トロッケンハルプトロッケンのみ。
ドイッチャー・ターフェルヴァイン(Deutscher Tafelwein) 日常用テーブルワイン。
ドイッチャー・ターフェルヴァインは、ドイツ産の認可された畑の、認可されたブドウ品種を使用したワインであれば、どのワインもこの表示をできます。
デイリーワインとして飲まれるやや甘口で軽快なワインが多くあります。
また、ドイツ国内だけでなくEU内のブドウも原料とした場合は単にターフェルヴァインと呼ばれます。
ラントヴァインは、19の指定地域のブドウを最低85%使用することが定められており、ラベルにはその地域名が表示されます。
味わい(残糖)は辛口(トロッケンTrocken)か、中辛口(ハルプトロッケンHalbtrocken)に限られ、食事に合うワインが多くあります。
クヴァリテーツヴァインは、略してクー・ベー・アー Q.b.a と呼び、13のワイン産地(=指定栽培地域)に分けれ、ラヴェルには必ず生産地域表示しなくてはなりません。
そのため複数の産地のブドウを使用することは禁じられています。
また、公的検査番号が付与され、ラベルにAPから始まる数字が記載されます。
そして、最上級ワインのクヴァリテーツワイン・ミット・プレディカート(QmP)は、収穫時のブドウの熟した度合い(糖度)によって6等級に分かれており、糖度が高いほど等級が高く、等級の高い順にトロッケンベーレンアウスレーゼ(貴腐ワイン)、アイスヴァイン、ベーレンアウスレーゼ、アウスレーゼ、シュペトレーゼ、カビネットとなっています。
ドイツワイン法が改正されて分かりやすくなる⁈
前述のとおり、ドイツの等級はとても複雑で正直覚えるのが大変…
でも、そんなドイツの等級がこの度ワイン法の改正によってシンプルに分かりやすくなったんです。
そもそもドイツの等級がこんなに複雑だったのには理由があり、収穫時のブドウ果汁の糖度によって等級が定められていたのは、ドイツの気候的な条件によるもので、緯度の高いドイツはブドウを育てるには非常に厳しい環境で、とくに糖度が高いブドウが育つのは稀なことでした。
そのため、糖度の高いブドウは貴重品で、糖度の高いブドウほど等級数を高くするというのが従来のワイン法でした。
しかし2021年1月27日、このワイン法から新しく「地理的呼称制度」が施行されることになりました。
2009年8月には、一部地域で地理的呼称による格付けが導入されていましたが、今回ドイツ全体で「地理的呼称制度」が導入されることになり、ブルゴーニュ地方のように畑ごとに格付けをおこなって評価するという方式になったんです。
ラインガウ、ファルツ、バーデンといったドイツを代表する13の特定地域の高品質ワイン(クヴァリテーツヴァイン:Qualitätswein)をさらに細分化し、最上位からグランクリュにあたるのが「グローセス・ゲヴェックス(Grosses Gewachs)」、次にプルミエクリュにあたるのが「エアステス・ゲヴェックス(Erstes Gewachs)」そして、単一畑の「アインツェルラーゲ(Einzellage)」という順になります。
約5年間は移行期間として、従来の果汁糖度による格付けのラベルの表記も認められています。
当店一押し!日本初上陸の新星ドイツワイン
さて、最後に当店一押しの高品質なドイツワインをご紹介します。
世界のミシュラン星付きで採用されている、今世界が注目を集めるドイツワインの新星がこの度日本に上陸しました!
ファルツのポテンシャルを十二分に発揮する生産者として注目を集めているオリバー・ゼターは、なんとファーストヴィンテージが2007年という、まだ若いワイナリーながら、すでに英国をはじめ一部のワイン市場では高い評価を受けている実力派ワイナリー。
代表のオリバーは、もともと父、弟とともにワイン商として、世界各国の優れたワインをファルツへ輸入する仕事をしていましたが、輸入業の傍ら、地元ファルツの優れたワインを、今度は世界へ紹介したいと考えるようになり、ドイツで最も権威のあるケラーの一つ、Dr.Deinhardへ師事、その後イタリアと南アフリカでワイン造りに携わった後、自らの醸造所を立ち上げました。
栽培品種は幅広く、ドイツを代表する品種のリースリングをはじめ、フランスのローヌ地方のヴィオニエやシラー、肥沃な石灰岩土壌には平均樹齢15年のピノ・ノワール、そしてオリバー・ゼターの名を高めたソーヴィニヨン・ブランです。
ドイツのワイン専門誌「Wein Wisser」は、オリバー・ゼターのソーヴィニヨン2007に対し、「アルプス山脈以北で、最も偉大なソーヴィニヨンだ。 また、今までのトップソーヴィニヨンにも負けない品質であることは間違いない。」と最大限の賛辞を送りました。
また、マスター・オブ・ワインのジャーナリスト、ジャンシス・ロビンソン女史もオリバー・ゼターを自身のウェブサイトで取り上げ称賛しています。