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26世代にわたり土地と伝統を守りながら家族経営を続けている、イタリアワイン界のトップワイナリーアンティノリ。
トスカーナの伝統的なワイン造りを重んじながらも、常に革新的に進化をし続けるワイナリーで、キャンティ・クラシコからスーパータスカンまで幅広いワインを造りつづけています。
そこで、本日はアンティノリのワインについてお話します。
イタリアの中でも長い歴史を持つワイナリー
アンティノリの創業は1385年。
初代ジョヴァンニ・ディ・ピエロ・アンティノリからはじまり、現当主ピエロ・アンティノリ侯爵まで26世代にわたり先祖から脈々と受け継がれてきた土地と伝統を守りながら家族経営を続けている、イタリアワイン界の頂点に君臨する歴史あるワイナリーです。
現在は、名誉会長になり経営を退いたピエロ・アンティノリ侯爵から、3人の娘であるアルビエラ、アッレーグラ、アレッシアの手にワイナリー運営がゆだねられ、革新的な進化を続けています。
アンティノリは、歴史があるだけではなく、海外のワインコンクールでも多くの受賞歴を持つ実力派のワイナリーで、トスカーナ州のバルジーノに本拠地を置き、トスカーナ州、ウンブリア州、ロンバルディア州、ピエモンテ州、プーリア州にいくつものワイナリーを所有し、各産地の特徴を表現した高品質のワインが造られています。
また、カリフォルニア、チリ、ハンガリー、ルーマニアといった世界の名だたるワイン産地にもワイナリーを所有しており、各産地のテロワールとトスカーナの伝統を見事に融合させたワインが造られています。
中でもアンティノリのフラッグシップと言えるワインが、スーパータスカンのソライアとティニャネロです。
1971年にティニャネロを生み出し、その7年後にソライアをリリースしたことで、海外から高い評価を受け、アンティノリの名声が一気に世界に広がりました。
アンティノリのワインの選び方
アンティノリのワインは、前述の通りイタリア国内だけでも5州にまたがってワインを造っており、世界のワイン産地でもそのテロワールを活かしたワイン造りがおこなわれ、そのスタイルは幅広く、デイリーワインとして楽しめるリーズナブルなものから伝説とも言えるスーパータスカンまでさまざまです。
そのため、産地で選ぶというのがおすすめです。
とくに、トスカーナ州は一番多くのワイナリーを所有しており、アンティノリの原点とも言えるキャンティ・クラシコやフレッシュで果実味のあるトスカーナらしい味わいのリーズナブルな赤ワインや、長期熟成型の濃厚で豊富なタンニンのブルネッロ・ディ・モンタルチーノや、伝説的なスーパータスカンなど、価格から味わいまで幅広いバリエーションがあります。
また、イタリア国内でもピエモンテ州では最上級の畑から高品質なバローロが造られ、ロンバルディア州では、イタリアワインの奇跡とも言われるスーパークリングワインのフランチャコルタが造られています。
アンティノリのスピリットは、イタリア国内にとどまらず、世界有数のワイン産地でもワインが造られており、アンティノリのワイン造りは「土地に感謝をする」という哲学のもと、テロワールを見事に表現したワイン造りがされています。
カリフォルニアのナパヴァレーやチリのマイポヴァレーなど、世界的にも名高いワインの銘醸地で、イタリアの伝統的なワイナリーがそのテロワールをどのように表現するのか、そういった観点からワインを飲むと、また違う面白さを発見できるかもしれません。
アンティノリで造られるブドウ品種
アンティノリで造られるブドウ品種は、サンジョベーゼ、カベルネソーヴィニヨン、メルロ、シラー、カベルネフラン、シャルドネがおもに造られています。
また、イタリアでは5州でワインが造られているため、その州を代表する品種も造られており、南イタリアのプーリアでは、アリアニコ、ネグロアマーロ、プリミティーボが造られ、ピエモンテ州ではネッビオーロ、ロンバルディア州ではピノ・ネロ、ピノ・ブランが造られています。
アンティノリで造られるワインの特徴
アンティノリで造られるワインの特徴は、前述の通りさまざまな産地で造られるその土地のテロワールを表現したワインですが、600年という歴史の中で、常に伝統を守りながらも革新的な進化を続け、新しいワイン造りに挑戦してきました。
そのため、トスカーナの伝統的な赤ワインから、スーパータスカンまで、幅広い味わいのワインがあるのがアンティノリのワインの特徴と言えます。
アンティノリで造られる主なワイン
レ ヴォルテ オルネライア
レ・ヴォルテは、オルネライアのフィロソフィーを見事に映し出したサードワインとして、リーズナブルな価格ながらオルネライアの優良なテロワールより選び抜かれたメルロを主体に、サンジョヴェーゼとカベルネ・ソーヴィニヨンの3品種をブレンドして造られます。
醸造にもオルネライアに使用したバリックと、セメントタンクを使用して10ヵ月間の熟成を経てリリースされます。
造りだされるワインは、サンジョヴェーゼらしい黒スグリやブラックベリーなどの濃密な果実のアロマに、メルロのまろやかさ、カベルネ・ソーヴィニヨンのしっかりした骨格と深みがあり、フレッシュさと力強さを合わせ持つ非常にバランスの良い仕上がりで、長い余韻を楽しめる1本です。
カジュアルにオルネライアのフィロソフィーを楽しめるワイン。
ぜひこの機会にお試しください。
ティニャネロ
1971年に誕生したスーパータスカン「ティニャネロ」。
ティニャネロの畑は、キャンティ・クラシコの中心部にあり、標高は340~400haのトスカーナらしい日当たりの良い丘陵地帯で、
日中は暖かく夜間はしっかり冷え込むため、凝縮感のあるブドウが育ちます。
砂利の大きさに砕いた白い石材を、地中に混ぜ込んだ「アルベレーゼ」というアンティノリ独自の栽培方法で育てられたサンジョベーゼは、甘いタンニンを持った高品質なブドウに育ち、このサンジョヴェーゼにカベルネ・ソーヴィニヨンをブレンドしてティニャネロは造られます。
明るい紫の鮮やかなルビーレッドの色調で、カシスやブラックベリー、プラムなど黒系果実のアロマに、チェリーやミントなどのハーブとチョコレートのニュアンスが複雑にからみ、口に含むと熟した果実味とバニラの柔らかな香りと、まるみのあるタンニンのバランスが見事に調和して、長く続くエレガントな余韻を感じられるワインです。
ソライア
1978年ティニャネロのリリースから7年後に誕生したスーパータスカン。
ティニャネロのブドウを使用し、ティニャネロと逆のブレンド比率にしたらどうか。という思い付きから生まれました。
照りつける太陽という意味のソライアは、ティニャネロの1/3程度の大きさの畑から造られるため、生産量もごくわずか。
初リリースからすぐに爆発的人気を博し、一気にスターダムに上り詰めました。
紫がかった濃いルビーレッドの色調で、ブラックベリーやブルーベリーなどの熟した黒系果実のアロマに、
ハーブやミント、チョコレート、白コショウなどのスパイスが複雑にからみ、口に含むと濃厚で芳醇な果実味に、シルクのように滑らかで豊かなタンニンが感じられ、生き生きとしたフレッシュな酸味と豊かなミネラル感が、エレガントさを感じさせてくれます。
驚くほど長く続く余韻に長期熟成の高さを感じさせられるワインです。