海洋性気候の土地で造られるペイ・ナンテの品種ミュスカデの白ワインとは ミュスカデを使ったワイン4選

海洋性気候の土地で造られるペイ・ナンテの品種ミュスカデの白ワインとは ミュスカデを使ったワイン4選

海洋性気候の土地で造られるペイ・ナンテの品種ミュスカデの白ワインとは ミュスカデを使ったワイン4選

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海洋性気候の土地で造られるペイ・ナンテのワインとは

フランス・ロワール川流域のワイン産地、ペイ・ナンテ。
お隣にはロワール地方西部で最大の産地であるアンジュ・ソーミュールがあり、ロワール川が大西洋に注ぎ込む最も下流に位置するミュスカデを使った白ワインが有名な産地です。
そこで、本日はロワール川流域のワイン産地ペイ・ナンテの特徴と、代表的な品種であるミュスカデについてお話します。

ペイ・ナンテについて

ペイ・ナンテは、ロワール川河口近くに位置するナント市を中心にしたワイン産地で、大西洋に面しているため、日中の気温変化が少なく雨が多く風も強い海洋性気候がブドウ栽培に大きく影響している地域です。
ペイ・ナンテでは、赤ワイン・白ワイン・ロゼワインの3種類のワインが造られており、中でも白ワインがもっとも多く生産されており、ムロン・ド・ブルゴーニュを主体にしたミュスカデという辛口の白ワインの産地として有名です。
ペイ・ナンテのおもな産地は大きく分けて4つあり、地域全体をミュスカデAOCといい、ロワール川支流のセーヴル川とメーヌ川によって区切られている三角州の地帯をミュスカデ・ド・セーヴル・エ・メーヌといい、ここで造られるワインの半数近くがシュール・リー製法で醸造されています。
メーヌ・エ・ロワール県の県境周辺は、ミュスカデ・デ・コート・ド・ラ・ロワールといい、南部のグラン=リュー湖にほど近い場所に1994年に認定された新しいAOCのミュスカデ・デ・コート・ド・グランリューがあります。

ペイ・ナンテのテロワール

ペイ・ナンテの土壌は、テュフォーと呼ばれる白亜紀の石灰岩を多く含んでおり、基本的には片麻岩やシスト、花崗岩などの沖積岩質からなる土壌が多く見られます。
また大西洋に面しており、標高が低くなだらかな地形のため海洋性気候の影響を大きく受け、昼夜の気温差が少なく、風や雨の影響を強く受けるのが特徴で、ブドウも土壌と海風の影響から、塩っぽいミネラルを感じる味わいになります。

ペイ・ナンテで栽培されるブドウ品種

前述のとおり、ペイ・ナンテでもっとも多く栽培されているのがムロン・ド・ブルゴーニュです。
栽培されるブドウの98%と、ほぼこの品種が占めており、残りはガメイなどが少量栽培されています。
ムロン・ド・ブルゴーニュとは、フランス東部のブルゴーニュ地方原産の白ワイン用ブドウ品種で、A.O.Cミュスカデの原料に使われるため、ミュスカデとも呼ばれ、以前はブルゴーニュ地方からロワールの河口辺りまで広く栽培されていたため、ブルゴーニュ地方からやってきた、マスクメロンに似た香りを持つ品種ということで、ムロン・ド・ブルゴーニュと呼ばれていました。
しかしながら、現在はブルゴーニュ地方ではシャルドネに植え替えられ、ミュスカデはほぼ使われておらず、ロワール河口部だけで栽培されています。
ムロン・ド・ブルゴーニュが、ブルゴーニュよりもロワール地方で多く栽培されるきっかけとなったのが、1709年の異常気象でした。
その年は異常なほどの寒波でロワール地域のブドウが全滅したことから、耐寒性が高いブルゴーニュ原産のムロン・ド・ブルゴーニュが植えられました。
その後栽培が拡大され、現在では世界の栽培の90%を占めています。

ペイ・ナンテのワインの特徴

ムロン・ド・ブルゴーニュが原料のAOCミュスカデは、透明感のある緑がかった色で、フレッシュな果実のアロマを持つ爽やかで軽快な味わいです。
ミュスカデにはシュール・リー製法が用いられることが多く、シュール・リー(sur lie=澱の上の意味)とラベルに記載されており、
これは、一般的な白ワインの醸造の過程では、発酵が終わったあとは、上澄みを他へ移し、底の澱は取り除く澱引きという作業をおこないますが、シュール・リー製法の場合は澱引きをせずそのまま春までおいておくという醸造方法です。
これにより、ワインが澱(酵母)と長い間、接していくことで、酵母は自己分解してアミノ酸となり、ワインに旨みが溶け込むことができます。
この製法は、雑菌などが繁殖しやすいため温度管理がとても重要になります。
シュール・リー製法でつくられたワインは、収穫年を明記すること、定められた期間まで作業工程をおこなうことなどが義務付けられています。

ミュスカデを使ったおすすめのワイン4選

ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ・シュール・リー ドメーヌ・ド・ラ・ヴァンソニエール
フランス・ロワール地方のドメーヌ・ド・ラ・ヴァンソニエールが手掛けるシュール・リー製法で造られたミュスカデ。
このドメーヌの60haのブドウ畑は、海からの影響で豊富な日照量と穏やかな気温ながら、定期的な雨と強風がブドウの木を乾燥させることで、病害を発生しにくくしており、極力自然に近い農法である「リュット・レゾネ」を用いて栽培しています。
また、環境に配慮したブドウの栽培方法「テラ・ヴィティス」の認証を取得しており、ブドウ樹とテロワールを尊重したワイン造りが行われています。
ミュスカデ100%で造られるこのワインは、輝きのある淡いイエローから麦わらの色調で、レモンやシトラスなどの柑橘系に清涼感のあるハーブのアロマ。
一口含むと穏やかで心地よい酸味があり、いきいきとしたフレッシュな果実味に、ほんのり旨味が感じられます。
シーフード料理とのペアリングがおすすめの白ワイン。

ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ・シュール・リー

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シドニー・ウィルコックス・ホワイト・フィールドブレンド
バーン・ヴィンヤーズは、1960年に最初のブドウを植えて以来、少しずつ畑を増やしながら3世代にわたって成長してきたバーン・ファミリーのワイナリー。
そんなバーン・ヴィンヤーズが手掛ける『シドニー・ウィルコックス・ヴァインドライドシリーズ』は、サウス・オーストラリアの豊富な食材をもっと楽しむために、ワイン造りの段階からそれぞれの食材にマッチすることを目的に造られたシリーズで、ラベルに描かれるのは、そのワインを合わせるべき食材です。
サウス・オーストラリア、リヴァーランドにある自社畑のブドウを、セミヨン40%、シュナン・ブラン30%、ミュスカデル20%、コロンバール10%の比率でブレンドしたワインです。
現代の醸造法は品種ごとの個性を出すためタンクを分けて醸造する方法が普通ですが、このワインは昔のワイン造りの手法に倣って混醸する製法で造られました。
複数のブドウ品種を同じタイミングで収穫した後、品種ごと分けたりせず一つのタンクにその時収穫された全種類のブドウを入れ一緒に醸造します。
こうすることで、それぞれのブドウがお互いの欠点を補いあって、クリーミーなテクスチュアを持つバランスが良い厚みのあるワインに仕上がります。
お刺身も含め、シーフードとの相性が抜群のワインです。

シドニー・ウィルコックス・ホワイト・フィールドブレンド

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シャトー・ラ・クードレ
シャトー・ラ・クードレは、ボルドー中心街から内陸の方に位置するアントル・ドゥ・メール地区に居を構えるプティシャトーです。
もともと大量生産するためのワイナリーでしたが、職人的なこだわりでワインの品質を徐々に上げてゆき、 2000年台に入ると毎年のように国際コンクールで金メダルを受賞するまでに品質を高めました。
毎年世界中から5000本以上のワインが出品され、世界のワインの品質を一度に比較できると業界関係者からは最も注目されているコンクールの一つである「チャレンジ・インターナショナルデュ・ヴァン」と、フランス本国ではワイン選びの指標としてかなりの人気の「ジルベール&ガイヤール」で金賞をダブル受賞しました。
その年のブドウの出来に合わせてブドウの使用比率は変わりますが、 概ねソーヴィニョン・ブラン主体(70%程度)で、セミヨン、ミュスカデルをブレンドした白ワイン。
フレッシュでフルーティーな果実味を感じる味わいです。

シャトー・ラ・クードレ

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シャトー・オー・ナドー・ブラン
シャトー・オー・ナドーは1938年に現在のオーナーの祖父がブドウ園を創設したことがはじまりで、1945年からはバルクワインの販売をおこなっていましたが、2代目の代で本格的なワイン造りに転向し、現オーナーのパトリック・オードイット氏に継承されてからは、セラーを新設したり、ステンレス鋼の大桶の設置するなど、醸造設備からブドウ園に至るまで大きな改革をおこなってきました。
エノロジストとしての彼のさまざまな経験によって、テロワールを反映したワインは、Gilbert & Gaillard ジルベール&ガイヤール ガイド金賞を受賞するなど名声を挙げていきました。
シャトー・オー・ナドー・ブランは、輝きのあるレモンイエローの色調、ステンレスタンクで熟成の為、柑橘類のフルーツの爽やかなアロマが楽しめます。
粘土石灰質土壌ならではのミネラルを伴ったすっきりとした辛口の味わいで、長い余韻が印象的な1本です。

シャトー・オー・ナドー・ブラン

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