デキャンタージュはどんなワインに必要?デキャンタージュの意味と方法について

デキャンタージュはどんなワインに必要?デキャンタージュの意味と方法について
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デキャンタージュはどんなワインに必要?デキャンタージュの意味と方法について

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。

デキャンタ

格式高いレストランなどで年代物の赤ワインを頼むと、ソムリエからデキャンタージュをすすめられることもあります。
またカジュアルなレストランでも、メニューにボトルワインやグラスワイン以外にデキャンタというカテゴリーを設けているところもありますよね。
そこで、本日はデキャンタージュについてお話したいと思います。

デキャンタとは

デキャンタ(decanter)とは、ワインを入れるガラス容器のことで、日本ではデキャンタ以外にデカンタとも表記され、ワインを移し替えるために使用する瓶のことを指します。
余談になりますが、さきほど冒頭で触れたカジュアルなレストランでよく見かけるデキャンタワインは、フルボトル(750ml)よりも少なく500mlくらいの量でデキャンタ(またはカラフェ)に移し替えて提供され、その多くは若いヴィンテージのワインをハウスワインとして安価なものが多いです。

デキャンタージュとは

デキャンタージュとは、ワインをデキャンタと呼ばれるガラス容器に移し替える作業のことを言います。
特に、年代物の赤ワインで行われることが多いですが、若いワインにも必要な場合があり、その目的は2つあります。
目的の1つは、ワインの澱(おり)を取り除くこと
2つ目は、ワインの味をまろやかにし香りを開かせること

デキャンタージュとは

デキャンタージュすべきワイン

上記の2つの目的から、デキャンタージュすべきワインがどのようなタイプなのかご紹介していきましょう。

年代物の赤ワイン

澱は、タンニンという渋みの成分と赤い色素成分のアントシアニンといったポリフェノールやたんぱく質が熟成(ワインが緩やかに酸化)していく中で結合し、結晶化したものです。
この澱は、タンニンとポリフェノールが豊富な熟成した良質な赤ワインに多くみられます。
そんな良質なワインの証拠でもある澱は、飲んでしまっても害はありませんが、口に含むととてつもなく苦みを感じます。
さらに、舌触りもよくありませんので、なるべくグラスに入らないように注ぐことが必要で、その時に澱をグラスに入れないために行う作業がデキャンタージュなのです。
デキャンタに移し替えることで、ボトルの底にオリを沈殿させ、ワインの上澄みだけを移し取ることができます。

ヴィンテージが若い赤ワインや冷やしすぎたワイン

デキャンタージュは澱を取り除くだけでなく、ワインの味がまろやかにしてくれる効果もあります。
ワインは酸素に触れることで、変化、成長、熟成していきます。
ワインは、ボトルの中ではわずかな隙間にある酸素に触れていることで、ゆっくりと酸化し熟成していきます。
ワインの中には、ボトルを開けてグラスに注いだ段階で、まだ本来のポテンシャルが十分発揮されないワインもあり、中には保存時に冷やしすぎてしまっていて香りが閉じてしまうワインもあり、そんな時に、デキャンタに移し替えしっかりと空気に触れさせることで、硬い風味がまろやかになるなどと考えられています。

還元臭のするワイン

使用していたコルクがとても気密性の高いものだった場合、ボトル内の酸素が少なく熟成の進み方が不足してしまい、還元臭という不快臭が発生してしまうことがあります。
要するに、ボトル内のワインが酸欠になっている状態です。
この還元臭は、有機硫黄化合物などが還元して出てくる臭いなので、例えるとゆで卵のような、玉ねぎの腐ったような臭いが近いかもしれません。
ブショネなどの他の種類のワインの異臭と違って、この還元臭は酸化させることで取り除くことができます。
この場合も、デキャンタに移し替え酸素に触れさせることで、ボトルを開けておいておくよりも短い時間で酸化が進み、還元臭を消せることができます。

デキャンタージュをしない方がいいワイン

デキャンタージュをすることで澱が取り除かれたり、香りが開いたりと良いことばかりで、どのワインもデキャンタージュした方がいいように思われますが、じつはデキャンタージュに向いていないワインもあるんです。
例えば、熟成したフルボディの赤ワインであっても澱がそれほどない場合や、すでに飲み頃でこれ以上の酸化は必要ない場合は、無理にデキャンタージュをすると、かえって風味が損なわれてしまう場合もあります。
とくにヴィンテージワインと呼ばれる、非常に古い年代物のワインはとてもデリケートなので、その見極めが重要です。
また白ワインは酸やフレッシュさが特徴でもあるため、デキャンタージュすることで揮発してしまうこともありますので、香りが閉じているもの、しっかりとしたコクがあるはずなのに硬くなっているものなど、本来のポテンシャルを感じられないという時だけデキャンタージュを試してみるのをおすすめします。

デキャンタージュの方法

それでは、実際にデキャンタージュの方法をご説明します。
デキャンタに移し替える際にはそれぞれのタイプに合わせたコツがあるので、タイプ別にみていきましょう。

若いヴィンテージの赤ワインや香りが開いていない白ワインなど

若いヴィンテージワインの味をまろやかにするためのデキャンタージュをする場合は、抜栓したらワインをデキャンタに一気に注いで空気を含ませ、さらに容器をスワーリング(回して空気に触れさせる)します。
空気をより多く取り込む場合は、ワインを高い位置から大胆にデキャンタに入れる方法もあります。

澱がある年代物のワイン

澱があるワインをデキャンタージュする場合には、デキャンタージュの前に大事な事前準備があります。
デキャンタージュするワインを数時間前から垂直に立てて置き、澱を瓶底に沈殿させておきます。
ちなみに、年代物のワインの場合は飲む数日前から立てておき、できる限り触らず、そっとしておきましょう。
まずは、澱が舞わないように静かに抜栓し、デキャンタに澱が入らないように静かに慎重に注ぎます。
ワインボトルのネックの部分に黒い沈殿物が見えてきたら、すぐにワインを注ぐのをやめます。

デキャンタージュからサーブまでのタイミングは?

デキャンタージュからワインをサーブするまでの時間が非常に大事です。
若いヴィンテージワインだとワインの力強さにより1〜3時間程度くらいまでに行うのが良いと言われていますが、あくまでワインの状態によっても変わってきます。
また熟成された年代物のワインは、サーブする数分~10分くらいまでにデキャンタージュを行うのが良いと言われていますが、こちらもあくまでワインの状態によっても変わってきます。

デキャンタの形と選び方

デキャンタにはいろいろな形やサイズがあり、使う目的によりデキャンタを使い分けます。
澱を取り除くために使われるデキャンタは、空気との接触を抑えるためにあまり膨らみがない幅が狭く、口の部分も狭いタイプのデキャンタを使用します。
逆に、ワインの味をまろやかにするために移し替えるデキャンタは、幅広で空気との接触が多くなる底が広がっているタイプのデキャンタを使用します。
もし、ご自宅で成熟したワインを飲むことが多いのなら、空気との接触を抑えるためにあまり膨らみがない縦長のデキャンタを1つ用意しておくことをおすすめします。

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