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新酒というと、一番はじめに思い浮かぶのが「ボジョレー・ヌーボー」ですよね。
世界では、さまざまな国で新酒の解禁をお祝いするお祭りがあります。
オーストリアワインの新酒「ホイリゲ」もその1つ。
日本ではまだなじみの薄いホイリゲですが、世界のワイン好きの間では、人気の新酒なんです。
そこで、本日はオーストリアワインについてお話します。
オーストリアワインの特徴
オーストリアの面積はほぼ北海道と同じくらいで、西と南にアルプス山脈が広がるため、ワインの生産地域は東部にあり、温和な大陸性気候で一日の気温差が大きいのが特徴です。
隣国のドイツと比べると温暖な気候で、年間を通じて降水量は少なく、一部の土壌では灌漑が設備されています。
オーストリアはオーガニックの聖地としても有名で、農作物の約20%がオーガニック栽培されており、オレンジワインなどの二酸化硫黄が添加されてないものも注目を集めています。
隣国のドイツと比較するとブドウの栽培面積は約半分ですが、生産量はわずか4分の1と、ブドウの収穫量を厳しく制限することで、少量ながら高品質のワインを生み出しています。
オーストリアワインは生産量の約8割が国内で消費されるため、あまり日本ではオーストリアワインを見かけることは少ないですが、オーストリアでは白ワインの生産が盛んで、ドイツやフランスのアルザス地方で栽培が盛んなリースリングや、グリューナー・フェルトリーナーをはじめとする、固有品種がオーストリアワインの魅力の1つです。
オーストリアの白は「ボリューム感のある辛口」が主流で、赤に関しても「タンニンが強くフルボディ」が主なスタイルとなっています。
オーストリアの新酒ホイリゲ
オーストリアでは、首都ウィーンでもワインの生産が盛んで、毎年11月11日にウィーンで解禁されるホイリゲが有名です。
ホイリゲとは、ワイン酒場という意味と、1年未満の新酒の意味があり、1789年に皇帝ヨーゼフ二世が、ウィーンのブドウ農家に、年間300日以内に限り自家製ワインを小売し、簡単な食事を供しても良い、という特別許可を与えたのが始まりでした。
ホイリゲは、ウィーンで造られるブレンドの辛口白ワインで、微発泡のフレッシュでフルーティーな飲み口でジョッキで飲むのが一般的です。
ホイリゲを提供しているお店には目印があり、松の小枝を店の軒先に吊るします。
ホイリゲ(新酒)が飲めるホイリゲ(居酒屋)という目印になります。
またホイリゲでは、シュランメルン音楽というのも有名で、ヴァイオリンやアコーディオンの演奏をききながらワインを楽しむことができます。
おもな産地とブドウ品種
オーストリアの2大産地は、ニーダーエステライヒ州とブルゲンラント州です。
・ニーダーエステライヒ州
オーストリアワインの約6割を生産するニーダーエステライヒ州は、東北部に位置し、ドナウ渓谷から吹き抜ける冷風の影響を大きく受けた気候です。
主要品種はグリューナー・ヴェルトリーナー、リースリング、ツヴァイゲルトなどで、特にしっかりとしたミネラルが特徴的な高品質なリースリングが有名です。
オーストリアの中で最も魅惑的なワインが造られるのがヴァッハウでは、格付けが設定されており、上からスマラクト、フェーダーシュピール、シュタインフェーダーの3段階に分かれています。
・ブルゲンラント州
オーストリアで最も温暖な地域で、以前は甘口の貴腐ワインの産地として有名でしたが、近年は高品質な辛口ワインも多く生産されるようになりました。
特に、フルーティーなツヴァイゲルトや高品質なソーヴィニヨン・ブランが有名です。
またオーストリアの赤ワインの半分は、ブルゲンラント州で生産されており、主要品種はブラウフレンキッシュ、ツヴァイゲルト、ザンクト・ラウレンなどです。
ピノ・ノワールとの自然交配で生まれたザンクト・ラウレントが注目を集めています。
■おもなブドウ品種
オーストリアには40のブドウ品種があり、白ブドウは26品種、黒ブドウは14品種、生産比率は白が65%、 黒が35%です。
・リースリング
隣国のドイツ、フランスのアルザスなど冷涼な地域でよく栽培されており、すっきりとした酸味が特徴でエレガントな白ブドウ品種です。
白桃やリンゴの風味を持ち、熟成していくと蜂蜜のような甘い香りが加わります。
・グリューナー・ヴェルトリーナー
圧倒的な栽培面積を持ち、オーストリアを象徴する白ブドウの品種。
辛口から甘口までさまざまなスタイルのワインを生み出します。
白コショウのような香りが特徴的で、リースリングに近いすっきりとした印象です。
・ツヴァイゲルト
オーストリアの黒ブドウの中で最も栽培されている品種。
栽培される土地によって変幻自在にさまざまな表情がでる品種で、軽やかでフルーティーなものから、すっきりとしていながらも肉厚な味わいのものまで、産地によって味わいが異なります。
おすすめのオーストリアワイン
グリューナー・ヴェルトリーナー ベートーベン 第九 ラベル
『音楽の都』ウィーンらしいラベルが特徴的なワイン。
オーストリアの首都ウィーンにある創業1683年の歴史あるワイナリー。
国内では数々の賞を受賞する実力派。
ベートーヴェンが住み、あの第九を作曲した家屋「ベートーヴェンハウス」がワイナリーの敷地内にあり、ウィーンを代表するホイリゲでもあるマイヤーは、世界各国からの観光客で賑わっています。
繊細な果実の香りにハーブやスパイスのニュアンス。
グリューナー・フェルトリーナーならではのバランスの良さで、長い余韻を楽しめる1本です。
産地:オーストリア・ウィーン
品種:グリューナーフェルトリナー100%