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年末年始は、忘年会に新年会とパーティーも増え、華やかな料理にワインを合わせるという機会も多くなりますよね。
華やかな料理によく出てくるのが、キャビアやイクラや数の子といった高級食材の魚卵。
以前、このソムリエ手帳でもお話したことがありますが、ワインに合わせるのがNGな食材として有名なのがこういった魚卵なんです。
きっとワイン好きの方なら、お正月に数の子やイクラとワインを合わせて、とても生臭く感じたなんて経験一度はやってしまったこともあるのではないでしょうか。
食べた人にしか分からない、とても残念なペアリングの魚卵とワイン。
でも、高級フレンチレストランではよくキャビアとシャンパンのペアリングをみかけますよね。
そこで本日は、なぜ魚卵がワインに合わないのかについてお話しするとともに、合わせるときの注意点と、魚卵とのペアリングにおすすめしたいワインを6本と、おすすめのキャビアをご紹介します。
ワインと魚卵の相性について
魚卵と一口にいっても、いくら、数の子、たらこ、すじこ、とびっこなど、さまざまな魚卵があり、映画などで目にする高級シャンパンのおともにキャビアなど、数の子などと同じ魚卵のキャビアは、最高級なワインのおつまみとして世界的にも有名ですよね。
なので、お正月のお節料理などお祝い事のお料理に入っている数の子も、ワインに合いそうなのに、なぜNG食材なのか。
じつは、そこには魚卵がもつ特有の成分がワインとの相性を悪くさせていたのです。
このことについては、のちほど詳しくご説明しますが、その前に、すべての魚卵がワインに合わないかというと、じつはそうではありません。
先ほども例として挙げたキャビアなど、シャンパンに合わせて食べられることの多い食材の1つ。
また、イタリアでよく食べられるカラスミのパスタ。
カラスミは、塩漬けにしたボラ等の卵巣を乾燥させた高級珍味で、イタリアでは「ボッタルガ」と呼ばれ、サルデーニャ島の特産品でもあります。
そんなボッタルガはもちろん、イタリアワインとよく合わせて食べられています。
それでは、ワインに合う魚卵と合わない魚卵があるということか、と考えられると思いますが、どちらかと言えば合わせ方が重要になってくるんです。
魚卵の生臭さが引き立ってしまうメカニズム
そもそも、魚卵がワインに合わない理由は、魚卵にはDHA(ドコサヘキサエン酸)や、EPA(エイコサペンタエン酸)といった
脂肪酸が豊富に存在しています。
こうした脂肪酸は、酸化すると過酸化脂質へ変化してしまいます。
この過酸化脂質がワインに含まれる鉄イオンと合わさることにより、生臭さの成分である(E,Z)-2,4-ヘプタジエナールが発生し、グラスの中いっぱいに魚卵の生臭いにおいが充満してしまうというメカニズムなんです。
とくに魚卵の中でも数の子はこの生臭ささが強く、残念ながら、白ワイン、赤ワイン、ロゼワイン、スパークリングワインのどれにも合わせるのが難しい食材です。
魚卵にワインを合わせるときは
それでは、魚卵にワインを合わせるのはあきらめた方がいいのか。
というと、食べ方と合わせるワインでこの生臭さを少し回避することができます。
まず、食べ方としてはチーズなどの乳製品を一緒に摂ることで、乳製品に含まれる油脂分が、鉄+脂質によって生み出された生臭みをカバーし、魚卵の生臭さを軽減してくれます。
さきほどの、キャビアとカラスミのパスタを例にとると、キャビアを食べる際に、よくブリニと呼ばれる小さなパンケーキのような
そば粉のクレープに乗せて食べると思います。
またブリニと一緒に添えられているのがサワークリーム。
じつは、このサワークリームがシャンパンとキャビアのつなぎ役として、キャビアの生臭さをカバーしてくれていたんです。
カラスミのパスタはたっぷりのオリーブオイルがその役割を果たしてくれています。
また、合わせるワインもフルーティーな白ワインは魚卵の生臭さを引き立ててしまいますので、合わせるならシャンパーニュ製法で造られたスパークリングワインや、シュール・リー製法で造られたミュスカデや甲州など、アミノ酸が豊富な辛口で厚みのある味わいのものを選ぶことで、魚卵の生臭ささを軽減し、卵の旨味を引き立ててくれます。
魚卵とマッチするワインおすすめ5選
ロリアン・勝沼甲州
白百合醸造は、80年以上の伝統のなかで、ワインは「ローカル」であることの大切さをワインづくりの第一条件とし、気候、地質ともにブドウ栽培に適した山梨県勝沼町に自社畑を持ち、 常に一貫性のあるワインを追求しています。
ロリアン(L’ORIENT)は「東洋」を意味するフランス語で、 ヨーロッパに劣らぬ高水準のワインづくりを目指し名付けました。
ロリアン・勝沼甲州は、白百合醸造のフラッグシップワインで、2019年デカンター誌でプラチナ賞受賞しました。
歴史ある「勝沼町産甲州ぶどう」のみを使用し、辛口で旨みの残るシュール・リー製法で醸造したこのワインは勝沼ワイナリーズクラブ品質審査委員会の厳しい検査に合格した品質保証ワインです。
人気グルメ漫画「美味しんぼ」80巻、「神の雫」40巻で紹介されました。
赤池幻酵母 甲州 白百合醸造
大雨の際にのみ現れ、富士「六湖」と称される、幻の池『赤池』から採取・育種した酵母株を使い醸造に成功!
「赤池」とは富士北麓の気候条件などによって数年に一度出現する湖で富士五湖に次ぐ富士六湖として知られており、近年では2020年、2021年に出現し話題を集めました。
この赤池幻酵母 甲州は「酵母ハンター」として知られる山梨大学の柳田教授により、採取・育種が成功した酵母を使って醸造しました。
2011年に採取培養された赤池酵母によって造られた山梨産甲州100%のワインはワイナリーのセラーでの熟成を経て、まろやかな味わいとなっています。
スパークリング・ブリュット ユベール・ド・ブアール
ユベール・ド・ブアール・ド・ラフォレはシャトー・アンジェリュスの7代目当主で、さらにワインコンサルタントとしてフランス国内だけでなく、海外でも精力的な活動を行う稀代の醸造家。
そんなユベール・ド・ブアール氏の名前を冠した、全く新しいスタイルのボルドーワイン。それが、今回ご紹介するユベール・ド・ブアールシリーズです。
スパークリング・ブリュットは、手摘み収穫したブドウを低温下で直接圧搾、その後低温を保ったまま醸造を行い、アロマやシャープな酸が失われないよう瓶内二次発酵を行い、澱とともに24か月寝かせます。
シャンパーニュと同様に瓶口を下に向けて回転させながら熟成してゆくクラシカルな製法で、繊細な泡と奥深い味わいを生みだします。
年間生産量はわずか1500本の希少なワイン。
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キュヴェ・ブリュット カーヴ・ド・モンルイ
ロバート・パーカー氏が「フランスの掘り出し物の花園」と呼ぶロワール地方のカーヴ・ド・モンルイが造る自然派スパークリングワイン。
通常、ロワール地方では、タンク内で大量のワインを一気に二次発酵させるシャルマ方式でスパークリングワインの造るのが主流ですが、このスパークリングワインは、シャンパンと同じ方式で造られるシャンパーニュ製法で造られ、石灰質の洞窟である天然の地下熟成庫でゆっくり熟成されるため、きめ細かでエレガントなスパークリングワインに仕上がっています。
活き活きとした酸味と、凝縮した蜂蜜の香りに果実味のコクと旨味が特徴のシュナンブランを100%使用しています。
洋ナシやお花、カリンや蜜のようなやや甘みを伴ったアロマがあり、しっかりとした酸の中がありながらも優しい味わいで、ほんのり甘みを感じる果実味と持続性のある気泡が口の中できれいに弾け、毎日飲んでも飲み飽きしないバランスの整ったスパークリングワインです。
ブリュット・ダンジャン・フェイ ポール・ダンジャン・エ・フィス
ポル・ロジェ、マム、ローラン・ペリエと誰もが知る大手メゾンと並び英国王室御用達ワインとして小規模生産者ながら高品質なワインを生み出すポール・ダンジャン。
もともとはモエ・エ・シャンドンなどにブドウを販売していたブドウ栽培家ならではの、強いこだわりを持ったブドウ栽培と、クラシカルな方法にこだわり、長い瓶内熟成期間を守り、複数年のワインをアッサンブラージュし、重すぎないエレガントなスタイルを表現します。
このブリュットは、細かい泡が切れ目なく立ち上り、ライムやリンゴなどのフレッシュなフルーツに、マカロンのような甘いアロマも感じられ、すっきりとした爽やかさのあるピュアな味わい。
「前菜からデザートまで通すことができる」バランス感で、どんな料理にも合わせられます。
まさにクラシックな魅力ある、均整のとれた1本。
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カルト・ドール ポール・ダンジャン・エ・フィス
ポル・ロジェ、マム、ローラン・ペリエと誰もが知る大手メゾンと並び英国王室御用達ワインとして小規模生産者ながら高品質なワインを生み出すポール・ダンジャン。
もともとはモエ・エ・シャンドンなどにブドウを販売していたブドウ栽培家ならではの、強いこだわりを持ったブドウ栽培と、クラシカルな方法にこだわり、長い瓶内熟成期間を守り、複数年のワインをアッサンブラージュし、重すぎないエレガントなスタイルを表現します。
このカルト・ドールは、フレッシュな青みをのあるブドウの香り。
爽やかな辛口で飲みやすい中にも芯のしっかりと味わい、丁度良いボリュームがあり、どんな料理にも寄り沿ってくれそうなシャンパン。
キリッっと冷やして、鶏ムネ肉のソテーやフレンチポテトなどのシンプルな料理と合わせれば、シャンパンと料理のお互いの良さをより楽しめます。
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奥深くエレガントな味わいのキャビア
セレスト キャビア パストライズ18g
イタリアのマスの養殖で歴史のあるメーカーが2000年代に入り、チョウザメの養殖を始め、最高品質のキャビアの生産に成功しました。
品種はトランスモンタナス(シロチョウザメ)で、大きいものだと6mくらいになる大型の魚体で、白身もとても味が良いので白身としても需要があります。 身が大きい分、キャビアの粒も他品種より大きめで、奥深くエレガントな風味が口の中で広がります。
キャビア単体でも、お料理のアクセントとしても、パーティーなどの特別な日の前菜におすすめです。