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最近、お寿司屋さんでビールや焼酎、日本酒以外に、ワインを置くお店が増えてきましたよね。
昨今の日本ワインブームや海外からの旅行者向けに、寿司とワインのペアリングを意識して、寿司に合うワインをいろいろと研究しているお店が増えたような気がします。
そこで、本日は寿司とワインのペアリングについてお話します。
寿司とワインの相性について
さて、みなさんがお寿司屋さんに行った際に、必ず頼む寿司ネタはなんですか?
アジ、イカ、マグロ、タイ、イクラ、エビ、サーモン、タコ、アナゴ、いろいろとありますよね。
創作寿司を取り扱うお店も増えてきて、サーモンにアボカドや玉ねぎを合わせたカリフォルニアロールのような寿司や、バーナーであぶって香ばしくしたり、チーズを乗せてボリュームをだしたり、珍しい野菜を使ったりと、見た目にも華やかなフレンチのようなお寿司が楽しめるようになりました。
そんな寿司とワインの相性はというと、以前このソムリエ手帳で刺身とワインのペアリングでもお話しましたが、生魚である刺身と白ワインはとても相性が良いです。
それは、成分的にも言えることで、白ワインには酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酢酸、コハク酸など有機酸が含まれており、赤痢菌、サルモネラ菌、大腸菌などの食中毒菌に有効であることが知られています。
そのため、生牡蠣やお刺身などいただくときに一緒に飲むと食中毒予防にもなるので、とてもおすすめです。
そして、白ワインに含まれるこの有機酸などの成分が魚の生臭さをうまく消してくれて、フレッシュで酸味のある味わいが刺身とも醤油とも相性がとてもとれやすいのです。
それでは、赤ワインの方は寿司の合わないのかというと、そうではありません。
寿司は、刺身の時以上にネタが豊富で、先ほどお話したとおり、野菜とあわせたり、チーズを乗せたり、あぶって香ばしくしたりと、豊富なバリエーションがあり、味付けも単調ではありません。
そのため、刺身以上に寿司は赤ワインを合わせやすいです。
赤身のお寿司に合うワイン
それでは、具体的にどのようなペアリングが良いのかおすすめをご紹介していきます。
まず、マグロやカツオなどのミオグロビンの多い赤魚や、サーモンのようなアスタキサンチンというカロチノイド系の色素を持つ魚には、ロゼワインを合わせるなど、色を合わせることで魚介の持つ味わいとワインの風味が合わせやすくなります。
また、赤ワインであれば、酸味とタンニンが少なくフレッシュな味わいのあるライトボディの赤ワインがおすすめです。
たとえば、ガメイ種で造られるボジョレーヌーボーや、タンニンが控えめでイチゴのような甘酸っぱいフレッシュでエレガントな味わいのピノ・ノワールの赤ワインがよく合います。
もし、マグロやカツオなどの風味が少し苦手という方であれば、もう少しタンニンがある赤ワインとのペアリングもおすすめです。
たとえば、南アフリカのピノタージュの赤ワインは、ピノ・ノワールとサンソーの交配で生まれた南アフリカ独自の交配品種で、それぞれの品種の良さが見事に出ています。
木いちごやドライフルーツにスモーキーな香りが重なったアロマが特徴的で、味わいは酸味が強く、渋みもしっかりとしており、しっかりとしたタンニンがマグロやカツオなどの鉄っぽい味わいを中和してくれます。
赤身のお寿司におすすめのワイン
ピノ・ノワール レオン・マンバック
レオン・マンバックは、アルザス中心地のストラスブールから南西約35kmほどにあるDambach-la-ville村に本拠を置き、グラン・クリュである「フランクシュタイン」も所持する自然派アルザスワイナリーです。
フランスのエノログ協会の会長アレックス・シェーファー氏は、このアルザスを代表する特級畑の虜になっている愛好家の一人で「フランクシュタインのリースリングが最も好きだ。なぜなら、この品種はテロワールに完全に適応しており、素晴らしい味わいを表現してくれる。果実味、花を思わせる香り、優雅な趣、軽やかさを感じる。」と激賞し惚れ込むほど。
また、日本を代表する人気のワイン漫画「神の雫」では、このワイナリーの「ピノ・ノワール エルヴェ・アン・ムュイ」が掲載されました。
ピノ・ノワール レオン・マンバックは、典型的なピノ・ノワールの、チェリーを思わせるチャーミングなアロマがあり、果実味、酸味、そして適度なタンニンのバランスに優れたタイプで、とてもエレガントな味わいを楽しめる1本です。
ヴィンヤード・コレクション・ピノタージュ
パーデバーグ・ワインズは1941年創業のワイナリーで、南アフリカワインのコンクールで「Winery of the year」にも選ばれた、南アフリカをけん引するワイナリーの1つです。
昔から受け継がれてきたブッシュヴァインというワイヤーを使わず、樹をそのまま地面に立てる伝統的な方法で栽培することで、灌漑を一切行わないテロワールを鮮明に表現するワイン造りに重きをおいています。
Paarl(パール)地区にある樹齢30年程のブッシュヴァインのブドウを使用。
ステンレスタンクでアルコール発酵をおこない、300リットルのオーク樽へ移し熟成させます。
ブラックベリー、カシス、牡丹を感じさせる華やかな香りと、ピノタージュ特有のなめし皮や黒胡椒も感じられます。
アタックは軽やかで、まろやかな甘みと優しい酸味に、緻密なタンニンを感じられ、豊満な果実味とスパイシーさがあり深い味わいを楽しめます。
ムーラン・ナ・ヴァン レ・ミシュロン ヨアン・ラルディ
ヨアン・ラルディはボジョレーで5代に渡って受け継がれる老舗ワイナリー。
1911年と1950年に植えられた古い樹齢の2ヘクタールの畑から始まりました。
AOCムーラン・ナ・ヴァンの丘にある1ヘクタールのプレステージ区画は“レ・ミシュロン”と呼ばれる貴重な区画で、前オーナーの祖父によりブドウ樹が植えられました。
もろいピンク色の花崗岩(かこうがん)、マンガン鉱物という豊富な鉄分を含んだ土壌で、しっかりとしたミネラルを感じられるワインを生み出します。
現オーナーは、世界でワイン造りを学び、2011年に故郷に戻ってきて翌年ワインを初リリースしました。
除草剤の使用を極力減らすためなどオーガニック農法を取り入れており、多様な生態系のバランスを保つ栽培・ワイン造りに努めています。
手作業による収穫、選果、自然酵母による発酵で、最低10ヶ月間ブルゴーニュ樽にて熟成して造られます。
僅か1ヘクタールのプレステージ区画から生み出されるこのワインは、凝縮感とミネラルに富んだ赤ワイン。
イチゴやラズベリーなどの赤系果実のアロマに、スミレやリコリス、スモーキーなミネラル香が広がり、口に含むとエレガントでスムーズなタンニンが感じられ、全体のバランスが非常に良く長い余韻を楽しめます。
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白身のお寿司に合うワイン
タイやヒラメといったたんぱくな味わいの寿司ネタには、やはり辛口の白ワインや白のスパークリングワインがおすすめです。
中でもブルゴーニュ地方のシャブリはとても白身の寿司に合います。
貝殻などの化石、粘土、石灰などを含む石灰質の「キンメリジャン」という白い土壌で栽培されるシャルドネは、このキリメンジャンというミネラル豊富な土壌と冷涼な気候から、シャブリ特有のキリっとしたさわやかでミネラル感のある味わいになります。
このミネラルと白身の相性がとてもよく、互いの旨みを引き立ててくれます。
また、ミネラル感のあるリッチな味わいのスパークリングワインもピッタリです。
そのほか、イタリア・ピエモンテ州南部のリグーリア州との国境付近、アレッサンドリア県で造られるコルテーゼ種を使ったガヴィDOCGは、グレープフルーツやパッションフルーツなどのさわやかな柑橘のアロマに、白い花、青リンゴを思わせる繊細でフルーティーなアロマがあり、あとからアーモンドのような香ばしいニュアンスも感じられます。
口に含むとフレッシュで繊細な酸が印象的で、しっかりとしたミネラルもあり、シャープな味わいが白身によく合います。
そして、日本ワインの代表とも言える、甲州ワインも白身の寿司に非常に合う白ワインです。
フランスの伝統的な醸造方法である「シュール・リー製法」で造られた甲州ワインは、辛口で味に厚みがあるのが特徴で、世界からも高い評価を受け、世界の日本食の店で寿司とのペアリングに用いられています。
白身のお寿司におすすめのワイン
アレチャガ ボデガス・ビルヘン・デ・ロレア
ボデガス・ビルヘン・デ・ロレアは、17世紀からの歴史を持つワイナリーで、もともと自家用として美味しいワインを造ることが目的で始まり、18世紀には、当時の当主であるファン・ライセカと妻グレゴリアも先祖と同様に、熱心にこの地酒を造り続けました。
当時、バスク地方にはシドラとチャコリの造り手が生まれていましたが、ほとんどは自家用や、地元のバル・食堂に卸しており、地元で飲まれるのが一般的でした。
20世紀初頭には、娘夫婦によってワイナリーの建物が建造され、現在もテイスティングルームとして使用されており、自家用チャコリの生産から、世界へ供給するワイナリーへと大きく発展しました。
自社畑は南向きの斜面に広がっており、豊富な石灰を含む粘土石灰質の土壌、雨、適切な温度と海から吹く冷たい北風、それらの恩恵を受けて、引き締まった酸と香り豊かな、複雑な味わいの白ワインが生み出されています。
爽やかなグリーンの色調で、ライムや洋梨、リンゴ、ハーブを思わせるフレッシュかつフルーティーなアロマがあり、チャコリ特有の力強い酸と、豊富なミネラルと、わずかな塩味が感じられ、透明感がありながらもエレガントでバランスの取れた味わいのチャコリです。
シャブリ・ヴィエイユ・ヴィーニュ ドメーヌ・ジョルジュ
シャブリの中でも南寄りのクルジ村で、元々協同組合にブドウを販売してたブドウ栽培農家でしたが、2004年より、自家元詰めを本格的に開始したドメーヌ。
ドメーヌとしての歴史は浅いですが、ブドウ栽培農家としての長い経験から、化学肥料の廃止、除草剤を止め、極力畑仕事に従事するリュット・レゾネを行い、樹齢35年~60年のブドウ樹から、ブドウ本来が持つ繊細さ、複雑さ、そしてピュアな風味やアロマを残すため、 全てステンレスタンクで醸造しています。
そのため、青りんごやレモンといった柑橘のフレッシュな果実味に、豊富なミネラル感がしっかりと感じられるシャブリ本来の個性が際立った1本に仕上がっています。
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ピエモンテ DOC コルテーゼ ウンベルト・フィオーレ
マンフレディ家のワイン造りの歴史は、1930年、初代のジュゼッぺは、美しいランゲの丘の周囲にあるブドウ畑と醸造所を購入し、ワイン造りを始めました。
1980年代になると、イタリア国外への販路も広がり、ヨーロッパをはじめ、アメリカやアジア各国まで流通するようになりました。
「ブドウ畑をより良い状態で後世に受け渡すこと」という哲学のもと、薬品などを使わず、太陽光発電に切り替え、自然の法則に合わせた畑仕事を頑なに守り続けています。
そんなマンフレディ家が手掛けるコルテーゼ100パーセントのこのワインは、緑がかった、明るい麦わら色の色調で、とても生き生きとしてフレッシュなレモンやライム、グリーンアップルを思わせるアロマに、ハーブやドライフラワーの香が混じります。
生き生きとフレッシュな酸味・甘味のバランスがあり、滑らかなミネラル感の喉越しも魅力です。
魚介料理全般、野菜料理などと相性が非常によく、食事とあわせて飲むのに最適な1本です。
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寿司と組み合わせNGのワイン
相性の良い寿司とワインのペアリングについてお話してきましたが、じつは、寿司とワインとのペアリングでどうしても合わない組み合わせもあります。
それが、いくらや数の子など魚卵です。
ワインと魚卵を合わせると、ワインのフルーティーさが魚卵の生臭さをより目立たせてしまうという残念な相性でもあるため、あまり魚卵はワインと合わせるのをおすすめしませんが、食べ方と合わせるワインでこの生臭さを少し回避することができます。
まず、食べ方としてはチーズなどの乳製品を一緒に摂ることで、乳製品に含まれる油脂分が、鉄+脂質によって生み出された生臭みをカバーし、魚卵の生臭さを軽減してくれます。
また、合わせるワインもフルーティーな白ワインではなく、シャンパーニュ製法で造られたスパークリングワインや、シュール・リー製法で造られたミュスカデや甲州など辛口で厚みのある味わいのものを選ぶことで、生臭さが軽減され、魚卵の風味を引き立ててくれます。